悲しいやねえ、人ってェのはさあ、
京極夏彦氏の文庫版『巷説百物語』を読みました。
栞や奥付などからみるに、2003年に購入したまま本棚に眠らせていたようです。
2003年――― この年の夏、私はキラキラしたものに魂を奪われてしまったのですよね。
以来、本が読めないカラダに。
それにしても、こんなに面白い本も読めないカラダだったとは。
役者は揃っているし、ストーリーは奇抜。
そういった読み物としての面白さだけではなく、
根底にある人間というものへの慈しみが、物語をより深めている気がします。
その慈しみは表面的なものだけではなくて、差別されるもの、
底辺に生きるものにもへだてなく。
果ては、けだものにも。
・
7つの逸話が収められていますが、
悪党どもの豪快な仕掛けや目くらまし、ここぞという落とし処に思わず唸るもの。
(小豆洗い、白蔵主、舞首、芝右衛門狸、塩の長司)
そして、なんともいえない人間の業に、悲しいねぇとつぶやくしかないもの。
(柳女、帷子辻)
に分かれるかなぁ。
それぞれ、両方の要素もありますけども。
後者は、人の世のならい、掟の中では赦されない業を背負ってしまった者の話で、
落とし処は、もうそれ以外にないのだなぁと。
罪を犯すのも人間。
罪禍に泣くのも人間。
それにしても、山猫廻しのおぎんさん、大変ステキです。
惚れました。
続編が数冊出ているようなので、つづけて読んでいきたいです。
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