うつろふものは。
今市子さんの『幻月楼奇譚 3』を読みました。
相変わらずストーリーテラーだなぁ。
盛り込みすぎて1回では、???の部分もあるのですが、
2度読みすると、ああ!という感じ。
そして相変わらずカラーイラストの美しいこと。
カラーページもぜんぶ、そのままの色で見てみたいなぁ。
(なら雑誌で読めってことですよね…(^_^;)
人に上下があり、身分違いが存在する時代のお話。
「家族」がいろんな無理をしても、
「家族」でなければいけない時代のお話。
夫婦が相手を違えずに何十年も連れ添って、
おなじ両親から生まれた兄弟姉妹だけが存在する、
そんな時代って、たかだか100年にも満たないんだな。
それ以前は、母親のちがう兄弟やら、義理やら血のつながらない関係で
「家族」は成り立っていたんだなぁ。
それぞれのいろんな思いを呑み込んだ「家族」が。
そんなことをしみじみと思いました。
叶わぬ恋や花街のシステムからはみ出した思いや。
そうした生きている者そうでない者の、認められなかった思いや
残された思いに、すこしだけ色をつけて引導を渡していく。
そのやさしさと冷たさが、今さんの世界だなぁ。
幻月楼のミステリアスな美人女将を檀れいちゃんで見てみたいなぁと思いました。
| 固定リンク | 0
« 儚くてやさしい。 | トップページ | 魔性と純情。 »
コメント