シャルマン幻想。
初見以来、私の心を鷲摑みにして放さないシャルマンと「弟さん」。
最初はその印象が強すぎて、「大空へ」の場面やカリオカの場面が、ちぐはぐなような感じがしたものです。
きっと、酒井先生の中で、轟さんに対するイマジネーションと、悠河ちゃんに対するイマジネーションに差がありすぎなんだ!と吼えたりしました。
そのときの私の、轟さんとシャルマン~弟さん(紳士S)のイメージは、
ジェイムズ・ボールドウィンの小説『ジョバンニの部屋』のような、
退廃的なラテンヨーロッパ人と彼に人生を変えられた純真なアメリカ人青年、でした。
雰囲気は1960年代。同性を恋することに市民権があるはずもなく。
その愛は隠微なものとしか認識されていないような世界観で。
純情な愛を踏みにじられる悲劇的な物語が脳裏に浮かんでいました。
でも、重ねて見ていると、爽やかな士官候補生の悠河ちゃんや陽気なカリオカの悠河ちゃんと、作品に違和感を感じなくなっていました。
むしろ、轟さんとの対比が面白く感じられました。
(轟さんの「ルアの男」の“ルア”ってポルトガル語の“月”でいいんですよね?)
・
前途洋々たる爽やかなアングロサクソン系アメリカ人青年の士官候補生、悠河ちゃん。
同期生と爽やかにパッションしたあと、休暇で南米へ。
現地の情熱的な娘に恋をして、陽気にナンパ。
終わってしまったカルナバルを想い、1人せつなくパッション。
時を同じくして、ラテンヨーロッパ系愛の狩人、轟さんは愛を求める旅へ。
ハレムで妖しい夢を見て、生あたたかい夜風と星空の下で大人のパッションに耽り・・・
(同じカルナバルの夜でも、轟さんと悠河ちゃんでは、こうも違う・・・)
(というか、お子ちゃまのカルナバルが終わってからが、大人のカルナバルよねっ)
そんな正反対で、接点のなさそうな2人が、思いもかけずパリでめぐり逢い、
思いもよらぬ愛のパッションに身を焦がす・・・
轟さんが、「胸を裂く『この愛』命掛けてボクは守る」と歌えば、
悠河ちゃんが、「もう恐れるものなどなにもないさ、君と行こう愛の旅立ち」と大胆に。
君と2人、エンドレス・ジャーニー♪でハッピーエンドなんだと。
そういうストーリーに見えました。
だから、最初は接点がないほうがいいのよね~と。
酒井先生が、最初に発想したものを展開していたら暗くなりそうだったので、
方向を変えた(意訳)といわれるあたりが、悠河ちゃんが関わる部分なのかなと。
クレイヴの裏切りに絶望の縁までいったモーリスが、アレック・スカダーによって希望を見出し生き還るように。(E・M・フォースター『モーリス』)
・
とか、思っていたら、
東宝で2回ご覧になった「Brillant」のアーシュラさんが別説を展開されて、
すっかりそれにハマっているtheoです。
例の前途洋々たる士官候補生は、じつはシスコンだった!
姉に会うために行ったパリで、姉と不倫相手の絡みを目撃。
最初は、嫉妬と憎しみの目で見ていた轟さんを・・・(以下省略)。
あとはアーシュラさんのブログで(笑)。
(初日を前情報も予断もなくご覧になっていて、感想や疑問がとても率直で面白かったです)
私は、悠河ちゃんの姉、おとうとの二役で、しばらく白いご飯を何倍もおかわりできそうです。(^^)
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コメント
なんかTheoさんの妄想、、いえ、空想の世界でとても
楽しんでいる今日この頃です。
投稿: ichiyo | 2008/04/08 22:21
◇ichiyoちゃん、
アーシュラさんの説なんですが、
これだと大本営発表(笑)の「弟さん」説とも合うと思いませんか?
きっとね、士官学校へ進んだのも、姉への思いを断ち切るためだったのよ・・・
(妄想はエスカレーション)
投稿: theo | 2008/04/08 22:40
私は、最初ジェレミー・アイアンズとション・ローンの「Mバタフライ」を思い起こしました
次に「クライイング・ゲーム」こちらも相手はノーマルな男性。
最近は「闇に左手」辺りまで妄想が膨らんでいます。
どちらにしても、腐がつく女子の妄想満開
パリはいい街ですわ、退廃が似合う。ジェレミー様が息子の婚約者と道ならぬ恋に落ち、破滅していった街です。
たにちゃんはミュッセの時と同じく、退廃も似合うのよと、一人信じています。
投稿: エレナ | 2008/04/09 00:39
◇エレナさん、
「M.バタフライ」に「クライング・ゲーム」かぁ。
つまり・・・ですよね(笑)。
「闇の左手」はもう、バイブルですよね。。。腐がつく人々の~
私も悠河ちゃんには退廃と破滅、似合うと思います。
だが、大本営のやつらは・・・もとい(笑)、
そーゆーのは、宝塚では拝めないでしょうねぇ~
投稿: theo | 2008/04/09 01:11