すべては淡い夢です。
ゲキ×シネというのを初めて見ました。
前から興味はあったのですが、
いつも気がついたら、上映日程が残り数日で都合があわなくて・・・
今回も、あと2日だったので、明日しかない!と思い仕事帰りに。
見たのは、「ゲキ×シネ蛮幽鬼」。
すごかったです。見てよかったー!
これは現代のカブキ?
シェイクスピアの悲劇の要素とシェイクスピアの喜劇の要素も。
脚本がほんとうにいい。
演出も演者も、撮影も編集も、凄まじく最高。
スペクタクル。
まさにエンターテイメント。
ライブ感がつたわってくる映像。
ここぞ!というアングルの映像でした。
(以下ねたばれです)
・
実行犯はすぐに見当がつきました。
それだけに、いいの?いいの?とドキドキしながら見ていました。
人の命、人生の重みにまるでリアリティを感じていない男がかわいそうでした。
現実も絵空事もおなじ次元。
自分が経験した酷い体験も、彼のリアルではないのだなぁ。
フィクションのように、筋書きを書いて、人をその通りに動かしていく。
洞察力も人の心を読み取る力も、筋書きを実行する能力も
なにもかも備わっているのに、自分が存在する理由だけが
彼には備わっていなかった。
人を殺すために生まれ、育てられ、
その能力に長けているがゆえに、存在を消された。
存在理由ゆえに、存在を否定された男。
笑顔で人を殺す男。
かなしい・・・。
負傷した自分の手下の女を負ぶう男。
フェミニスト? 人たらし?
わざわざこういうシーンをもってくるのはどういうこと?
娘に家宝の懐剣を贈ったとき、もしや?―― そうだったのか!と
それまでの伏線が見えてきました。
遠まわしに遠まわしに人の心を遠隔操作する。
尊敬される立場。
相手を思いやる善き人の顔をして、
正論でまわりの人間たちの心の自由を奪っていく。
欲望に忠実な者たちは、いとも容易く操られ、
正しくあろうとする者には、己の落ち度を痛感させ
自分のせいだと感じさせる。
スーパースペシャルなモラハラ男。
まわりのすべての人間を見下していた男のただ1つの誤算は
自分と同等レベルの人間が存在し、操る糸に絡んできたこと。
別の目的をもって。
他人の描いた筋書きに操られ、人生を狂わされた者たち。
たとえ筋書きどおりであったとしても、命を賭して信じ、憎み、愛した。
その重さ、その果敢なさこそ真実。
信じること、憎むこと、愛することで、人の心は牢獄に囚われる。
けれども、それが生きること。 なのかも。
たくさん信じて、たくさん憎んで、たくさん愛した人生がおくれたら
人は己の人生に満足できると思う。
サジにはそれがなかった。
サジに、土門が臨終に云った来世がありますように。
信じて、憎んで、愛する―― そんな来世がありますように。
森奈みはるさんが歌う主題歌を聴きながら、涙がこぼれました。
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