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2014/03/05

たとえどんなに離れていても君と同じ星を見ているだろう。

2月27日と28日千穐楽に合わせて宙組中日劇場公演
「ロバート・キャパ~魂の記録~」「シトラスの風Ⅱ」を見ました。

お芝居のシナリオは、キャパの著作『Slightly Out of Focus』の巻頭にあった
リチャード・ウェーランによるキャパの“略歴”そのまんまだなぁと思いました。

全体的に無機質な印象。
たぶん、読み物として読んだら、とてもたいくつな気がします。

でもその無機質なシナリオに、役者たちが血肉をつけてて、
感動的な作品に仕上げているんだなぁと。
こういうのもアリかもしれないなと思いました。

書いた人がことさらに何かを誇示しようとするシナリオでないこと、
人物の造形等に余計な脚色をしていないことによって、
ストレートにありのままに、演じる人たちが登場人物として感情表現する作品となっていて。
それがよかったのかもしれないと思います。

見る人の意識や何かを操作しようとする嫌らしさがないところは受け容れやすかったですし。
見た人が見たままに感じとればいいという、清々しさが心地よかったです。

まぁ、つまり・・・めちゃくちゃ感動いたしました、、、(^^ゞ

舞台の上のかなめさんは、もうキャパ(アンドレ)にしか見えませんでした。

最初はその遠目の舞台化粧が、
その眉の角度や太さといい、タレ目具合といい、口元といい
あまりにキャパのポートレートそのものに見える瞬間があり、
びっくりしました。

でもお化粧だけじゃないんですよね。
たぶん、その時々のキャパの心情が表情に表われ、それが
キャパそのものに見えるのではないかなと思います。

人懐っこいかなめキャパの笑顔のリアリティが、
苦悩するキャパの表情、恋をしているキャパの表情、
真剣に現実を捉えている時や、そのほかいろんな時々の表情にも
リアリティを持たせているような気がします。

そのひとつひとつに嘘がない。
その変化に違和感がない。
だから、シナリオ的には流れがいまいちだなと思う部分も
ちゃんと受け止められた気がします。
(私はお母さんのセリフがストーリー全体の流れとかみ合っていない気がしました)

とかくアーティストが舞台に登場すると、そのエキセントリックさや
エゴイスティックな部分、または並外れた純粋さ、など
普通の人々とは異なる部分が強調されがちになるけど、
かなめキャパはそういう方向ではなかったですね。

この作品で描かれているキャパという人物がそうなのだろうけど、
純粋だけれども純粋すぎない。
良い人だけれども、良い人すぎない。
ありのままの人間であり、そのほんとうにストレートな人間の感情をありのままに、
かなめさんは表現していたと思います。

そのありのままの感情が、とても純度高くわかりやすくて、
私自身が日常の中で澱のように胸に滞らせていた感情を
外に流し出してくれる・・・。

彼のせつなさをストレートに受け取ることで、
自分の中にも“せつない”という気持ちがあって
それを日頃自覚したり表現できていなかったんだなぁって、
かなめさんのキャパに教えてもらいました。
いままでよりすこし、自分の気持ちが自由になれた気がしました。

そのせいか、27日のお昼のお芝居を見て以降は、
お芝居もショーも泣きっぱなし、、、、という^^;


そして、この表現の方向性はかなめさんのキャパだけじゃなくて、
蓮水ゆうやさんのピカソにも、蒼羽りくちゃんのフェデリコにも感じました。
実咲凛音ちゃんのゲルダにも、花乃まりあちゃんのエンマにも。

蓮水ピカソは金髪で健康的な肌色の精悍なハンサムさんでした。
その容姿、そして表情言動は、かなめさんのキャパと同じく
ピカソそのものに見えました。
正面から、ピカソを演じきっているなぁと。

ゲルニカの訴え、そして『崩れ落ちる兵士』を映したキャパもまた、
自分と同様に平和をもとめているのだという彼の主張には毎回感動し
心からの賛同を叫びたい思いに駆られました。
真摯でひたむきな蓮水ピカソが大好きでした。

愛花ちさきさんのマリー・テレーズはコミカルなところを一身に背負っている印象。
ただ、ピカソは彼女のどこに惹かれているのかなぁ、、とちょっと思いました。

『可愛いお馬鹿さん』なのだろうなと思うけど。
蓮水ピカソがとても真摯な印象だったので、掛け合いがちょっと浮き気味だったかなぁ。
愛さずにいられなくなるような性格、とか、逆に驚くほどのワガママさ、とか、
天才ピカソが、だから彼女に惹かれてやまないのだと納得できる、ほんのちょっとの
何か、が見えたらもっとよかったなぁと。
(シナリオのせいが大きいけど)

去り際の一言で必ず客席をくすくす笑わせるセリフの間の良さ口跡の良さは、
たらちゃんさすがだなぁと思いました。


蒼羽フェデリコはラテンの男でした。
人前で『自分の女』にあそこまでデレられる人はなかなかいない^^;

エンマと一緒のときの妻に惚れたデレデレの夫の顔と、志のある民兵の顔、
2つの顔が1人の人間にあることのあたりまえさ。
両方があるから、人間はせつなくて;;
両方に心引き裂かれるから、見ていて胸が痛い、、、

エンマを心に想い浮かべながらも、それを振り切って銃弾のなかに向かっていくフェデリコ。
アドレナリンに支配された男ときたら・・・(ーー;)
残された人を思うとかなしいじゃないかー。

未来を信じて、生まれてくる子どもが意思を継いでくれると信じて、
戦闘の最前線へ突っ走るフェデリコを見ながらいつも、
このあとフランコ将軍率いる反乱軍が勝利して、その独裁が
1970年代まで続いたことを思うと・・・・・・涙。

フェデリコが熱く語る横で、夫の志にその言葉に肯くエンマ。
でもフェデリコが彼女を見ていないとき、つらい気持ちをじっと堪えているみたい。
その顔を見ると、涙が流れてしまって困りました。
フェデリコめ。

まだまだ幼さも見える若妻のエンマ。
離れていても心は、、と愛を確かめあっても、あの若さで乳飲み子を抱えて、
その後のスペインの混乱と迫害のなか、彼女はどう生きたのだろう。。。

フェデリコの存在が、この作品を活かしているけれど、
そのフェデリコの存在に意味を持たせているのが、このエンマなんだなぁ。

そしてこの2人の別れと、アンドレとゲルダの別れが、ここでオーバーラップして
2度目以降は涙なのでした。

花乃まりあちゃんのエンマ、人民戦線の民衆のなかでも可憐で
儚げな笑顔とじっとつらさを堪えている表情が印象的でした。
花組でさらに輝いて自分の役目を果たしてください、と思います。


かいちゃん(七海ひろきさん)チーキは、ほうっておけないキャラでした。
美人でドジっ子!! ちょっとちょっと、大丈夫?

アンドレとチーキ、このユル~~~い2人組♡
このお人よしの可愛い2人組が混乱するパリへ。
だめだだめだ、すぐだまされちゃう!!!
頼りない者同士でおたがい頼っちゃってるから^^;
ゲルダの存在がありがたい(笑)

チーキの最後の語りは、日を追うごとにアンドレへの気持ちが純化されていくようで、
うるんだ瞳とせつない笑顔とその声が胸を打ちました。


きっと写真を撮ることしかできないんだろうな、と思わせるシム(星吹彩翔さん)と
ちょっと斜に構えたかっこいい、でも実は人道家なアンリ(桜木みなとさん)の
写真家仲間から感じられた誇りと使命感と絆。

シモン・グッドマン役の寿つかさ組長から感じられた大きな愛。

美風舞良さんのジャンヌはちょっと役不足かなぁと思ったけど
(その分は、ショーのほうでしっかりと魅せていただいたけど…)
フーク役の風馬翔くんの名前のアドリブの返しはもちろん、すべてにおいてさすが。

翔くんは、肉布団たくさん入れたフケ役がんばってましたよね~
楽の名前まちがいのアドリブ「オスカル?」やってくれましたね!(^O^)v
期待していたので、うれしかったです。

視野が狭くて下級生までなかなか見られないしお名前も覚えられない私なのですが、
綾瀬あきなちゃんのカッコイイダンスと瀬音リサちゃんの歌は惹きつけられました。

そして、やっぱり宙組の群集芝居とコーラスは心をゆさぶられます。
民兵たち、デモ、戦闘シーン、、、舞台から客席へ向かって迫り来る『気』に
圧倒され、感動しました。
『ベルばら』オスカル編もがぜんたのしみになりました。


この素晴らしい宙組とそのトップコンビ。
とても誇らしかったです。

かなめさんとりおんちゃんのアンドレとゲルダ。

この前の記事にも書きましたが、
暗幕とかホリゾントとか、派手な舞台セットはなにもないラブシーンが
こんなに美しい1枚の絵になるとは・・・。
その美しさに涙が出てしまいました。
そのせつなさに。
ああ、こんな愛のシーンをもっともっと見たいなぁと。切に切に思います。
このトップコンビで見たい作品が、まだまだたくさんあります。

この思いがとどきますように。

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