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2006/05/11

寂しんぼうさんたち whom I love.

昨夜は自分が書いたことが気になってお布団の中で考えてしまいました。

私がキムシン先生の作品に対して感じるひっかかりについて。


なんかね…作者が突き詰めかけたテーマというか「根底に持っている何か」を「社会に対して物申す」にすりかえて、中途半端にごまかされているような気持ち悪さがあるのです。
その「突き詰めかけた何か」にこそ私はすごく関心があるのに、肩透かしされているような気持ちになるというか。


キムシン先生の描いてきた孤独というか「孤高の人」には魅力的な人が多い。
不滅のエロールとか、王家のアムネリス様とか、ゼンダのミカエル大公とか、
十二夜のオーシーノ公爵、トゥーランドット、スサノオ・・・
炎のルーナ伯爵様も!

皆、癒せない孤独を持っていて。
思い込みが激しくてコミュニケーション下手。でもとても純粋で生真面目。
相手の一言にひどく影響を受けたり…ね。

過去に傷つけられて人を恨んでいるかと思いきや、本当は仲間に入りたがり(笑)。
エロール様なんて、人と関わらなかったらいいのに常に人の真ん中にいるんだもの。
オーシーノー公は、人間不信のくせにオリヴィア姫に勝手に夢を描いているし(笑)。
ミカエル大公が愛人のド・モーバンの膝にすがるシーンはせつなくて好きでした。
みんな寂しんぼうだよねぇ。

人の孤独を描くと魅力的なのに、なんで「世の中に訴える」方向にすすんじゃうんだろう。
そっちじゃないでしょう、つきつめないといけないのは…って思っちゃうんですよね。

ラダメスとアイーダも心の奥に孤独を抱えた異国の者同士の2人が、葛藤しながら傷つけあいながら魂を結び付けあう話としたら、すごーーーく好きだったのに、
アイーダが脈絡を無視して支離滅裂な主張をするのがたまらなく嫌でした。

私がいちばん見たいものを見せてくれそうで期待するのに、私がもっとも苦手なものに悪く窯変しちゃっているのがひっかかる原因かなぁと思います。
さいしょからどうでもいいならアハハーで終われるもの。。。。

それと、「世の中に物申す」に関しても、作品を見た人が主張部分に感銘を受けて共鳴しているんじゃなくて、もともとそう申したい人たちが、作品を「利用している」ようにも見えちゃうのが心配だったりもします。
作品の中で描いているだけでは中途半端すぎるし…。そこをつきつめたいなら、もっと死ぬ気で本気でやれ!って思ってしまう…けど、それは宝塚では見たくないゾ…(~_~;)

どっちにすすむのか…やっぱり気になるキムシン先生作品なのでした。

いよいよ明日は初日だなぁ。

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