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2009/09/28

ややこしや。

ブリギッテ・ハーマン女史の
『エリザベート 美しき皇妃の伝説(上下)』を読みました。

んもう、ややこしい人やなぁ~(^_^;)――というのが感想です。
もちろん、トート閣下は登場いたしません(笑)。

エリザベート曰く
「もっとも幸福な人間とは、いちばんたくさん幻を見られる人間のことだ」そうです。

少女時代の彼女は、たくさんの幻を見ていた。
この世の少女たちが夢見る幻のなかでも、もっとも美しい幻も。
でも、それは結婚と同時にあっけなく潰えてしまう。

それから幾度か新しい幻も見たけど、どれもあっというまに萎んでしまう。
彼女は、ひどくロマンチストなくせに、ひどく冷静すぎるのだ。
すぐに幻のその先まで見えてしまう。
情報分析と判断力は抜群だけど、それを自分の幸福のために活かせない人。
見えすぎて、悟りすぎて、諦めて、現実から逃げてしまう人。

美容、ダイエット、過酷なスポーツ(体操、乗馬)、偶像(ハイネ)への傾倒、心霊(スピリチュアル)に命を削るほどのめりこむ心理は、現代女性に通じる気がする。
――プライドが高く傲慢なくせに、小心なのだ。

多動で、常に何かに熱中していなくてはいられなくて、スイッチのオン・オフが激しい人。
スイッチオフになるとぜんぜん使い物にならない人。
義務から逃げまくりながら、時としてその場の誰よりも、的確に行動してしまう人。
でも、その的確な行動を、地道に続けることができない。
気まぐれで、公正さを欠く。
人の一生を生き抜くには、飽きっぽい魂の持ち主。
コミュニケーション能力の欠如――というか放棄。

とても共感できる部分と、腹立たしいところと両方を兼ね備えた人。
自分がやっていることが、自分が見下している人たちと、さほど変わらないということを
コノヒトはどう思っていたんだろう――?
その自己矛盾に気づいていたから、気鬱に取り憑かれていたのかもしれない。

自分を幸福にできない者は、他者を幸福にはできない。

義務に忠実、仕事に忠実、母に忠実、妻に忠実な夫フランツ・ヨーゼフ。
常に何かに忠実で、多くの人々の敬愛を集めていた皇帝は、
1人の私人となると、どう行動すべきかわからない人。
(ワンコみたいな人だなぁ)
作法の中でしか行動ができない人。
愛すべき人ではあるのだけど(時折、かなり可愛らしい)、皇妃以上に
私的なコミュニケーションが不得手で。
互いに、相手に忍耐を強いてしまう。
――忍耐強く温厚な大型犬と、自由と孤独を愛する山猫の夫婦。

先に堪えられなくなったのが、エリザベート。
フランツ・ヨーゼフはおそろしく忍耐強いのだ。幸か不幸か。
夫を敬愛しながらも、夫に女性(女優)との仲を取り持つエリザベート。
自分の義務から逃れたいから。
女優の「女友達」といるときのフランツは、初心な少年のようにとても可愛く微笑ましい。
けれども、とても無神経。
2人は、皇帝と皇妃でなかったら、幸福な夫婦になれたんだろうか?

読みながら、名香智子先生の『レディ・ギネヴィア』を思い浮かべてました。
妻のギネヴィアは部類の馬好きで、馬術教師やアラブのシャー(王)に求愛されたり
シシィと似たような騒動がありましたっけ(笑)。

あの夫婦も、お互いにコミュニケーション能力が欠如していたけど
シシィとはちがって「しあわせな勘違い」をし続けていられるラブリーな人たちでした。
ゆえに波風は立つけど、幸福な結婚生活を送っていたのだなぁ。
(彼らはフィクションですケドね)

「幻」を受け入れて、上手につきあうのが、幸福への道なのかな。

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