みなぞこ。
文庫版『百鬼夜行―陰』を読みました。
『姑獲鳥の夏』から『陰摩羅鬼の瑕』までの登場人物たち(主に脇キャラ)の内面に焦点を当てたサイドストーリー集というかんじでした。
榎木津も京極堂も登場しないので地味です。
うすぼんやり罔兩としたなんとも言い難い世界でした。
たいていの恐怖はこうしたものだろうなぁ。
「実力とは己の力ではない。己の背後の力である」(『火間虫入道』)
己の中に巣食う亡者たちの言葉に翻弄され闇に堕ちていった男。
絢爛豪華な袈裟衣を纏う蠱惑に、理性も客観性も求道も見失う男。
憑物は落とされないまま、「その日」を迎えてしまう。
日常の裏側。
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