プロフェッショナル。
御園座公演「綺譚桜姫」の千秋楽と楽前日の3公演を
続けて見ました。
この公演、本読みから本番まで半月ほどしかなかったようです。
震災後のお稽古は大丈夫なんだろうか。
日にちは大丈夫なんだろうか。
一ファンとして、どきどきしながら初日の報告を待ちました。
私の初見は楽前日の4月5日。
もう少し早く駆けつけたかったけど、
月初、年度初めと重なって、
さらに震災のニュースが日々途切れることのない中、
自分の愉しみのために連泊するとは家族にも言い切れずで
本当に本当に待ちに待った初観劇日でした。
先にご覧になった方たちからは、すごくいいわよ~
心配しなくていいですよ~ 期待して~
とのご報告。
よしやった!と思いつつも
本当に本当に見るが見るまでどきどきでした・・・
どきどきするのは、どの公演の初見でもそうなんですけど
今回は、二重三重に本当にどきどきだったんですよ~
(ひつこい・・・)
・
御園座は、日本一長い花道がある劇場だそうな。
椅子も幅が広めでゆったり座れる感じ。
由緒正しき劇場の雰囲気です。
舞台に緞帳は掛かっていなくて
扉を入った瞬間から舞台の上のセットが見えていました。
まるで難破船のような、朽ちた黒っぽい木の柱や欄干が
それぞれに違う方向に傾いたように立っていて
そこに、禍々しい赤い長い領巾のような帯のような布が、絡みついています。
不思議な、すこし気味の悪いような怖いような・・・
じつは私、舞台がはじまるまで、自分が下手ブロックに座っていると思っていたのです。
そうしたら、ほぼ目の前あたりにメインの御三方が立たれて、あれ?
もしかしてセンターブロックだったの?と気づいたのです。
それくらい客席に座ったときから、自分の平衡感覚もあやしくなっていたようです。
花道もあったりする上に、不思議な傾いだ舞台セットに目眩まされてしまっていたようで。
回り舞台の上で、その傾いだセットが回ると、向こう側から
橋の下をくぐるように現れる桜姫が背負う帯結びには
例の赤い長ーい帯が差し込まれています。
そんな無理やん、絡まって身動きとれんようになるやん、、、、
こんがらがるってば。
ですが、そうはならないのです。
白装束の男性コロスの方々が見るも見事に裁いてらっしゃるんです。
踊りの振り付けのように。。。いや実際振り付けにあわせて。
ひょえ~。
これを考えた人、振付けた人、実際に裁いてらっしゃる人の頭の中は
いったいぜんたいどうなっているんでしょうか。
白装束の男性コロスの皆さんが登場すると、舞台から桜の御香の香りが漂ってきます。
空調から流れてくるのか、誰かの衣に焚き染めてあるのか。
私は松若梅若兄弟(津川兄弟さん)が舞台にいると匂うような気がしましたけど。
どうなのかなぁ。
(千秋楽の出で、松竹衣裳さんが抱えている箱から同じ匂いがした気が…)
匂いも舞台演出の一つなのでしょうか。
男性コロスの方たちは、白装束の着物袴がメインで
顔には、刷毛で刷いたような白い化粧がすっすっと描かれていました。
それが、とっても素敵です。
彼らは基本、生身の人間ではなく、桜の精のような・・・
でもある時は、
ここにはいない松若と梅若という桜姫の2人の兄の幼い頃であったり(津川兄弟さん)
白い烏帽子と直衣の桜姫の父、吉田少将であったり(朝廣亮二さん)
白綾の袿に桜の花びらが散る被衣(かずき)の兄弟の母であったり(加納明さん)
もします。
過去の記憶の中の面影、桜姫の心象風景、幽玄の世界のものたちなのか・・・
桜姫の心に連動するかのように、舞い、躍り、歌い、流離い、
桜姫とともに目が離せない存在でした。
時には、桜姫も権助も清玄もいない舞台で剣舞や跳躍を見せていて
思わず、ほ~!とかうわっ、と思いました。
というか、すごすぎて見てたら思わず声が出ちゃうんですよ。
その装束でそんなに跳ぶ? その姿勢キープして廻る? 側転しちゃうの???と。
藤浦功一さんってダンスの方なんでしょうね、凄すぎ。
町田正明さん(後ろ髪括ってらっしゃった?)と永野拓也さん(細い~!)と
お三人で躍動的に踊ってらっしゃいました。
男性の踊りの力強さを感じました。
加納明さんは、剣舞のときの気合が凄いです。目力も。
さっき兄弟のお母さんやってたのにーとちょっと思ったりして(笑)。
千秋楽のカーテンコールで並んでいらっしゃるときの表情も意外と可愛かったです。
津川鶫汀さんは17歳、祀武憙さんは14歳だとか。
お兄さんのほうが華奢なかんじで、弟さんは大きくなりそうなかんじ(^^)
兄が弟の手を引くところがなんともじーんとして、
この2人が、将来あーーーんな狂気の人やら悪党やらになっちゃうの???
と思うと信じたくないような、だからこそせつないような・・・(涙)。
体格の良い大人の男性の中にいると、本当に可愛いなぁと。
でも、扇を持って踊ったり剣を振り下ろすときはキリッと。
青海波を表現する布をさばくときの段取りの隙のなさとか、プロですね。
いろんな意味で凄いわっ凄いわっ、と思って見てしまいました。
(はまって応援されているファンの方たちの気持ちがわかる気がします)
森田浩貴さんは歌の方で、悠河さんの他は彼だけが歌を歌ってらっしゃいました。
すーごく難しそうな旋律を凄く張りのあるお声で
そして物悲しくも心に染みる斉藤恒芳先生の世界を表現されていました。
踊りも踊ってらっしゃいましたよねぇ。
いろんなジャンルからこの舞台に集まって来られてて
お1人お1人が凄く見せてくださって、目がいっぱいほしかったです。
3公演とも前のほうのお席だったため視野が広くなくて、
花道でのパフォーマンスをしっかり見るのが難しかったのが残念です。
桜姫のどんな動きにもその場で対応し、さばいてらっしゃって
悠河さんは安心して任せられたようで。
思えば、お稽古期間の短さに心配した私が愚かでございました。m(_ _)m
地震の後で本当にお稽古大変だったのではと思うのですが、
こんなにすばらしい作品を短期間で仕上げられたなんて
作った方たちも、演じた方たいも、周りの方たちも
私がいうのもおこがましいけど、プロだぁ~~とつくづく思いました。
本当にプロフェッショナルなカンパニーだなぁと。
(橋本さとしさんにナレーション入れてもらいたい~(笑))
楽前日と楽とバタバタっと3公演しか見られなかったのが
本当に本当に残念で。
来年桜の季節にかまた、再演していただけないでしょうか。
できたら、もうちょっと前に日程をずらしていただけるとありがたいなー。
(末締めのため、月初は・・・涙)
再演希望、どこに言ったらいいんでしょうねぇ。
御園座さんでしょうかねぇ???
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コメント
ほんとにどこにお願いすればいいのやら?ぜひとも再演していただきたいです…そして再演の折には、ぜひ二階席からご覧になってみてください!もうそれはそれは美しいですからーーー!
theoさんが素晴らしい感想を余すことなくupして下さったので、これを読みながら再び桜姫を脳内上演しています。(あと書き残していらっしゃることは…姫のビジュアルくらい?)
投稿: rue | 2011/04/08 00:00
実はさっき11日以来最大の余震があって津波警報が
宮城県では出ていて。。。という状況なのですが。。。
この公演観てみたかったな。
花道というのが何とも好きなんです。
歌舞伎座建て替えの為東京ではあちこち小屋を借りて
やっているのですが、日生劇場ではながーい花道を
作ってやっています。
そうそう、外部のお稽古期間は比較的短いですよ。
それでもって皆さん掛け持ちで途中から入ったり
とかもあります。多分我がご贔屓さんも次の公演
中にその次のお稽古が始まってしまっている筈で
後から参加になるんじゃないかなぁ~~
投稿: 一陽 | 2011/04/08 00:33
◇rueさん、
この舞台、上から見ると綺麗だろうな~と思いながら見てました。
女性コロスが上手から登場のときも
まるで靄の中から現れてきたようでした。
再演希望は、主催の御園座さんと、
それからそれから・・・とりあえずどこの劇場に行ったときでもアンケートには、
ぜんぶ御園座さんで見た綺譚桜姫を見たい!と書き続けようかと思います(笑)
あと、権助さん清玄さんも書きたいし
荻田先生の脚本についてもいろいろ思うし
もちろん悠河さんも!(笑)
本当に次から次と、いろいろ刺激をうけた作品でした~
あー、まだ見ていたかったです~
p.s.地震大丈夫でしたか?
◇一陽ちゃん、
大丈夫でしたか?
宮城県沿岸部は防波堤も決壊したままだし
浸水したままのところもあるようで、すこしの津波も心配ですよね。
それから原発も・・・
いつまで続くのでしょう。
綺譚桜姫よかったですよ。
荻田先生やっぱり凄いです。
再演が叶った折にはぜひ♪
投稿: theo | 2011/04/08 00:56