はらいそ。
はらいそ ―― PARADISO ―― 楽園。
ゲキシネ「SHIROH」。
一幕の終わりに山田寿庵(高橋由美子さん)と
もう1人の四郎(上川隆也さん)の対話が好きでした。
思惟の中に引き込まれそうな。
宗教とは哲学とは、内なる声との「対話」だと思います。
かつては父なる神に愛されている自信に満ちていたのに、
いまは神に見捨てられたと思っている益田四郎。
満月より三日月が好きだという寿庵。
人は見たいと思うものを見る――
もう少しで、何か朧としたものがわかりそうな気がする・・・
そんなときに、父益田甚兵衛(植本潤さん)と姉お福(杏子さん)が
捕らえられたとの知らせで、2人の対話が途切れてしまいます。
あ~~~
そこから怒涛の展開。
2人のSHIROHが手を結び、決起。
島原の乱 ―――
・
敵味方それぞれの思惑がとぐろを巻きながら二幕へ。
松平伊豆守(江守徹さん)の語り、会話に中島かずき節炸裂。
悪人に、人を唸らせるような言い分があって、
仮面の裏に潜ませているものを仄めかす。
悪い大人を魅力的に描く人ですね。
彼に操られる人。
彼ほど割り切れない人。
彼を憎む人。恐れる人。
彼の揺るぎなさを信じる人。敬愛する人。
何を信じるのかと問われて、何も信じないと答える伊豆守。
何も信じないということは、いつも想定外を考えて手を打つということ。
想定外が想定内な男。
彼の思惑どおりに物事が動き、ドラマが動く。
悪人が魅力的なほど、作品も魅力的になる典型だなぁ。
神に見捨てられたと思い、見失った光をもとめて彷徨える男。
かたや自分を見捨てた神を憎み、神に抗う男。
最期に何を見た?
光は見えたのか。
生きることが罪を重ねることなら
なぜ神はこの地上に人を満たすのか。
神に抗い、宿命に抗い、宇宙の摂理に抗う人の姿を見んがため?
抗う人の姿こそ神の希望か。祝福はそこにこそありや。
慈しみはそこにこそありや。
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