手をのばせば。
宙組宝塚大劇場公演「モンテ・クリスト伯」「Amour de 99!!」
3月25日と26日の3公演を見てきました。
魂をまだ劇場に残してしまっている気分です。
あーあそこに帰りたい・・・(;_;)
以下はざっとしていますが、「モンテ・クリスト伯」の感想です。
(ねたばれしています)
お芝居「モンテ・クリスト伯」は最近原作を読み返したばかり。
例によって、自分で勝手にハードルを上げてしまって、
初見の後は、それを篩い落とすひと手間が必要だったかな。
宝塚版は、原作小説とは設定がかなりちがうので
同じ名前の登場人物ではあっても、とうぜん、内面から全然ちがう。
原作を読み終えたばかりの私は、そこでおいてきぼりをくらったようで
とくに、ヒロインであるメルセデス(実咲凛音ちゃん)が受け容れがたかったのです。
キャラクター(性格)は原作のままのつもりで、宝塚版を見てしまうと
えええーーー?です。
いつまでも待つと言った舌の根も乾かぬうちに、1ヶ月で別の男と結婚して(原作とちがう)
再会したときには、『母親』という錦の御旗を全力で振り回してエドモンと
対決する。
なによこのひとーーー!(ーー゛)
おもいきりエドモン寄りな私はゆるせない気がして。
エドモンの瞳が傷ついてるやん!
で、ラストはあれでいいの?ねぇ?いいの?
納得がいかない気持ちを某ネットツールでつぶやいていたら、
ある御方が、その御方流のメルセデスの見方を語ってくださいました。
ナルホド!
なるほどね~
あのラストの告白を頭に入れて見れば、そのときどきのメルセデスの葛藤が理解できて
その気持ちに寄り添える気がする。
そう思って翌日2回目を見たら、メルセデスいい*\(^o^)/*!!!
になっちゃいました(笑)
エドモン・ダンテス(のちのモンテ・クリスト伯)の凰稀かなめさん、
最初の無垢な青年から復讐だけが生きる証な壮年の男に転身して、
さらにいろんな年齢のいろんな役に化けます。
その化け具合に瞠目。そして快感でした。
かなめさんすごーい*\(^o^)/*
・
初見で心にしみたのは、獄中の場面。
わけもわからず投獄された無垢な若者の魂が、
最初は遣る瀬無さと、待ってくれているはずの人への思いを溢れさせていたのが
いつの間にか、世界を怨み憎み、人も神も信じられなくなっている。
それが、胸にきゅうっと、せつなかったです。
ファリア司祭が、愛にみちた素敵なことをおっしゃっているのですが
それを受け容れることができないエドモンの心が悲しくてせつなくて。
だって自分はまっすぐに生きてきて、アンフェアなことをするなんて考えもつかなくて、
他人を陥れる人間がいるなんて思いもつかなくて、
そんな人間の気持ちなんてわかりもしない。わかりたくもない。
それを赦すなんて、ありえもしない。
彼の世界観にはあってはならないものが、圧倒的な大きさをもって彼を絶望の底へと
突き落とした。その現実を受け容れることができなくて。
世界のすべてを受け容れられない孤独。
世界のすべてから拒絶されたと思う深い孤独。
そんな暗黒を彷徨う青年の純粋な心が見えて、せつなかったです。
そして、どんなに世界を憎んでも、瞳の奥は綺麗なままなのが、せつなかったです。
かなめさんの瞳は、ほんとうに内面を映す鏡のような瞳だなぁって。
その瞳の奥の煌きの美しさにドキッとした場面でした。
襤褸をまとって顔は汚れ髪はぼさぼさ、肌は傷だらけ。
それでも、とっても美しいと思いました。
かなめさん素敵~*\(^o^)/*
あの苦しみ、あの純粋さを、エドモンはずっと持ち続けてる。
人を憎んで憎んで憎しみ抜いても、ふと瞳の奥に綺麗な光が見える。
憎しみ抜いて復讐を遂げても、心は苦しそうで、見ていてせつなかったです。
2回目の観劇で感動したのが、メルセデスとエドモンの対決場面。
どうして彼女は、エドモンが投獄されてたった1ヶ月で他の男と結婚したのだろう。
それが初見のときに解せない謎だったのですが、
彼女は、どうしようもなくて別の男と結婚したのではなくて、
いくつかの選択肢のなかから、それを選んだのだと思いました。
すべては子どものため。
それを貫いての、あの対決場面。
メルセデスの強さ、必死さ、そして気高さから、そう思いました。
だから、私はメルセデスに追い詰められるエドモンの気持ちがせつなかったです。
2人の上を過ぎた20年の歳月。
心の奥の深い淵は、自分のほうだけにあるのではなくて
彼女のほうにもあった。
彼女は、やわらかな少女の恋を捨てて、母である道を選んで生きていた。
守るものがある女性は強いです。
かつて愛した男性に刃をむけるほど。
そして、何かが落ちるみたいに、この人に殺されようと彼は思ったのではないかと思いました。
その心の変化が私には見えた気がしました。
けっきょく寸でのところで、メルセデスは彼を刺し殺すことができなくて。
すべてを受け止め、彼女の心も受け止めて、
エドモンは彼女の息子に殺されようと決めた。
それが伝わってきたのです。
お芝居を見ていて、登場人物の心が動いた瞬間を感じることができた時ほど
ぞくぞくすることはない。
そんな鳥肌な瞬間を感じることができて感動でした。
いろんなことの末に、主人公の気持ちが変化する。
それが、この作品のいちばんの見せ所だと思いました。
♪手をのばせば君はそばにいる。
(手をのばせば神はそこにいる。)
その後いろいろあって、メルセデスを腕に抱きかかえての和解のシーンの
エドモンの頬につたう涙が、いい涙なぁって。なんだか私の心も晴れわたっていくようでした。
それからのファラオン号のシーンは、本当に快哉。
よかったよかった*\(^o^)/*でした。
3回目の観劇では、さらにいろんな感動が増えました。
たとえばラスト近くのポーシャンとアルベールのやりとり。とても感動的でした。
母親に愛されて、まっすぐに育ったんだなぁと思わせるアルベール。
彼も自分の命で親の罪を贖おうとする。
そしてエドモンもアルベールも、まったくおなじことを考えてて。
この似たもの父子め。つД`)・゚・。
アルベールもまたラストで頬に涙をつたわせ泣いていました。
あー、父子だわぁ。DNAだわぁ(´;ω;`)と思わずほろり。
初見では、20年の歳月がかんたんに埋められるの?と思ったりしましたが、
なんか、この似たものっぷりを見せられると、
ぎくしゃくしながらも、なんかいい父息子になりそう。
なんか面白そう(笑)と頭の中でスピンオフがいろいろと・・・(^^;
声を裏返すエドモンは可愛いしねー。
大きな愛の結晶とどうつきあうのか、たのしみです。
つらくせつなくて胸がきゅうっとなるシーンも多いのですが、
ルイジ・ヴァンパとその手下たちに癒されたり、ベルツッチオに笑わされたり
あっという間の1時間半でした。
見終わって、いちばん可哀想なのはダングラールとフェルナンだったなぁと思うのでした。
何がわるかったのか、彼らは気づいて逝ったのだろうか?
まだまだ見ながら考えたい、知りたいことがいろいろある作品でした。
つぎの観劇が待ち遠しいです。
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コメント
theoさんこんにちは。
いつも色々教えて下さって本当にありがとうございます。
今回の感想も読んでいて感動いたしました・゚(゚⊃ω⊂゚)゚・。
モンテクリスト伯、深いのですね!!
私はTLの皆さんの呟きを拝見していて、原作とのあまりの違いに、内容的には全く受け付けられないだろうなと覚悟しておりました(笑)
とにかく大好きなかなめさんを堪能するだけに集中しようと...
でも、theoさんのおっしゃるようにお芝居として素直に観劇しようと思います。とにかく宝塚超初心者なので。
ありがとうございました。またお邪魔させていただきます(*^o^*)
投稿: mi-mie | 2013/03/30 07:06
◇mi-mieさん、
かなめさんの芝居を堪能できる作品でしたよ!
そして宙組生の皆さんもイキイキと演じているなーと思いました。
なんというか、いろいろ試してみようというような
そんな気概があふれているように感じました。
それがわかりやすいのは海賊の手下さんたちでしたが、
息子世代の若者たちも、回を重ねるたびにどんどん
熱が入っているように感じました。
宙組さん、ほんと芝居が巧くなったなーって見終わって素直に感動しました。
おなじ脚本でも、演じ方によってぜんぜんちがったものになる。
脚本の深いところまで演じようとしているなぁと。
1人ひとりが役になりきっての情報量が多いので、
客席で受け取るものがたくさんあると思いました。
ぜんぶはムリでも、受け取れるだけ受け取らないともったいない!
そんな気分になりました。
これは、まだまだどんどん深まっていきそうです。
東京楽までたのしみです*\(^o^)/*
投稿: theo | 2013/03/30 21:49