かなしみとおかしみと愛おしさと。
夢枕獏著『陰陽師 夜光杯ノ巻』と
『陰陽師 瘤取り晴明』と『陰陽師 首』を読みました。
『陰陽師 夜光杯ノ巻』は例によって短編が9つ収められています。
琵琶が、博雅に弾いてほしくて、他の誰が鳴らしても鳴らないなんて
なんていじらしいんでしょ(笑)。
愛しい人を待ちわびて正気を失ってしまった人。
神泉苑の池が天竺の善女龍王殿が棲む池につながって
諸仏が博雅の笛に感応し光の中に宇宙が生まれる。
稚きものたちを慮って我が身はぼろぼろになって
家主に松の木を伐らないでほしいと頼みに来るもの。
亡くした子を思う気持ちと呼応するもの。
天空を彩るいにしえの不思議の鏡。
愛嬌のある地獄の獄卒たち。
素直でかなしい小坊主さん。
法力稀なる浄蔵法師の深く激しい恋の安穏な結末。
どれもこの世に生じるものたちを愛しく思えるお話ばかりでした。
『瘤取り晴明』と『首』は村上豊さんの絵による絵物語。
恐ろしいはずの百鬼夜行の鬼たちがなんともユーモラス。
人は約束を違えても鬼は約束を違えません(笑)。
これは「こぶとりじいさん」の元ネタなのかな。(『瘤取り晴明』)
面倒くさがりの賀茂保憲。
猫又を式神にするこの晴明の兄弟子が私はかなり好きです。
指を黒猫(猫又)に舐めさせてるシーンとか。
これからももっと登場するとうれしいな。(『首』)
さて、これでいま文庫で出ている陰陽師シリーズは
ぜんぶ読んだみたい。
ということで、また1巻目から読み直そう。
現在の私にはハードカバーに手を出す余裕はないので^^;
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