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2013/11/01

こわれたものはこわれたものさ。

10月28日と29日に宝塚大劇場にて宙組公演「風と共に去りぬ」を見ました。

同作品は2週間ぶりの観劇ですが、28日がAパターン後半の初日で
朝夏まなと(まぁくん)スカーレット、悠未ひろ(ともさん)アシュレ、
七海ひろき(かいちゃん)ルネ、怜美うらら(ゆうりちゃん)メイベル、
純矢ちとせ(せーこちゃん)スカーレットⅡでした。

Bパターンのかいちゃんスカーレットがとっても可愛くて大好きだったのですが、
このAパターンもとてもよかったです。
バトラー、スカーレット、アシュレ、メラニーのバランスの妙に魅せられました。

とくにアシュレの悠未さんの芝居が細やかで、普段は大人な雰囲気なのに
2幕冒頭でスカーレットにキスをしてしまうところの葛藤や、
メラニーを喪ったときの茫然自失ぶりなど、その落差が鮮やかで、
なんだか妙に女心をキュン♡とさせてしまうようなアシュレでした。

そして、まぁスカーレットはそんなアシュレに対して
可愛らしい恋心が見える夢見るスカーレットでした。
アシュレにはデレデレで、バトラーにはツーン!として(笑)
可愛いったらないわ(〃▽〃)

さいしょはそんなスカーレットを可愛いなぁって思って見ていたのですが、
メラニーが亡くなったあと居間に飛び込んでくるスカーレットが
脇目もくれずアシュレにすがりつくシーンは、ちょちょちょっと!
それじゃあ、あまりにもバトラーが可哀想だと胸が痛くなりました

そりゃあメラニーを亡くした悲しみをいちばん共有できるのはアシュレかもしれないけどさ…。
あまりにもあまりにも、アシュレに一直線なんだもん
そんなスカーレットなんだもん。
そりゃあさ、欲しいものに一直線で正直なのが魅力だけどさ…。
バトラーがあまりにも・・・つД`)・゚・

アシュレの嘆きが深いゆえにか、そんなアシュレしか見えていないスカーレット。
同じ部屋の中で、自分を除いた2人だけの世界が繰り広げられて。
バトラーは入る隙もない。

このシーン、Bパターンのかいちゃんスカーレットのときは、
「もう、スカーレットったらぁ(^_^.)しょうがないなぁ」と
寛容に受け止められていた私なのですが。

バトラーもそんなスカーレットをどこか父性愛のような寛大さとあきらめで
受け止めているように見えていたのですが。

今回Aパターンで、Bパターンといちばん印象がちがって見えたのがこのシーンでした。

バトラーにスカーレットへの寛容さはかけらも見えませんでした。
そんな余裕などないバトラーでした。
悲しみとアシュレへの嫉妬と、あきらめと、、、
見ていてこちらの胸も抉られるような痛みを感じるバトラーでした。
彼の心の中の何かがこわれてしまった、そんな瞬間を見た気がします。

 

まぁくんのスカーレットは、アシュレに見せる顔、バトラーに見せる顔見せない顔が
はっきりとしていました。

バザーのシーンでバトラーと踊るときも、
バトラーと背中合わせのときは、ひさびさにダンスが踊れる喜びを満面に表現しているのに、
バトラーと顔を向き合わせると、とたんにツーンとした顔をしたり。
アシュレには少女のような顔を見せるのに、バトラーといると
知ってか知らずか関心のないようなそぶりを見せたり。

そんな彼女を、バトラーは愉しんでいるんだなぁと1幕ではこちらもニヤニヤ。
帽子のシーンはもちろん!

まぁスカーレットはかなりの跳ねっ返りで、強さもあるので、
それを受け止めるためにバトラーもより大きくなるような気がしました。

Aパターンの後半初日の28日は、じつをいうとスカーレットに対して若干
バトラーが弱く感じたのですが、29日の11時公演では1日で見違えるように
胸板が厚くなった気がしたのです。

夜中に帰ってきたスカーレットの頭を押しつぶそうとするシーンも、
まぁスカーレットが憎らしいぶん手加減がなくなり残忍さが増して見えてどきどきしました。
階段をむりやり上がらせるシーンも、気遣いがなくて。
その余裕のなさが、、、たまりませんでした。

スカーレットが強ければそのぶん、反発が強ければそれだけ、
大きく、残酷になるかなめバトラー♡に私は抗いようもなく心奪われてしまいました。

その大きなバトラーが、あのメラニーがなくなった後の居間の場面で傷ついているのが
もう、たまらなくたまらなく切なくて、、、いとおしかったです。

もともと結婚はしない主義のバトラーが、スカーレットと結婚して
そのアウトローで粗野な生き方を変えてまで、
新築披露パーティではあんなにも紳士的にふるまって、
スカーレットを気づかっているのに、
まったくもうスカーレットときたら!

どんなときも、彼女がほしがるものを与えてくれ、
命がけで馬車を走らせてくれ、
彼女が守りたいもののために尽力してくれたのは
アシュレではなく、バトラーなのに。
ちょっとぐらいはバトラーのことを思いやってあげたらいいのに、
まったくもうスカーレットときたら!

でも、自分のほしいものに一直線で正直で
ほしいものが手に入らなかったら子供のように癇癪をおこすスカーレットこそを
バトラーは愛していて、
そんなスカーレットだからこそ、彼女に愛されたかったんですよね。

従順な彼女では意味がない。
自分の足元にひれ伏すようなスカーレットは見たくない。

スカーレットがスカーレットらしく
バトラーがバトラーらしく
生きようとすると、傷つけ傷つきあうばかり。

スカーレットがスカーレットでなくなるか、
バトラーがバトラーでなくならないかぎり、
2人はこれ以上一緒にいられない。

バトラーはそこにたどり着いたんじゃないかなぁ。
愛しているからこそ、別れを決意したんじゃないかなぁ。

そんなふうに思えたのが今回のAパターンでした。

アシュレ、スカーレット、バトラーともに『落差』が面白く
そのギャップが表しているものが、胸に染みるお芝居でした。

バトラー船長に骨髄までフォーリンラブです。

 

と、、私の大劇場での「風と共に去りぬ」の観劇はこれで終わり(´・ω・`)
名残惜しくてしかたありませんが、これ以上見ることはできないので、
東京でどう変わっているのか、それをたのしみに1ヶ月がんばって過ごしたいと思います。

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