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2012/03/04

花宴の夢。

夢枕獏著『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』全4巻読了しました。
ひっさびさにドキドキする物語を読んだような気がしました~。

まさにグローバルな都市のグローバルな知識の物語だ~。

空海の「密」の考え方が好き。
だけど空海のように生きられる人はほんの一握りだなぁ。
空海は憧れ。
橘逸勢にとっても共感です。

楊貴妃の死の秘密は、楊貴妃の出生の秘密だった。

おどろおどろしいことをやっている人の動機が
なんだかとっても可愛らしいものだった。

といったら語弊があるかもしれないけど、
もっと大それた動機かと思ったら、とっても個人的な思いからだったの。
それが、なんというか、人間って愛おしい生きものだよなぁって思えて
なんだか不思議な温もりを感じてしまった。
めちゃくちゃおどろおどろしくて気味の悪いことしてるのにねぇ。
へんなの。

この世に悪い花、良い花がないように。
この世に良い人、悪い人という区別はない。
良い人悪い人の区別は、誰にとって悪いか良いかの区別なんだな。
基準が誰なのかということ。

空海はあまりにも絶対的な宇宙に近くなりすぎて
「私」もまた宇宙的になりすぎるきらいがある。
それを、「今のこの世」に引き寄せる存在が逸勢という「友」なんだなと思う。

逸勢がいないと、空海は「私」がなくなってしまいそうであぶなっかしい。
それでも空海は寂しくなんかないのかもしれないけど、
見ている私が寂しいから、逸勢がいてくれて私はほっとする(笑)。

楊貴妃もあれでよかったんだと思えてほっとする。
どちらかが弟じゃないかと思ってたけど、あっちだったか…。
長い長い時を経て、たくさんの人の命が奪われて、
なにが良かったんだか悪かったんだか、大きな視野で見たら答えは難しいけれど
荒ぶる魂が宇宙に融けていくような調和と和合のラストは心にしみました。
これが「密」なのかなぁ。

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