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2007/10/15

「ある結婚の肖像」

いまさらですが、
「オーランドー」(ヴァージニア・ウルフ著)の巻末の訳者杉山洋子さんの解説を読んでいたら、
オーランドーのモデルは、ヴィクトリア・ザックヴィル=ウェスト、通称ヴィタ、だとありました。
ちょ、ちょ、ちょっとちょっと~!
それって、「ある結婚の肖像」(ナイジェル・ニコルスン著)の、あの?
そういえば、挿入されているオーランドーの写真、似たような人をどこかで見たなぁなんて思ってました。
私、この本の翻訳本の初版持ってますもん。。。(読んだのは15年前)

内容は、著者がその母ヴィタ・ザックヴィル=ウェストの回想録をもとに記した両親の伝記。
(実はご両親ともに同性愛者であった、という「暴露本」の類なのです)
ヴィタは、当時(1920年代)同性愛スキャンダルで一躍有名になった人。
英国でもっとも由緒ある大貴族の家柄の一つに生まれ、すごい館というか一つの町のような豪邸(寝室が365、階段が52、王様が泊まるための超豪華な寝室も)に暮らした生粋の英国貴族で女流作家。
女性の恋人との駆け落ち先のパリでは、“お気に召すまま”に男装して夜の街を闊歩。
男装したヴィタは、長身で浅黒いハンサムな19歳ばかりの学生に見えたそうです。(杉山洋子/隠し絵のロマンス)
このあたり、ちょっとジョルジュ・サンドにも似ていますね。(でもサンドは男装しただけで同性愛者ではないのですよね?)
ヴィタはウルフ女史とも関係があったようです。

写真で見ても、ヴィタは長身で黒髪美人でちょっとエキゾチックな容貌の魅惑的な女性です。
(私には、ジョルジュ・サンドにも似ているな~と思えます)
ヴィタのお祖母さんは、スペインの踊り子だったそうです。(ここで、ビビビッ!と反応する私)

お祖母さんの出自については、いくつか説があるようなのですが、ロマの血を引いていたという説も。
スペインの奔放なダンサーと英国貴族のロマンス。(というとロマンチックですが、じっさいは大変だったみたい)
“アンダルシアの星”と称されたというお祖母さん、通称ぺピータは、いくつもの浮名を流したようで、ヴィタのお母さんの出自についても、本当の父親はザックヴィル男爵ではなくて、ロシアのユスーポフ公爵だとか…
これはヴィタのお母さんのヴィクトリアが主張していたことらしいのですが。
(もう、あちらの人たちって、子どもや孫に同じ名前をつけたりするので、ややこしい…汗)
(ヴィタ<ヴィクトリア>のお母さんもヴィクトリアで、お母さんのお父さんもライオネルで、お母さんの夫<ヴィタのお父さん>もライオネルで、2人ともザックヴィル男爵なんですよ~涙。叔父と甥の関係で、第2代と第3代)

1920年代の英国貴族の風俗や、時代精神を読み取るには面白い本だった記憶が。
(上流階級の女性は、結婚するまでは不自由。結婚して跡取りをもうけたら、あとは自由とか)
はじめて読んだ当時は、興味本位であまりピンときていなかった気がするので、
また読み返してみたいと思います。

ちなみに、白洲次郎が英国留学していたのは1921-1928年。
ちょうどヴィタとヴァイオレット・トレフュシスとの醜聞が取りざたされていた時期と重なります。
ヴィタは次郎よりちょうど10歳年上。
このスキャンダラスで才気溢れる貴婦人の噂を、次郎も耳にしたでしょうか?

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