愛しているとも。
5月16日から19日まで宝塚大劇場にて
宙組公演『ベルサイユのばら-オスカル編-』を見てきました。
昨年の雪組『ベルサイユのばら-フェルゼン編-』特出バージョンの
柚希礼音さんアンドレ、凰稀かなめさんオスカルが
これまで私が見た中で最高の OSCAR et ANDRÉ だったので
私の中でハードルが高くなっていたのは否めません。
今回のオスカル編を見て、昨年の雪組特出バージョンのアンドレは
トップスター仕様のアンドレだったのだと思いました。
フェルゼンへの恋心やパリ市民の困窮に対する心痛を抱え思案するオスカルを
陰ながら支える決意をしたり、面と向かっては揶揄してオスカルをプンプン怒らせたりする
陽で動な特出のちえちゃんアンドレが大好きだった私としては、
そのシーンが一切なかった今回のオスカル編のアンドレは、正直物足りませんでした。
1幕ではほとんどアンドレの見せ場はなくて、唯一の見せ場が
ブイエ将軍に逆らって閉鎖された国民議会の議場の扉を開けようとしたことで
オスカルに激昂したジャルジェ将軍に手打ちにされかかった彼女を
身を挺して庇う場面。
『あなたを刺しオスカルを連れて逃げます』
(このシーンを宝塚でやるのは今回のオスカル編が初?)
このシーンが入ることで、アンドレの覚悟が鮮明になってよかったなぁと思いました。
・
このアンドレの行動に、彼のオスカルへの気持ちを悟るジャルジェ将軍、
(汝鳥伶さん間合いの芝居がさすがです!)
アンドレの救命のため、思うよりも先にほとばしり出たオスカルの制止の叫声、
その瞳のなかに彼女の真意を見るジャルジェ将軍、、、
(汝鳥伶さんのオスカルの気持ちを悟った目がさすがでした)
あれ?? アンドレの見せ場なのに私はオスカルとジャルジェ将軍ばかり見てた?
ていうか、本自体がジャルジェ将軍の内面を辿りながらのストーリーになってて
だからよけいにアンドレの影が薄く感じられたのかな・・・?
そう。アンドレの印象が薄いベルばらだったんです。
とくに1幕。
むしろジェローデルのほうが印象に残っていました。
このオスカル編は、組内での朝夏まなとさん(An+G)、緒月遠麻さん(An+Al)、
七海ひろきさん(G+Al)の役替わりのため、その番手に合わせてか
そもそもの脚本上の役の比重が、アンドレとジェローデルが2.5番手、アランが3番手の印象。
トップさんが特出した昨年の雪組特出バージョンや
おなじくトップさんがアンドレとして特出した2006年朝海ひかるさんオスカルの雪組ver.に
比べて、アンドレの印象が薄いと思います。
Bパターンの緒月さんはさすがというか、2.5番手アンドレの存在感がありました。
出番少ない1幕、衛兵隊のなかにいても、常にオスカルを自分の“気”で
包んでいるように見えました。
これまでも数々の小ホールの舞台で、主演を立てつつ自分も存在感を見せる芝居を
してきた人だと納得でした。
以前は、“うるさい芝居”のタイプの人だと思っていたのですが、存在感はそのままで
抑えるお芝居ができる人になってらっしゃるんだなぁと。
それがこの作品のアンドレにしっくりと合っていました。
かなめさんとの同期の信頼感も、よい方向に出ていて
もの言わずともオスカルの気持ちをわかっているかんじがよかったです。
なんかぶっきらぼうなアンドレだったけど^^;
まぁくん(朝夏さん)アンドレのAパターンは、16日の最初の1公演だけの観劇だったので
その印象だけで語ってしまうのは申し訳ないのですが、まだ掴みきれていないのかなぁ
という印象をうけました。
(とはいえ初日からはじまったAパターンの最終日だったんですけど)
翌日のBパターン初日のまぁくんジェローデルがとても好印象だっただけに、
なおさらそう思ったのでした。
まぁくんの持ち味として泥臭さがなくてすっとしてて理知的なところ貴族的なところ、
そしてキザなセリフをすらすら口にしてしまえるところが、ジェローデルというキャラに
とっても合っていて、根っからのジェローデル好きの私はキュンキュンしてしまいました。
その持ち味のせいか、まぁくんアンドレは生真面目感がつよくて。
私がもとめている甘さとか余裕とかが足りない気がしてしまったんですよね。
過去にいろんな方がアンドレを演じてこられましたが、
2001年宙版の彩輝なおさんの甘さと包容力が同居したアンドレや
2006年雪特出の春野寿美礼さんのいずくかの王侯貴族のご落胤説が浮上しそうな
高貴で孤独な香りがするアンドレが、私は好きでした。
(何れも映像で見ただけですが)
春野さんのアンドレは、もう原作とか打ち消してしまいそうな個性だったのですが、
トップスター春野寿美礼の魅力全開。
私はアンドレ貴種流離譚を妄想してました
まぁくんも、自分の魅力で魅せるアンドレをつくってもいいんじゃないかなーと。
甘さと余裕を足して、かなめオスカルを甘えさせられるアンドレになってくれたら
私はとってもとっても本望だなぁ。
(脚本にそういう場面はないから、そういう雰囲気を醸すアンドレに・・・)
脚本は2.5番手用のアンドレだけど、オスカルのそばに佇んでいる姿が
2番手スターのアンドレだなぁ♡と見えるようになっていたらいいな。東京では。
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