誰がために。
10月25日(金)、東京宝塚劇場にて
花組公演「愛と革命の詩」「Mr.Swing!」を見てきました。
1回きりの観劇なので記憶は曖昧ですが、思うところを。
「愛と革命の詩-アンドレア・シェニエ―」はオペラから題材をとっての
植田景子先生のお芝居。
うーん。今回のお芝居は支持できないですわ、景子先生。
と思いました。
1回でストーリーにのめり込めないことは、私にはよくあることで。
役への感情移入よりも、何がいいたいのだろう? 何を表現しているのだろう?
ということに、どうやら先に関心がいってしまうタイプだから。
今回は見終わって、合点がいかないまま腑に落ちないままの
心のしこりがどうしようもなかったです。
それを吐き出して2度目の観劇をするとまたちがうのかもしれませんが、
1回きりしか見られないから、以下は1回きりだけの観劇の感想です。
見終わって、シェニエは『ソドムの林檎』(by バトラー船長)のような人だったなぁと。
この人、何をしたんだったっけ? 舞台で何が動いたんだったっけ?と
考えてしまいました。
・
『愛の詩を競作して♡』→ 断る。
『私のために詩を作って♡』→ 断る。
『ジャコバン党のために詩を書いて♡』→ 断る。
なんか依怙地な人だなぁ(´・_・`)
この人、自分以外に大切なものがあったのかなぁ。
拒絶以外になにか人間肯定があったかなぁ。
自己愛しか見えなかったなぁ。
彼は、なんのためにこんなに依怙地になり、
なんのために死んでいくのか。
彼の行動に心揺さぶられたり、彼の言葉(詩)に心動かされたりが
ないまま終わっちゃった気がする。
マッダレーナは心の病気かなぁと。
傷つけられた自尊心、
さらに革命によって失ってしまったアイディンティティを
かつて自分の自尊心を傷つけた張本人を崇拝することで
取り戻そうとしているようにしか思えませんでした。
そこに相手への愛を私は感じなかったんだよね(´・_・`)
お互いにお互いを見ていないなぁって。
自分を賛美する者を見て自己肯定する者と
自分を否定した者が自分に関心を示すことに自己肯定する者。
多大な自己愛の裏には、凄まじい自己否定があって
それを覆す作業は、人にとって大切なものであることはわかるんだけど
そこで物語が終わってしまってるような気が。
『自己』を守るために自分以外の他者に心を動かされず、我を貫き通して死ぬ者と
その人と一緒に死ぬことで満足する者。
それが悪いこととはいわないけど、
私は苦手だったのです。
自分をかばってくれてた昔の使用人にたいしてこの人はどう思っているのだろう。
自分を貫けなかった人にたいしては、ただ上からの目線を落とすだけなのだろうか。
ラストは、これで終わり?
ってかんじでした。
どれだけ盆がたくさん回っても、どれだけ衣装や舞台美術が美しくても
好きじゃないものは好きじゃないんだって、わかったなぁ。
どんなに泥をかぶってでも見苦しくても、生き抜くことのほうが尊いと思う私は
シェニエとマッダレーナよりもバトラーとスカーレットを支持するなぁ。
悔しいけど、、、
(植田のおじいちゃんには物申したいこといろいろあるんだけど、、、)
あと、『崇高』っていうのは、始終八の字眉でいることなのかなぁ。
もっとダンディズムに溢れたカッコイイ蘭寿さんを見たかったなぁ。
蘭寿さんだけじゃなくて、他の人もちょっと自由さがなかった気がします。
観念に縛られないで、思いのまま演じていいんじゃないかなぁ。
舞台の上で自由に動けているのは、春風さんだけだったように思えました。
(贔屓目だけじゃないと、自信を持って思います)
(テーブルの上の機関紙を足で払いのけるときのカッコイイこと!!!)
(こーゆーのが見たいの、私!!!)
この日は友会席で見たのですが、お隣が男性の方でお芝居の間中
ずっと寝ていらっしゃるようでした。
宝塚を好きでもないのに、つき合わされちゃったパターンかしら?
――― と思っていたら、
ショーになったら、ものすごーくノリノリで、ポイントをついた拍手や手拍子をされてた!
お芝居は最初から捨ててたの?
さながら、ショーだけで8,500円分の娯しみを堪能しようというような勢いで(笑)
ショー「Mr.Swing!」はとても楽しかった\(^o^)/
既視感、既聴感がすごくあるショーだったけど、
そこが返ってよかったです。
宝塚を見てるわ!!!\(^o^)/\(^o^)/\(^o^)/
って気分でとても盛り上がりました。
ついついお隣の男性と競うように手拍子してしまった(笑)
いちばん心に残っているのは、明日海りおさんと柚香光さんが
アラビア~ンなお衣装で絡むとこ!!!
あまりの美しい並びに脳みそが、バフン!!!と噴火しそうでした。
この世に無条件に賛美されるもの、それは美しさだーーー!!!
それを見たいがために、劇場に足を運んでおりますです、わたくし
柚香さんはアピール力がすごいですね。
この華が宝塚なんだと、すごくすごく思いました。
そしてみりおちゃん(明日海さん)、花組に来て変わりました?
なんというか、吸収することを心から楽しんでいるような
ポジティブな輝きが彼女を包んでいるように見えました。
このお2人の絡みが見れるのかぁ。花組いいなぁって思いました。
そして蘭寿さんと蘭乃さんのデュエットダンス。
蘭蘭のデュエットダンスは、いま宝塚の見どころの一つだと思います。
美しいわ~~~~
蘭寿さんはほんとにショーで輝きますね~
そしてそして、花組で愛されているみーちゃん(春風弥里さん)が見れて
本当に本当によかったです
蘭寿さんが歌う後ろで、みーちゃんが娘役さんとデュエットダンスを踊っているシーンは
なんだか涙がでてしまいました。
群舞にいても、みーちゃんがすぐにわかる。
ムリをしても、見に来てよかったわ
と心から思いました。
卒業するみーちゃんに対しての稲葉先生の心にくい演出もありがとう。
今回の花組のお芝居とショー。
両方を見て、宝塚の舞台って、誰のためにつくられるの?
ということをとっても考えてしまいました。
宝塚の劇場って大きいから。
そこにはいろんな人が座っている。
私もその1人で。
客席でかんじたあの温度のちがい。
私の思いちがいじゃないと思うなーって。
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