無常を愛する人。
夢枕獏の陰陽師シリーズ(文庫版)を最初から読み直しています。
2冊目の「飛天ノ巻」まで読みました。
十何年も本棚に入っているので紙が茶色く変色しています。
私が持っている1冊目の「陰陽師」は
←これと表紙絵がちがいます。
散る花を想い、
咲き残った花を想う
源博雅が好きです。
彼の純粋さに涙が溢れてしまうことがあります。
音楽の天才で
鬼をも哀れと思い
この世に生じるすべてのものを愛することができる
類稀なる才のある人です。
でも安倍晴明にいつも思うがままにされているように見えます。
それをすねてみたりするけど、
根っこでは晴明を信頼している。
自分をからかったり手玉にとったりしている相手のことを
幸せな気持ちにしてしまい
こいつには敵わないと思わせてしまう
そんな人間の大きさがあります。
そんな人だから、移ろいゆく時の流れに
自然と感じ入り
移ろう時の流れに抗い
鬼となってしまった人をも
憐れと思い涙する。
自然の摂理、宇宙の営み
誰の身の上にも時は平等に過ぎていくということ
生き物にも非生物にも
自らはそれらを受け入れ
しみじみと感じ入り
受け容れられぬ人の心にもまた寄り添える。
好い漢だなぁ。
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