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2012/05/10

綺しく麗しい鬼。

渋谷区文化総合センター大和田さくらホールにて初日を迎えた舞台
「土御門大路」を見ました。

物語は単純明快。
いろんなジャンルから集まったそれぞれの出演者が自分の得意とするものを見せて
観客を魅力する作品だと感じました。

舘形比呂一さんの鬼の舞踊はその最たるもの。
圧巻でした。
歌舞伎の市川月乃助さんと市川猿琉さんはさすが。本領発揮。
古典的な日本語のイントネーション滑舌リズムが音楽的で
とても聞き取りやすくてすーっと入ってきます。
安倍晴明役の月乃助さんが唱える真言が地の底から響いてくるようでした。
いままで聴いたマントラのなかで最高峰(笑)

大和悠河さんが演じるのは、刀鍛冶四条宗晴(黒田アーサーさん)の妻沙月。
夫のために自分を律し抑え飲み込み、完璧な妻であろうとする美しい人。
1幕では沙月さん苦手だー(><)と思って見ていました。
その沙月さんが2幕で変わります。
鬼になります。

身には赤き衣を纏い顔には丹を塗り
髪には鉄輪を戴き三つの足に火を灯し
怒る心を持つならば
たちまち鬼神となれるであろう
というお告げをうけて。

2幕の浄瑠璃で沙月さんが踊るところは美しくてえもいわれぬ心地になりました。
いろんなことが吹き飛んでどうでもよくなります。

険しい道の道行きに膝をさする沙月さん。
ただそれだけなのに生身を感じて官能的に感じました。
そして鬼になって夫とその恋人の閨に向かう姿は。
人のときとはまるでちがう荒々しい所作。
なによりも目ヂカラの強さに圧倒されます。
正気がひとつも残っていない。
なのに夫の恋人を模った人形(ひとがた)には容赦がないのに、夫の人形を手にすると思わず愛しげに頬を寄せます。
鬼となっても愛している。
鬼であればこそ自分に正直。

私は沙月さんが鬼になってよかったと思いました。
神にも仏にも縛られず自由で貴い。
うらやましくさえ思います。
それでは人として生きることはできないけれど。
だからこそ。

人ではないから孤独。
孤独だけれど剥き出しの自分がそこにある。

この妖しく美しい鬼に逢うために私はまたこの舞台を見たいと
強い慾が生まれました。

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コメント

>いろんなことが吹き飛んでどうでもよくなります。

それはよかった・・・それこそ本望ですよねぇ。
短い時間でしたけれど今回もお会いできてよかった。
11月にまたお会いしましょうねぇ・・・

投稿: 一陽 | 2012/05/12 20:52

◇一陽ちゃん、
はーい(^^)
昨日はわざわざ本当にありがとう。
近況存じ上げなくてごめんなさいでしたm(_ _)m

11月楽しみにしています。

投稿: theo | 2012/05/12 21:50

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