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2010年9月の12件の記事

2010/09/30

ベル デアボリカ。

少女漫画がもっともこだわる部分―― 瞳と髪。
それをとってもぞんざいに描くのに、
いい男はいい男に見える作家、それが坂田靖子さん。

ということで、坂田靖子さんの『ベル デアボリカ』を読みました。
Bel diabolica ―― フランス語? スペイン語?
美しい悪魔? 悪魔的な美?
わからないまま読みはじめました。

王様や賢者や魔法使いのいる世界。
大国に組する近隣国に囲まれ、あとさきのない弱小国の若き王。
彼の無謀な行いを発端に、気まぐれな魔物(魔法使い)が彼に味方する。
国1つ、かんたんに滅ぼしてしまうような魔物。
人の死を、なんとも思わないような魔物。
美しいそれ。

自由で気まぐれでワガママな存在なので、なぜ味方をしてくれたのかわからない。
いつまで味方をしてくれるのかもわからない。

礼を尽くしても、価値観が異なるのでなんとも感じてくれない。
むしろ鬱陶しそうにしたりする。
いつ、なん時、ここより魅力的なものをみつけていなくなってしまうかわからない。

気まぐれでワガママで気難しくて美しい魔物。
失えばさびしい。(というか国が滅ぶ)
でも、どうすればいいというすべもない。
そんな関係。

ああそうか。戯伝写楽のおせいちゃんも同類だったんだな。

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2010/09/25

お望みの結末。

波津彬子さんの『扉をあける風』を読みました。
シリーズ最終巻です。

猫のヴィルヘルムがどんどん猫又化してる~(^_^;)

  猫はね
  体が眠っている間
  魂はどこでも行けちゃうんだよ

結婚できない男、コーネリアス・エヴァディーンも
とうとう結婚。
読者の誰もが望んでいただろう相手と(笑)。

重たい扉がとつぜん軽々と開いて、なんなく隣の部屋に行けてしまうことがある――
結婚って、タイミングですよねー。

異国のホテルで知り合った上流の人々の交流。
うさんくさい人や、偽名の人も混ざったりして。
荻田先生の「マラケシュ」を思い出しました。

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2010/09/24

Under the Moonlight.

波津彬子さんの『花々のゆううつ』を読みました。
シリーズ4冊目。

猫のヴィルヘルムがたまりません。
表情豊か。

エヴァディーン卿の結婚はなかなか決まりませんねぇ…(^_^;)
富も爵位も美貌もあるのに。。。。
残る1巻(最終巻)で決まるんですよね。
やっぱり相手はヴィルヘルムゆかりの彼女かな。
(そういえば、坂田先生のバジル氏は結婚しないままでしたよね・・・)


今夜も月が綺麗です。
ディナーショーの申し込みもしなくては。
がんばって働かなくちゃ。

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2010/09/23

十六夜月に。

雲間から、月が煌々と輝いています。

昨夜は十五夜、中秋の名月でしたが、
じつは、今年は十六夜の今夜が満月です。

たしかに今夜の月は、昨夜の月よりほんのすこしメタボかも(笑)。
肌寒いくらいの澄んだ空気に、冴え冴えと輝く望月。
十六夜こそと云うのもうなづけるような。

こんな夜はやはり波津彬子さんでしょう…ということで
『空中楼閣の住人』を読みました。

「うるわしの英国シリーズ」の3冊目。
前2巻は読みきりの短編集でしたが、
これは3回連載が2作収められています。

エヴァディーン卿や猫のヴィルヘルムは出てきません。
かわりに出てくる骨董古美術を扱う貿易商のマクラウドは素直な感情表現が苦手っぽい。
なのであまり軽快洒脱に話がすすむ・・・ってかんじではないです。
むしろ、引き取った少年ヴィクターとのあいだに誤解が生じてしまう。
考えたら、この2人って性格が似ているのかもしれないけど…(^_^;)。
とりまく気の好い人々のおかげで、なんとか上手くいくけど。。。
愛すべき、めんどうくさい奴らです(笑)。

黒猫のユーイェンが可愛いです。
あの目で語りかけられたら、たまらん

妖精がいて、小鬼がいて、ドラゴンがいて(小さくて可愛い)、
五爪の龍やキマイラが動き出す。
波津さんの美意識の高さに感歎。

そういえば、お金持ちの男爵がパトロンの座を狙っている歌姫が
私の脳内では、彩乃かなみちゃんでした。

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2010/09/22

夢のありか。

波津彬子さんの『中国チャイナの鳥』を読みました。
同じシリーズの『月の出をまって』がよかったので。

子どもの頃からコミックは大好きで、
ずっと読み続けていたのですが、7,8年前から
どれを読んでもわくわくしなくなってて・・・
いつしか、コミックを読まない生活になってました。

原因はきっと、大和悠河さんですけど(笑)。
脳みその出来がお粗末なので、2つ以上のことを並行して処理できにゃいみたい。。。(^_^;)

宝塚って、舞台公演中のみならず、お稽古期間もそれ以外も
CSや機関誌やもろもろもろもろで、心を贔屓役者さんに縛りつけるところですね。
それに捉まると、私みたいな脳みその人間は、ほかのことが考えられなくなります。

さすがに、彼女が退団して1年余たち、
いまのスケジュールにカラダが慣れてきたようで、
「次」の告知があるまでは、焦れても無駄、
ただいつなんどき告知があってもいいようにニュートラルにかまえているしかないと
体得できるまでになったかな。

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2010/09/21

やさしい嘘を。

もうすぐ十五夜。中秋の名月です。
それにちなんで・・・というわけではありませんが、
波津彬子さんの『月の出をまって』という短編集を読みました。
「うるわしの英国シリーズ」という副題があらわすように
ヴィクトリア朝の貴族たちが登場します。

中国や日本の骨董品の精が
語りかけてきたりお茶を入れてくれたり。
そそっかしい幽霊が人ちがいをしたり。
ふてぶてしくも愛すべき猫に翻弄されたり。

不思議なことに驚きながらも、それに巻き込まれることを厭わず
受け入れている人たちがステキ。

優雅ってこういうことかも。

 ―― うそだとわかってもいい
     もちろん信じたままでもかまわない
     ただ この家族がしあわせそうだと思ってくれて
     この絵を大切にしてくれる人にこの館を譲りたい ――

ある老紳士のねがい。

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2010/09/20

阪急電車。

10年以上前のことになりますが、
3年ほど阪急沿線に住んでいました。

夫の転勤で関西に引越しが決まったとき、
相談した方たちが口を揃えて「住むなら阪急沿線がいいよ」
と言われました。
だからではないのですが、町並みや印象、
ことにちょうど満開だった桜並木の晴れやかさに惹かれて
住むことに決めたのは阪急沿線のまちでした。

結論を言えば正解だったなぁと思います。
いい方たちにめぐり会えて、愉しく刺激的な日々を過ごしました。
それが阪急沿線と関係があったかどうかはわかりませんけど。

住んでいたのは阪急沿線でしたが、1人、あるいは趣味友さんとよく訪ねたのは近鉄沿線。
「冥途の飛脚」(心中・恋の大和路)よろしく藤井寺、羽曳野、八尾、南河内・・・そして奈良。
お墓(古墳)が好きなんで。
古事記や日本書紀に出てくる地名にバンバン遭遇して、興奮したものです(笑)。

雰囲気もやはり阪急沿線とはちがってたかなぁ。
なにか心の奥のほうからざわめくような・・・われ知らず惹かれるものがありました。
阪急=ニート(neat)。近鉄=ソウルフル。ってかんじかなぁ。

さて、関係ない話が長くなっちゃいましたが、有川浩著『阪急電車』を読みました。
阪急今津線(の北線)を舞台にした小編が、駅の数だけ8編×2(折り返し)=16編。
宝塚歌劇に通っていた身には、見慣れた地名が出て、懐かしくうれしかったりもしました。

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2010/09/19

どすこい。

京極夏彦著、文庫版の『どすこい。』を読みました。
パロディ・・・なのかな。
いや。すごいの。すごいふざけてるー。
とにかく馬鹿馬鹿しい。けど読ませるんですよね。
それだけの筆力と情熱?があるっていうか。
ようするに、わけもわからず面白いです(笑)。

『四十七人の力士』
『すべてがデブになる』
『土リング俵・でぶせん』
『パラサイト・デブ』
『脂鬼』
『理油(意味不明)』
『ウロボロスの基礎代謝』
の7篇から成ります。

見覚えのあるようなタイトル(笑)。
といっても私は元ネタをどれも読んだことがないけど、愉しめました。
それぞれのストーリーが微妙~にリンクしているというか
作中人物が、別の話では語り手だったり、
別の物語の書名が登場したり、
さすがと思わせる伏線の巧さ。

名前を変えて登場する女性編集者のキャラがイキイキしてて好きでした。
作者、S度の高い女性に嬲られたい願望があるのかな(笑)。

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2010/09/17

魔性と純情。

波津彬子さんの『幻想綺帖 二 玉藻の前』を読みました。

一は、短編集でしたが、二であるこちらは、
岡本綺堂の伝奇小説が原作です。
岡本綺堂といえば、本邦における探偵小説(捕物帳)の先駆者!
っていっても、私は未だ「半七捕物帳」を読んだことがないですが…

中国では妲己、天竺では華陽夫人に化けて
国を滅ぼそうとした九尾の千年狐狸精が本邦で化けたのが
この玉藻の前・・・そして、保元の乱につながる――
という歌舞伎や人形浄瑠璃にもなっている伝説が元ネタです。

妖狐にとり憑つかれる前の藻(みずく)という少女と千枝松との
淡い恋のくだりが綺堂のオリジナルなのかな。

玉藻の前の魔性ぶりと、
彼女の中の藻の面影と師匠(陰陽師の安倍泰親)との間で
揺れ動く千枝松の葛藤が読みどころ。
ラストが好きでした。
愚かで一途ではかなくて ―― でも、これもひとつのしあわせかな。

波津さんやっぱりいいなぁ。
「半七捕物帳」も読んでみたい。

(追)
宝塚GRAPH 10月号の表紙のまりも姐さんに、
玉藻の前をやってもらいたいです。
まさおちゃんとみりおちゃんは、
姐さんに誑かされなさい!(笑)って。
←コレね。

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2010/09/15

うつろふものは。

今市子さんの『幻月楼奇譚 3』を読みました。

相変わらずストーリーテラーだなぁ。
盛り込みすぎて1回では、???の部分もあるのですが、
2度読みすると、ああ!という感じ。

そして相変わらずカラーイラストの美しいこと。
カラーページもぜんぶ、そのままの色で見てみたいなぁ。
(なら雑誌で読めってことですよね…(^_^;)

人に上下があり、身分違いが存在する時代のお話。
「家族」がいろんな無理をしても、
「家族」でなければいけない時代のお話。

夫婦が相手を違えずに何十年も連れ添って、
おなじ両親から生まれた兄弟姉妹だけが存在する、
そんな時代って、たかだか100年にも満たないんだな。
それ以前は、母親のちがう兄弟やら、義理やら血のつながらない関係で
「家族」は成り立っていたんだなぁ。
それぞれのいろんな思いを呑み込んだ「家族」が。
そんなことをしみじみと思いました。

叶わぬ恋や花街のシステムからはみ出した思いや。
そうした生きている者そうでない者の、認められなかった思いや
残された思いに、すこしだけ色をつけて引導を渡していく。
そのやさしさと冷たさが、今さんの世界だなぁ。

幻月楼のミステリアスな美人女将を檀れいちゃんで見てみたいなぁと思いました。

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2010/09/14

儚くてやさしい。

波津彬子さんの『幻想綺帖 一』を読みました。

波津さんの描く幽霊や妖しのものたちは、
おどろおどろしいのとはちょっとちがって、なんだかやさしい。
じつは、波津さんの作品を読むのは7~8年ぶりだと思うのだけど
不思議なやさしさ健在でうれしかったです。

この作品は、古今東西の幻想奇想譚を漫画化した原作ありものなのですが、そのチョイスが、波津さんらしいなぁ。と思いました。

怪談雑誌からの依頼で「耳袋」から選んで執筆したのが
「幽霊、恩を謝する事」。
亡くなった人の幽霊が、恨みに出てくるんじゃなくて
感謝の言葉を伝えに出てくるというもの。

芥川龍之介をネタに依頼されたときに選んで描いたのが
「夜半の膳」。
亡くなった前妻といまの奥さんが、夜な夜な台所で仲良くご飯を食べる話(笑)。
いまの奥さんは、自分が夜中にそうしていることに気づいていないのね。
仲がいいからいいのかな(笑)。
目撃した旦那様はフクザツですよね。
そのなんともいえないほのぼのさ?が波津さんらしいタッチで描かれていて
大好きです。

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2010/09/04

すご。

京極夏彦著『覘き小平次』を読みました。
(ねたばれします)

いやもう。すごーい。
一日中押入れにこもって、ちょっとの隙間から世間・・・というか女房を覘いている男。
彼と彼をとりまく人間たち6人の心の奥底を、歌舞伎にもなった怪談を元ネタにして描き出してあるんですが、
それぞれの心が本当によくわかる・・・。
いわゆる“まっとう”な人なんて、誰一人いないのに。

それぞれに陰惨ともいえる過去があり、その誰とも関係のなさそうな過去が偶さかつながっていて、つながっていることに気づかないまま、今がすすんでいく。
つながっているからどうだってことじゃないんですよね。
歌舞伎なら、因縁話になるところでしょうけど
そうじゃないのが、京極本。

つながっていようが、それぞれの思い、思惑がまったく異なるから
かみ合うものでもない。
皆、己の中でしか生きちゃいない。

相変わらず、きっぱりと潔い、肚の据わった女性が登場するのが京極氏らしい。
またしても、その女性(お塚さん)に惚れる私・・・(^_^;)
小股の切れ上がったいい女。
彼女の過去も興味深かったです。

会ったこともない人の絵姿に惚れて、思い込みの一念で
何不自由ない家を飛び出す。
あるでしょ。こういうこと。

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