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2010/04/15

こわいお人でありんす。

イケメンミュージカル「戯伝写楽」。
イケメンがいっぱいでした。

 

小西遼生さん演じる喜多川歌麿さんはクールビューティ。
冷え冷えとした目ェをしていらしゃります。

 

このお人。
おせいちゃんに負けず劣らず、ヒドイ(笑)。
放つ言葉がいちいち冷酷。
切れ味鋭い刃物のような、ドSの権化みたいなお人。
まともに聞いて受け答えしている鉄蔵さんがMに見えてくるくらいです。
まぁ鉄蔵さんは、彼女に惚れるくらいですから、まちがいないでしょ・・(^_^;)
(本当に、浮雲さんがおっしゃるとおりの人ですね。鉄蔵さん)

 

(以下、ねたばれだと思います)

 

冷え冷えとした目で人の心の奥底まで見透かしながら、
浮雲さんに言わせると「すっとした絵ェ」を描かれるそうです。

 

絵の価値とはなんでしょう。
どんなに「良い絵」であっても、人がお金を出して
それをもとめる気持ちにならなくてはダメ。
そんなことをおっしゃってました。
プロですね~。

 

彼は彼のスタイルを、なにがあっても貫かれるみたいです。
カッコよくないですか?
イケメンは顔だけじゃない。

 

他人に厳しいことをおっしゃいますが、いつも自分に課していることを
言っているだけ。なのかもしれません。
そこが凄いですよね。
この人の生き方も半端じゃないみたい。
なりたくてもなれるものじゃないです。
(てか、しんどそうだから、なりたくない…)

 

舞台の上の歌麿さんは、いわば「カタキ役」。
この人が大きく見えないと、主役も大きく見えない。
スターでカリスマに見える歌麿さんが、写楽の絵を見て
顔色を変えるから、見ている私も写楽って凄いんだーって思う。

 

その顔色を変える、という演技をおおげさじゃなくニヒルに表現する小西さん。
うわっ。極上のイケメンだよ。。。この人。。。と思う瞬間です。
一瞬、温度が上がったかと思ったら、すぐにクールダウンするあたりがイイです。
抑制が効いているひとだわぁ
歌麿さんのそのストイックさに惚れます。

 

こんな性格で、こんな生き方考え方で、
この人幸せなのかなぁ。なんて、ぬるい私は思うけど、
たぶん、この人は他の生き方は望んでいないんでしょうね。
中途半端な生き方なんか、ぜったいしたくないんだろうな。

 

ほんと、絵描き、もの書きとはおつきあいしたくないわ。
作品を見るのはいいけど。
あと、これほどイケメンなら、距離を置いて眺めるのはいいかもだけど。

 

見たままを描くおせいとはちがって、
歌麿さんは、「見たまま」に自分なりのアレンジを施すんでしょう。
カスタマーニーズを大事にされているみたいなので。

 

でも、浮雲さんのニーズには合わないみたい。

 

たぶん、浮雲さんと歌麿さんとおせいは、ぜんぜんちがうようで
似たところをもっているのかも。
人が見えないもの、
見せたくないものが見えるあたりが。

 

カスタマーニーズなんて考えず、天衣無縫に見たままを描くおせいに対して
歌麿さんは、自分のウリ、スタイルを熟知して、人が見せたくない、見たくないと
思うものは排除する方向性? そして残ったところが「すっとした」なのかな。

 

浮雲さんは絵描きではない。
でも見えるのだと思う。
人の素顔や心の奥は。

 

だけど、自分の顔だけが見えない。
自分があまりに鋭い目をしているので、
自分がどんな風に見えるのか、知りたくてたまらないのかな。

 

自分では見えないけれど、でも、こんな風に見えるのでは?という
おおよその予測はあるのだろうな。
いろんな人たちを見てきた経験上。

 

そして、自分が自分の思うとおりの顔をしていたら―――
ああしようと、とっくに決めていたのだと思います。

 

運が良いのか悪いのか、写楽にめぐりあって。
写楽が描いた自分の顔を見てしまった。
だから、しょうがないんです。
納得しちゃったんだもん。
そうですよね。

 

人をそこまでにしてしまう絵を描いているのに、
それにまったく無頓着なおせい。

 

こわいお人でありんす。

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