忠三郎狂言会@大濠公園能楽堂
昨夜は、大濠公園能楽堂へ忠三郎狂言会を見に行きました。
別の世界のことで鬱々としていましたが、
見に行って良かった~~~~和みました。
番組は、「萩大名」「盆山」「千切木」。どれも初めて見るものばかりです。
「萩大名」・・・・・・大名 茂山千作、太郎冠者 茂山千之丞、庭の亭主 茂山忠三郎
待ってましたのお三人の競演。
居るだけで愛嬌のある千作さん、お可愛らしい千之丞さん、どっしりしている忠三郎さん。
揚幕が上がった時から期待でうれしくなってしまいました。
千作さんの田舎大名はおばかさんでおとぼけで面白くて。
台詞がぜんぶ千作さんのもの。っていうのでしょうか。自然に出てくる感じです。
なにげない表情、言葉の調子、受け答えの間に思わず吹き出してしまいます。
千作さんの萩大名のキャラクターそのものが可笑しいというか。
これが何百年も前の作とは思えないくらい。今、この時に、なんの補注もなくとも可笑しい。
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千之丞さんの太郎冠者と顔を見合わせて「ぅん!」と頷き合うところは、お腹がくすぐったいくらい可愛くて可笑しかったです。
三十一文字の句を示し合わせるたんびにやるのですが、くりかえすほどに可笑しくて…。
風流者の庭の亭主の前で、耳を疑うような無粋なことばーーっかり言うのですが、それがまたなんとも可笑しくて。
太郎冠者にそんなことを言ってはだめと注意されて、そうなんかと思うものの、
偉そうぶって、自分が思ったようなことはしてはならぬと亭主に言ったら、そんな無粋なこと絶対にしませんと言われて・・・他はそのままで面だけが面白くなさそーになるのも可愛くて可笑しかったです。
(こういう台詞にないこともト書きで伝えられているのでしょうか???)
台詞は何百年も決まったものなんでしょうけど、千作さんが演じられると本当に生きて居る感じです。
千之丞さんの太郎冠者は、もったいないくらい贅沢~~~と思いました。
ふつうはもっとお若い方が演じられる役なのではないでしょうか。
千作さんのライブ感溢れる受け答えを自然に受けて、さらに可笑しくしているのは千之丞さんだなぁと思いました。
千作さんがとても自由に見えるのも千之丞さんがしっかりと受け止められているからかも。
これが長くご兄弟で演じておられる徳みたいなものでしょうか。誰でもはこうはいかないのではと思います。
こんな主人につきあってられないという感じで、その場を離れていく時も
ただ出て行くだけなんだけど、納得させられる雰囲気で出て行かれました。
「もう知らんわ…」みたいな感じで(笑)。責任放棄、みたいなカンジで妙に可笑しかったです。
(現実でも、あんなふうにしてみたい場面ありますよね! なかなか出来ないけど…(^_^;))
風流な庭の亭主の忠三郎さんは、身分は大名より下の京都の町人らしいのですが
その身分差と、風流を解することに対する上下の差が逆転しているのが面白かったです。
そのへんの微妙な矛盾が面白みの一つなのかな。風刺的ですよね。
忠三郎さんの亭主は、無粋な大名をばかにするような素振りはぜんぜんなく(本心は呆れているのかもしれないけど)
ひたすらに風流人として「歌の続きを」と求めるところが、とっても追い詰め感があって良かったです。
イジワルで言われてる訳じゃなければ、大名もまともに歌の続きを思い出すしかない…し。
言い逃れ方もとってもおばかさんな大名と理知的な風情の亭主のこの落差が面白かったです。
こんな贅沢な「萩大名」ってないのではないの?と思うくらいみっしりしてました。
本当に大満足です。
「盆山」・・・・・・盗人 茂山良暢、某 中島清幸
良暢さんは、ちょっと面が細くおなりのようでした。(一年ぶりなので、そんなことから興味深く…(^^ゞ)
最初は先のお三人にくらべると、やはり台詞が固いというか、昔の台詞をしゃべってる、という感じがしてしまうのは否めないなと思いました。
でもお若い方の軽さがあってそれがこの盗人的には面白かったです。
良暢さんは、やはり鷹揚な愛嬌をお持ちですよね。小賢しい太郎冠者よりは、ちょっと足りないおばかな人が似合いそう。(←褒めてます!)
「ゆるされませい」と言われるとゆるしてしまいそうです(笑)。
この持ち味を生かしてこれからも研鑽されてくださいませ。
「千切木」・・・・・・太郎 茂山忠三郎、女房 茂山良暢、頭屋 河原康生、太郎冠者 渋田昭典、若衆 田口俊英ほか
太郎みたいな人、いるいる!と思いました(笑)。一言も二言も余計なんですよね。
そんなこと気がついても、口にしちゃいけません!っていうような。
おかげで皆に嫌がられて・・・。
理屈はそうでも、ここは空気を読んで黙ってしたがいなさい!なんですけどね。
ほら、皆から打擲されちゃったじゃない・・・・・・と思ったら、
女房のほうが太郎より何枚も上手でした!
でもこの女房、可愛くて憎めないなぁと思いました。
女房の顔色を伺う太郎もなんだかいいなぁ。
あと、太郎が尋ねていって、在宅かどうかを訊かれて「留守!」と答える頭屋さんたちも可笑しかったです。
(かしちゃんの「引っ越しましたー!」とおんなじやん…笑)
(萩大名と太郎冠者の「ぅん!」も、かしちゃんとらんとむ君っぽかったです…笑)
狂言にでてくる人たちって、どうしようもないなーと思うけれど憎めない。
人間愛にとっても溢れているなぁと思います。
私もこんなふうに人を見られたらいいなぁと思います。
さて、この忠三郎狂言会は、福岡のあと東京(10/13)、大阪(11/17)、京都(11/24)と開催されるそうです。
興味のある方、お近くの能楽堂へ行かれてみては。とっても和みますよ~~(^^)
ちなみに「萩大名」と「千切木」のあいなかの演目は、会場ごとに変わるようです。
東京で演じられる「清水」は、今年度の芸術祭参加作品だそうで。お!そっか、狂言も参加するんだ~と、こんなところでも驚きが。
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昨日は、お嬢さん(梅園紗千さん)は東京宝塚劇場で初日でしたよね。
ご主人とご子息は福岡で公演、お嬢さんは東京で…と奥様っていろいろとお気遣いが大変なんだろうななんて。余計なことも思ってしまいました。
梅園紗千ちゃんには、これからも芝居を締める良い役者さんとして宝塚でがんばっていただきたいです。
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