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2011/02/03

ゆらゆら。

博多座にて坂東玉三郎特別公演「海神別荘」を見ました。

美しくて幻想的な舞台でした。

海神の公子の人間とはちがう感覚に
ときに頷き、ときにそうはいかないのよ人間は…と思い
人であることを考えさせられ、、、

ああ、悠河さんってそっちなのかも。。。と
浮世離れした人を思い起こしたりもしました。
悠河さんに似合う世界かもしれないなぁとも。

獅童さんは、浮世離れしたまっすぐで純粋でイノセントで
やさしくて残酷な公子を強弱豊かに演じられてました。
謙虚さと傲慢さ、両方をもつ公子でした。
気品があってお茶目でもあり、
愛されながらも畏れられる公子 ―― 海を統べる存在でありました。

お声が魅力的でした。
コスチュームもとっても似合って、床を引くマントの裾までとてもステキでした。
動きの一つ一つが計算されていると思います。

玉三郎さんはそこに居るだけで、世にも稀な美女。
美しくてスノッブな人間の女性。
後ろ姿も裾引く衣の先もすべてのしぐさが美しかったです。
お衣裳も美しかったなぁ。
唐風のローブのような純白の、石がキラキラ煌いてて。

お2人の衣裳に、
そしてお腰元たちの紅色、黒潮の騎士たちの黒と青緑、
幻想的な淡い色調の舞台セットも美しかったです。

黒潮の騎士たちが黒いマントをゆらゆらと揺らめかせると
裏側の青緑が現れてまるで海の中のよう。
上から見ると舞台奥まで見えて、フォーメーションも美しくて
うっとり見蕩れました。
幻想的。

黒潮の騎士たちが操る白蛇がまた、ため息ものの動きをしていました。
その中にたゆたう美女。
美しいことこのうえなし。

お腰元たちがとても愛らしかったです。
しぐさも姿(しな)も笑い方も。
公子を目の前にして、僧都の言葉を復唱するところとか。
男の方たちが演じてらっしゃるのにですねぇ。不思議。
本当にイノセントな愛らしさでした。
それがまた、現世と隔てられた不思議さで、
この世界のものではない雰囲気を醸し出していて
なんだか、私の大好きな世界でした。

1人1人も愛らしいのですが、それぞれの姿作り、立ち位置がまるでリズムのように
舞台に配置されていて、紅色の打ち掛けが作り出す花のような舞台。
お腰元たちの打ち掛け、綿なしで薄い衣のような感じで
裾がラウンド型なんです。
広がった裾がまぁるくて・・・
後ろ姿は西洋のドレスのようにも見えます。
とってもステキな打ち掛けでした。

そして・・・かれらの口から紡ぎだされる鏡花の言葉の美しいこと。
宝石のように煌びやか。

この世のものではないような世界にひたった1時間と40分でした。

夢見心地で劇場を後にしますと
折りしも今日は節分で、エントランスで櫛田神社の豆をいただきました。

劇場を出たところのお寿司屋さんの軒先では、恵方巻きが売られていて
お土産に購入。

10年余り前、関西で恵方巻きの風習を初めて知りましたが、
まさか全国区になるとはねぇ・・・と感慨深い思いがします。


(追記)
プログラムを見ますると、お衣裳・美術は天野喜孝さんなんですねぇ。
さもありなんです。

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