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2010/09/30

ベル デアボリカ。

少女漫画がもっともこだわる部分―― 瞳と髪。
それをとってもぞんざいに描くのに、
いい男はいい男に見える作家、それが坂田靖子さん。

ということで、坂田靖子さんの『ベル デアボリカ』を読みました。
Bel diabolica ―― フランス語? スペイン語?
美しい悪魔? 悪魔的な美?
わからないまま読みはじめました。

王様や賢者や魔法使いのいる世界。
大国に組する近隣国に囲まれ、あとさきのない弱小国の若き王。
彼の無謀な行いを発端に、気まぐれな魔物(魔法使い)が彼に味方する。
国1つ、かんたんに滅ぼしてしまうような魔物。
人の死を、なんとも思わないような魔物。
美しいそれ。

自由で気まぐれでワガママな存在なので、なぜ味方をしてくれたのかわからない。
いつまで味方をしてくれるのかもわからない。

礼を尽くしても、価値観が異なるのでなんとも感じてくれない。
むしろ鬱陶しそうにしたりする。
いつ、なん時、ここより魅力的なものをみつけていなくなってしまうかわからない。

気まぐれでワガママで気難しくて美しい魔物。
失えばさびしい。(というか国が滅ぶ)
でも、どうすればいいというすべもない。
そんな関係。

ああそうか。戯伝写楽のおせいちゃんも同類だったんだな。

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