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2009/09/07

フィクション。

小池修一郎さんの『エリザベート 愛と死の輪舞』を読みました。

予定の本を読み終わって、今日は家事に勤しむつもりでした。
が、家事をしていると考えたくないことを考えてしまうので、ここは別のことで頭をいっぱいにしようと思って、宝塚関係の某掲示板とか開けてみましたが・・・

相変わらず、なんでしょうけど、皆それぞれに生徒さんをめぐって勝手なストーリーを作って、自分のストーリーの中の登場人物である生徒さんの行動に、勝手に怒ったり嘲笑したり。
よくやるなぁと思いました。
どれも仮定、憶測でしかないのに。
真実であるかのように置き換えたうえでそれぞれの脳内ストーリーがすすんでいる…。

同じフィクションを読むなら、本を読むほうがいいやと思い、本棚を漁って以前読みさしにしたままだったこの作品を手にとってみました。

ところどころにト書きのような文章があったりもしましたが、舞台にはなかったシーンやセリフに、なるほど~と思ったり、
舞台がまざまざと思い浮かぶ箇所があったりして面白かったです。

私は娘役のエリザベートよりもあさこちゃんのエリザベートが好きでしたが、この作品を読んでその理由がなんとなくわかる気がしました。

あさこちゃんのエリザベートを見るまでは、私にとって宝塚のエリザベートは、宮廷を舞台にした嫁姑戦争のような印象でした。
あさこちゃんのエリザベートで、はじめてそうじゃない印象を受けました。

エリザベートという人は、嫁の立場とか、皇后の立場とか、○○の立場に立って自分の行動を規制する人ではない。
「自分」がどうしたいか、どうすべきか、に則って生きている人だと思います。

しかしかなしいかな、宝塚の娘役という人たちは、まず宝塚の娘役という立場に相応しい言動をとることを何よりも優先しているように見えます。
自分を小さな器に収めようとする心の有様が、エリザベートであっても舞台に現れてしまうように私には見えていました。
そうじゃないんだよ、という違和感が拭えなかったのです。
あさこちゃんのエリザベートはそう見えなかったのが、好きだった理由だなぁとあらためて思いました。

「パパみたいになりたい」の場面は、物語上とても重要な場面だと思うのですが、
娘役のエリザベートは、パパに愛されようとする心が見えてしまう気がしました。
この人はあくまでも、パパみたいに“なりたい”のだと私は思います。
私が少女時代のあさこベートが好きだったのは、ここの部分も大きかったのです。
あさこベートは、本当にパパみたいになりたいんだなーというふうに私には見えたので。

それと、トートとのバランスも良かったと思います。
エリザベートの毅然とした拒絶に、トートが退く場面も。
小さく収まりきらないかんじが好きでした。
いつトップになってもおかしくない当時の輝きに満ちたあさこちゃんだったから、というのもあるのかなぁ。

男役としての損得はわかりかねますが、私はあの時期の男役さんこそ、エリザベートに似つかわしいのではないかと思います。
同時に、もっと娘役さんたちを「自由」にしてあげてほしい。
エリザベートを演じても、小さく見えないくらいに。

本の感想じゃなくなりましたが、文章として読んでいて、自分が感じていた違和感の理由がわかった気がして、
とても納得の1冊でした。

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コメント

私もこの本持っています。
今探したけど見つからないけれど(苦笑)

エリザベートが『わたしだけに』を歌う場面が
結構長い描写になっていて、本当に王宮から
抜け出してトートが黒い翼で現れて・・・

舞台だとあの場面の後でルキーニが
『閣下はまたしてもエリザベートを生きながらえた』
っていう台詞を言っても??って感じだったのですが
よくわかりますよねぇ~

あさこさんのエリザベートを観たあとで数年後
となみちゃんのエリザベートを観ましたがわたしも
今ひとつ物足りないものを感じました。確かにTheo
さんの仰るとおりかもしれないわ。
別にとなみちゃんのエリザがどうのこうの
じゃなくて、本来タイトルロールなんですもの。

宝塚はあくまで自分と舞台とジェンヌさんとの
世界なので(あ、心触れ合えるヅカ友さんもね)
その手のサイトは殆ど覗かないのですが。。。
何が楽しくてあんなことしているんでしょうね。

投稿: 一陽 | 2009/09/08 22:21

◇一陽ちゃん、
宮殿を抜け出すシーンとかあるんですよね。
それが新鮮でした。
ナイフの意味もよくわかりました。

私はずっと、エリザベートって自分勝手な女性だなぁと思っていました。
あさこベートを見て、あれ?そうじゃない?と思いました。
とても孤独で。
トートも彼女の中にある影のようなもの?と。

トートってなんだかんだ言って、いつもさいごは退くんですよね。
けっきょくはエリザベートに甘い。
それは人が自分自身に甘いのに近いかんじ。
トートとエリザベートは乖離しすぎないくらいが私は好きです。容姿も。
乖離しすぎると、怪談になってしまうようで。

この本を読んで、「私だけに」の意味がよくわかった気がして、
あさこベートが好きだった理由もわかった気がしました。
孤独で、誰にも頼らない。頼れない。甘えることができない。
(甘えさせることもできない)
そういうエリザが好きだったみたいです。

投稿: theo | 2009/09/08 23:03

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