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2013/11/29

いつだって。

11月23日と26日、東京宝塚劇場にて
宙組公演「風と共に去りぬ」を見てきました。

正直、3公演ぽっちじゃぜんぜん見たりません~~~~゚゚(´O`)°゚

かなめさんのバトラーは、ほんとうにほんとうにステキなのだ。
どうステキなのか、、、言葉では尽くせないけれど、ステキなのです。
なんというか、とてもせつないバトラーです。

この人、ほんとうに良い育ちなんだろうな。
人の弱さに寄り添える人なんだろうな。
心やさしい少年だったんだろうな。
そんな気がします。

チャールストンの裕福な家庭に育って。
でもどこか自分をとりまく環境になじめない。
孤独を知っている少年が青年になり大人の男になり。
自分の力で、自分を信じて、のしあがって
誰にもない魅力を備える男になった。

アトランタの貴婦人の1人であるメラニーに挨拶の言葉を掛けられたベルに
「よかったな」とそっと告げるバトラーが好きでした。

ベルはとっても気丈な女のようだけれど、ほんとうはとても純な人のようだ。
「こんな商売はしていても・・・」
人として神様の前では良い行いをしたいと思っている人みたい。

田舎から出てきた純朴そうなベティちゃんが、
だんだんと娼館の生活に慣れていっているのを見ていると
ベルもこうだったんだろうなぁと思う。
きっと口減らしのために田舎の家を出されて街へ来たんだろうなぁ。
寂しさと惨めさを、虚勢に変えて生きてきた人なんだろうなぁ。
慈しみに飢えて。

そんな彼女の心の傷を知っているバトラーは、
メラニーに声を掛けられたベルが、どんなに嬉しいか知っているんだなぁ。
それをそっと喜んであげるバトラー船長が大好きでした。

スカーレットに対しては(面白がって?)野卑で無頼漢な態度をとるバトラーだけど、
メラニーに対してはとてもお行儀が良い紳士です。
ほんとうに敬愛の態度を示すべき相手にはちゃんと。
そんなところが、彼には彼のプリンシプルがしっかりとあるのだなぁと思います。

スカーレットがどんな女性であるかを見抜いているように、
メラニーのこともちゃんと観察し、正しく理解しているようです。

実咲凛音ちゃんはメラニーを、柔らかで慎ましやかだけども
自分の信念、プリンシプルをしっかりと内に秘めた女性として演じていて
かなめさんのバトラーは、メラニーのそんなところをちゃんと見抜いていて
そんなメラニーを尊敬し、共感しているように見えました。

メラニーとバトラー。
まったく正反対なふうな2人だけど、
じつは、似た者同士なんじゃないかと思いました。

内に秘めた信念を持ち、それを最期まで口にしないで墓場まで持っていける。
そんな2人だなぁと思いました。

だから、スカーレットが階段から落ちた後のあの明け方、
メラニーがすべてを言わなくても、理解しあえたんだなぁと。
魂の奥底でおたがいの気持ちがわかりあえる同士なんだなぁと。

 

バトラーの3人の女性それぞれとの向き合い方が好きです。
相手を見て、理解して関係を築いているんだなぁと。

ベルとは、同質ではないけれども『孤独』を共有する関係。
そして彼女が本当に欲しているものを知っている。

メラニーとは、プリンシプルを心に固く秘めている者同士、互いの理解者としての関係。

そして、たぶん、スカーレットに対しては、
彼女の中の己以外の何者にも屈しない心の自由とその命の輝きに惹かれている。

それがちゃんと見えた。
それがなんだかとても感動でした。

孤独を知る少年が青年になり大人になり。
魅力的な獲物を駆り立てる充実感や、大輪の花が隣で笑む満足感は
孤独を忘れさせはしただろうけれど。

人は、ひとりだと気づいたら、ひとりなんですよね。

 

メラニーが亡くなって、バトラーとアシュレがいる居間に飛び込んできたスカーレットが
バトラーの前を素通りしてアシュレに駆け寄っていってしまった時。

一瞬の間のあと、バトラーの片頬が歪んで見えました。
わかっていたことだというように。
一瞬でも期待した自分を嗤うように。

そして無表情に静かに毅然と、部屋を出て行くバトラーが
つらかったです。

いつだって ―― ひとりだったんだから。

ひとりであることを忘れた時間があったことが、僥倖なんだ。
その時間を、彼は眺めて暮らすのかなぁ。
しあわせだった時間があったことを。

私にはそんなバトラーに見えました。

役者さんって、その表現によって、見る者の心の中にあるものを
引き出し見せてくれる依代 ―― なのかなぁ。
かなめさんって、いろんなものを私に見せてくれるから
クセになるのかなぁ。

そんなことを思った「風と共に去りぬ」でした。

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