陸奥のしのぶもぢずり誰ゆゑに乱れ染めにし…
タカハナがいない宝塚――
それほど劇場へ足を運べるわけではなく
もっぱらCS頼りの宝塚ファンですが
やはり寂しい気がします。
思えば、初めて生で見て驚きと感動をくれたトップコンビで
私がもっていた宝塚歌劇への偏見を払拭してくれたトップコンビでした。
ほかのトップさんではハマらなかったのかと言われたら、そうとも言えない気もしますが
やはりファーストインプレッションは大きいです。
まだまだ3年足らずの観劇歴ではあるけれど
あれこれと思い起こすにつけて、思いは駆け巡って止めどありません。
書き留めようにも次々に節操もなく広がりすぎて・・・何を書こう。どこを書こう状態に陥ってしまうんですよね。(>_<)
そうこうしているうちに、2週間以上が過ぎてしまいました・・・
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ハナちゃんがグレートなのはいうまでもありませんが
タカコさんも凄いトップさんだったなぁと、しみじみ。
いろんな思いを自分の引き出しから出しては仕舞い出しては仕舞いして
残ったのはやっぱりこれでした。
たとえば「炎にくちづけを」のマンリーコ。
あの綻びだらけの脚本の中で輝けたたかちゃんは凄いと思う。
「カステル・ミラージュ」のレオナードや「BOXMAN」のケビンなど
“和央ようか”にぴったりのカッコイイ役ではなく、
マザコンで直情的で浅はかで支離滅裂な主人公だったけれど
それすら人間的で魅力的なキャラクターに創りあげていましたねぇ。
「ありえない」を「ありえなくない」「いるなぁ、こういう人」にまで肉付けしてて。
あれは凄かったなぁ。
ヒロインのレオノーラは、花ちゃんが役を完璧に演じれば演じるほど自己愛の塊になるキャラで
「“自分”しか見ちゃいねー」系乙女で、何を言っても無駄だと思わせるような人。
(↑これは否定じゃなく、それはそれでよかったのだけども)
幼馴染の親友は、自分の言いたいことを言いたいだけの最終的に頼りにできない奴で。
母親は狂気の人。
子を盲愛しているのだろうけれど、もう誰が誰を愛しているのかさえもぐちゃぐちゃで
愛する息子を簡単に窮地に陥れるような理性のかけらもないような母。
本当なら、いちばん心の奥底をわかり合える相手となったかもしれない兄とは
最期の最期まで誤解が解けないまま・・・・
本当に救われない人なのに
彼は愛に溢れてた。
愛にはいろんな種類があるのだろうけれど
皆が自己愛に囚われて破綻の道を迷走する中
他者への愛を理屈ではなくて本性で抱いているような不思議な主人公だったな。
息子への愛なのか自己への愛なのかそれ以外か、支離滅裂で
いちばん大切なものであるはずの息子(マンリーコ)を窮地のどん底へ追い込んでしまう母を、
責めもせず、かばって慈しんで微笑んでいる主人公だったな。
あれは脚本の意図ではなく、タカコさんが創りあげたキャラクターのような気がしています。
トゥーランドットのように眩しい存在感のある役とはちがうけれど
かみ締めるほどに深いキャラだなぁと
思うにつけ、
やっぱりタカコさんは凄いトップさんだったなぁと改めて識るような
こんな“出し入れ”をここ数週間つづけています。
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