« 葛藤を捨てた女。 | トップページ | 美しいものになるということは。 »

2012/11/09

英雄は宇宙を救うか。

宝塚歌劇宙組東京宝塚劇場公演「銀河英雄伝説@TAKARAZUKA」
11月6日11時公演を見てきました。

宝塚友の会で当選したSSどセンターの良席。
来年1月公演からはシステムが変わるので、私にとってきっと
友人と連席で見る最後のSS席かな(^^;

悠河さん退団後、宙組とは縁がなく
ラインハルトを演じる凰稀かなめさんが宙組に来て、これがはじめての観劇でした。
雪組や星組の頃は全国ツアーや博多座で見たことがあったのですが。

あいかわらず目をひくスタイルの良さ。
かなめさんは、前方席からより離れて見るほうが正解かも。
スタイルの良さを堪能できるのはもちろん、芝居も全身を見たほうがわかるタイプかも。
雪組出身と関係があるのかな。
じつは大芝居、大劇場向きのジェンヌさんかも。

そこが悠河さんとのいちばんの違いではないかと思いました。
表情だけでは何を思い、何を感じているのか、私には読み取れなかったのです。
でも全身を見ると心の裡のなにかを醸し出している。
たいていのジェンヌさんの場合、より近くで、より前方で見るほうが素敵と思ってきましたが、
かなめさんは異なるタイプかも。
全身を見たほうが気持ちがわかる気がする。
舞台袖に駈け去る後ろ姿に、ラインハルトの孤独が見えた。

ヒロイン役の実咲凜音さんは声が綺麗でした。
しかし他はよくわからなかったな。
ヒルダという役がヒロインなのがいまいちピンとこなくて。
ラインハルトにとって彼女がどんな位置を占めるのか、
まだ何も始まっていない段階で終わってしまうからなー。
この段階でラインハルトにとって最も大切な人は、
キルヒアイスとアンネローゼだものねσ(^_^;)

ってことで、美味しい役回りなのは、
キルヒアイス役の朝夏まなとさんとアンネローゼ役の愛花ちさきちゃんですね。
物語上での唯一のロマンスともいえる感情が動いてた。
それもなんとも淡くて純粋で。
2人とも愛おしかったです。

そのコットンキャンディみたいな、ラインハルトの幸福な時間。
唯一の拠り所から彼を引き離そうとするのが、
悠未ひろさん演じるオーベルシュタイン。
帝国を統べる者に個人の幸福は不要ということか。
がしかし、そもそも少年ラインハルトの願っていたことは、
個人の幸福ではなかったのか。
そのために上を目指し、帝国に君臨し統治し世界を変えようとしたのではなかったのか。
その彼が、銀河帝国の覇者となる目的のために
人民を見殺しにする。大量殺戮を見過ごす。
オーベルシュタインの進言を受け入れて。

このシーンもそうだけれど、原作で彼らが個人の命を
いともたやすく消しさってしまえることに、私は違和感を覚えました。
戦艦には何百何千何万という乗員がいるだろうに
いともあっさりと消し去る描写が好きになれない。
ヤンはそのことに思い至りながらも、まいっか、とばかりに
その先を考えるのをやめて酒に逃げてしまう。
けっきょくは、戦争が好きなんだ。
彼も彼らも作者も。
そう思うと私の心は暗澹となる。
だから、この作品を宝塚で見るのは気が重いところがありました。
何世紀も経て、まだこんなことをしている人類に希望を抱けるのか?

演出の小池先生は、原作に若干の変更を加えてた。
積極的な見殺しから消極的な見殺しへ。
宝塚の主人公に、いくらなんでもそんなことはさせられないものね。
キルヒアイスのラインハルトへの糾弾が、それで弱くはなるけれど仕方ないと思う。
小池先生、天晴れだと思いました。

 

およそ3年ぶりの宙組観劇。
同じ演目で博多座公演があるけれど、宙組のなかでも気になる
悠未さん、蓮水ゆうやさん、愛月ひかるさんは逆転裁判に出演のため
博多座には来ないとのこと。
ということは彼女たちが演じるオーベルシュタイン、ロイエンタール、
ワーレンを見るのは、これが最初で最後!
という訳で、できるだけ彼女たちに注目して見ました。

オーベルシュタインは、得体のしれない気味悪さを醸し出していました。
原作と変わっているせいもあるんでしょうけど、
彼の目的がいまいちわからず、よけいに妖しく感じました。
キルヒアイスを彼から引き離そうとする理由も。
もしやラインハルト個人が目的?
ラインハルトを傀儡にしたいの?
(原作より迷いの部分が見えるラインハルトだけにあり得そうで)
このあたりは、博多座で役変わりがあると見えるものが違ってくるかも。

ロイエンタールは、私好みの容姿でした。
ワーレンと一緒のシーンが多いから、ワーレンも見ようと思うけど
ついロイエンタールを見ちゃう(^^;; タイプだから。
出征の前、女性との逢瀬の別れ際、女性が肩に掛けようとするその手を
払いのけるのがいいわ♪( ´▽`)
彼は自分が帰って来なかったときのことを考えているのだと思う。
戦争未亡人にせつない思い出があるのかしらと思ったり。

ワーレンはこれからが楽しみな宙組期待の星の1人愛月ひかるさん。
残念ながらワーレンらしいって部分は見逃してしまったけれど、
ダンスシーンでおもいっきり頑張ってる!って感じが伝わってきて、
若いなぁ。やっぱりこれからの人はそうでなくっちゃって思いました。
ショーがない公演だから、生徒さんから直に元気をもらうって場面は
あんまりないだけに、ダンスシーンは楽しみでした。
あ、そのまえに、娘役さんと向き合って踊ってるときの表情が素敵でした。
それから目をひいたんでした。
役とは関係ないかもだけど、そういうのって見ていて嬉しいです。

特に贔屓はいないし、3人を中心にまんべんなく楽しもうと思っていたところに、
最後のほうになって、なななんとアンスバッハにときめいてしまった!

愚昧な盟主に従わなければならない不条理。
飲み込んだ言葉。
それでも自分の大義は違えず目の前の困難な現実に正面から向き合う潔さ。
彼の信念。覚悟。
そんなものが伝わってくる気がして。
無表情なのに気持ちが読める気がして。
そういうのに私はときめくみたい。

そうなると目はアンスバッハ役のかちゃ(凪七瑠海さん)に釘付け。
やっぱりどことなくこの人、リカさん(紫吹じゅんさん)に面影が似てるんだよなー
なんて以前思っていたことを思い出してみたり。
役から離れたダンスまで素敵に見えてくるからもうだめ(^^ゞ
フィナーレもずっとかちゃを目で追いかけてしまった。

終演後一緒に観劇した方たちとのお茶の席でもアンスバッハのことが頭を離れず
こっそりとネットで博多座公演の出演者をチェックするも、、、、
かちゃの名前がない!!!
えっもしかしてと思って逆転裁判3の「主な配役」にしっかり役名とともに名前が。
あああ~~~( ´;ω;`)
なんどもなんども、逆裁3のチラシは目にしていたのに。
ともちん(悠未さん)、ちーちゃん(蓮水さん)、愛ちゃん(愛月さん)はしっかり目視できていたのに。
そのときは、かちゃが目に入っていなかったんですよね。なぜか。
あああ~~~~
その日いちばん泣きそうになったのは、この瞬間でした。
ときめきは突然にやってきて。
失意もこうして俄かに訪れる。
そんな心慌しい観劇でありました。

でも博多座公演もたのしみにしています。
オーベルシュタインがかいちゃん(七海ひかるさん)に変わることで
ラインハルトがどう変わるのか。
アンスバッハは誰が演じるのか。
などなど興味ありますし、
そして、意図してor意図せずに今回見落としたもろもろも。
また誰かにときめいたらいいな~(^^)

|

« 葛藤を捨てた女。 | トップページ | 美しいものになるということは。 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。