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2011/02/27

そらごと。

あさのあつこさんの「十二の嘘と十二の真実」という本を読みました。

 

王や后や公爵や侍女が登場するファンタジーのような物語と
平成の大合併やら温暖化やらを普通に口にするどこかの田舎町の老女の語りとが交互になっています。

 

いつも欲しい言葉を語る侍女。

 

あなたは正しい。
あなたは美しい。
あなたは偉大な方。

 

その言葉に頼って、いろんなものを見失っていく后。

 

いつしか、自分を讃えるその言葉を聴かないではいられなくなる。
不安で。

 

正しくあらねば。
美しくあらねば。
偉大であらねば。

 

正しいあなたはこうすべき。
美しいあなたならこうすべき。
偉大なあなたはこうしなければ。

 

間違ったものには厳しく。
罪を赦してはならない。
あなたに逆らう者は即ち悪。

 

圧制者は1人で為るものではないのだなぁと思います。
その全てを肯定し、その自己愛を肥大化させる者がいてこそ
圧制者、独裁者は育っていくんですね。

 

讒言を信じ、諫言に耳を貸せなくなる。
破滅がすぐそこまで来ていることにも気づかずに。

 

身の回りに、そんな侍女のような存在はいないか。
自分の心のなかに、そんな侍女はいないか。

 

そんな侍女に、自分を委ねてはいないか。

 

自分を肯定することは必要だけど
心の侍女が暴走しないよう上手につきあわないとなぁ。

 

かつて心の中の密告者に振り回されて、散々な目に遭ってしまってた私は
そう思うのであります。

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