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2014年8月の5件の記事

2014/08/24

孤独の中で人を疑い絶望するときもひとりじゃない。

8月20日(水)博多座にて「レディ・ベス」を見ました。

素晴らしかったです。
この作品の目線が好きだなぁと思いました。
作品に流れる精神性も。

レディ・ベス(のちのエリザベス1世)を演じた花總まりさん素晴らしかったです。
このヒロイン、好きだなぁと思いました。

見終わって、シシィが選ばなかった道を、ベスは自ら選んだんだなぁと思いました。

自尊心が高くて孤独な王女。
自尊心だけが頼りの孤独な少女。

亡き王の娘であることが彼女の自尊心を支えている唯一のもの。
その誇りを失ったら自分は泣き虫の少女以下の取るに足らない存在になってしまう。
そう心に言い聞かせて眠れぬ夜をやり過ごしている。

彼女の存在を快く思わない者たちは彼女に彼女の母の醜聞を吹き込んでいる。
偉大なる父王の妃でありながら、男たちと浮名を流し父王の怒りを買い、
ロンドン塔に幽閉され、父王がフランスから招いた首切り役人に処刑された淫売と。

孤独な王女は母を忌まわしく思い、
母が幽閉されたロンドン塔と首切り役人の影に怯えている。

でも彼女には、彼女の内面を深く思いやり成長を見守る存在がある。
涼風真世さん演じるキャット・アシュリー。ベスの教育係。
彼女が歌う歌に涙しました。

 大人になるまでになくす夢もある
 試練にぶつかり やっと自分を知る
 他の誰にもなれないと知って
 自分が 誰かがわかる ―― 「大人になるまでに」

ベスは孤独だけれど、けっして1人じゃない。
まだ無知で若くて、そのことに気づかないけれど。。

涼風さんの歌声がまた柔らかくてでも凜としてて心に浸みるんです。

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2014/08/17

あなたの空腹は満たせませんが心は満たします。

8月2日(土)博多座にて月組公演を見ました。
和物のショーを含む3本立ては、博多座では初かな。

和物のショー「宝塚をどり」では、さいしょコマちゃんがわかりませんでした。
日本もののお化粧は、わかりやすい人といつもと違って見える人といるんですねー。
私はコマちゃんの涼しい流し目が好きでした。
マギーは男役の着物の着付けがカッコよかったです。とくに懐あたり。
和物でも、あーさはすぐに目に留まりました。
たまきちくんの貫禄には驚きました。
まわりがみんな華奢だからかな。

お芝居「明日への指針」は軽いタッチで。石田先生らしさがそこここに。
長春とか黎明とかモンテとかいろいろ、ちょっとずつ。
罪と赦しとおやじギャグ的茶化し。
見たい真実と見たくない真実。
どんなことをしても生きてほしかった母の思いのくだりでうるっとしました。

ショー「TAKARAZUKA花詩集100!!」はとにかくお衣装がすごいですね。
ここでもやっぱりコマちゃんの流し目が好きでした。
そしてあーさの月下美人♡ 美人だー

男役さんたちが羽根扇で可愛く踊る場面が好きだったです。
月組さんはキュートな男役さんが多い♡
というか、あとでプログラムを見たら、まさおくんより上級生は組長さんとマギーだけ!!
若いわー。
このメンバーを率いて、まさおくん、ほんとがんばったんだと思いました。

ちゃぴちゃんは、よい仕事するなぁ。
ちゃぴちゃんでショーはかなり底上げされているかんじ。

客席降りのまさおくん、
「ここにイカ刺しと龍真咲があります。あなたならどちらを選びますか?」
(とうぜん「龍さん」というお返事をもらって)
「空腹は満たせませんが、あなたの心を満たします。ジュテーム♡」
って言っていたと思います。(たぶん)

うん。
なっとく。
笑顔で、そう言うまさおくん、ステキだと思いました。

開演アナウンスから受けてしまう、この愛すべきキャラクターに乾杯♡
この比類なき「龍真咲」というコンテンツが、
この数ヶ月間、贔屓組にヘヴィに入れ込んできた私を癒してくれました。

 

宝塚大劇場公演から、東京、博多と4ヶ月間、
まさおくん、100周年の重責おつかれさまでした。

またPUCKも見に行けたらいいな。

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お姉様は私がお可愛うございましょう。

7月14日(月)、東京宝塚劇場宙組公演の休演日に東銀座へ行き
歌舞伎座七月大歌舞伎の夜の部を見てきました。

「悪太郎」、綺堂の「修禅寺物語」、鏡花の「天守物語」を見ました。


右近さんの悪太郎、可笑しかったです。
そして身体能力凄すぎです。
(なんであんなことできるの?)

狂言の「悪太郎」よりもさらに設定ディテールが明瞭なのは歌舞伎ならではかな。
舞台化粧とお衣装がついているのが新鮮でした。
狂言の大らかさはそのままに、さらに豪快で憎めないキャラになっているようでした。

迷惑な人にはちがいないのだけど、こういう人を笑える懐の深さ、寛容さこそ、
現代に必要なんじゃないかな。
なんて思いました。


「天守物語」を見たいと思ってチケットをとったので、岡本綺堂の「修禅寺物語」も
併演されると知ってうれしかったです。

夜叉王と姉娘の桂、ともに倫を外れても己の望むものを求めずにいられない業を背負った
父と娘のそれぞれが放つ一瞬の輝きを見せるところが見所だと思いますが、いまいち、
それが曇ってしまったというか、なにを見せたいのかが鮮明でなかったような・・・?

あの場面(夜叉王の「苦痛を堪えてしばらく待て」)で笑いが起きてしまうのは
やっぱり間が悪いのだと思います。
あとやっぱり迫力不足かなぁ。
夜叉王の業と桂の輝きがクローズアップされる大事な台詞だけに残念に思いました。
あそこで戦慄を味わいたかったなぁ。

またいつか見られるチャンスがあったら、そこがどう見えるかを楽しみにしたいと思います。


「天守物語」は、もうこの世界観が好きで好きで・・・。
そこにある世界を、この目で見、そこに気持ちをやれる至福。
富姫と亀姫の愛嬌あふれる言い合い、女童や侍女たちの戯れ言が
目の前で繰り広げられるさまに、涙が溢れました。
あちらの世界へ行きたくて。

3階の下手から見下ろすように見ていたのに、いいお芝居というのは
席など関係なく集中できるものなんだなぁと思いました。
舞台の上の1人1人が鏡花の世界にきれいに生きていて見蕩れました。

富姫の目線は明快。
自分の慾望も他人の慾望もまっすぐにお見通し。
可笑しいものは笑う。
道理に適わないことはぴしゃりと指摘する。
潔い人だ。
物事を深く読むことができるけれども、むやみに複雑にしない。
平らかに解き明かす。

そんな彼女だから図書之助の心の涼しさに心を打たれるのだろう。
そして、そんな彼女をもってしても恋は。
平らでない道をあえて選びすすませる。
理よりわが身より相手を思う。だから恋は美しい。
恋ゆえに闇に身動きできなくなる。

そんな心を愛でるところに美があり芸術があり感動があるのだなぁ。
この美しき世界を愛でる気持ちがあるかぎり、生きていかれる気がします。

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2014/08/06

その花は、悔いなく生き―――神話となる。

かなめさんのお茶会に合わせて7月13日から17日と、楽に合わせて7月26日、27日に
東京宝塚劇場にて宙組公演「ベルサイユのばら-オスカル編-」を見ました。

お茶会では、ステージ上で有志が、かなめさんをお相手に
オスカル、アンドレ、ジェローデルのそれぞれの役に挑戦するコーナーがありましたが、
挑戦者に、『演技指導』をなさったかなめさん、
ノリノリに面白可笑しくご指導なさっていた、その説明がとてもわかりやすくて
かなめさんの解釈をもっともっと聴いてみたいなぁと思いました。

いつもお茶会で役についてはいろいろとお話してくださいますが、
『演技指導』という名目により、いつもより具体的に細かに、そのシーンのその役の
そこにいたるまでの心情などを語ってくださり、
こんなにも深く考えて演じていらっしゃるんだなぁということを直に感じることができ
感動しました。

お茶会の翌日は休演日だったので、私は東銀座へ歌舞伎を見に行きました。
7月の歌舞伎座ではイヤホンガイドで玉三郎さんのインタビューを聴くことができました。

そのインタビューの中で、難解な泉鏡花の世界を
どうして玉三郎さんはこんなにも深く理解されているのかという質問に対して
玉三郎さんは、演じることで何百回も『体読』をしているからだとお答えになっていました。

『体読』とは初めて聴いた言葉だなぁと思いました。
玉三郎さんオリジナルでしょうか。

『音読』よりもさらに具体的に、その場面に自分を置いて
物語の状況やその中の人々の心を感じとって、自分の心と体が動いて行く。

そうすることによって見えてくるものや啓けていく未知の境地があり、
ただ文字を読んでいるよりも、深く深く登場人物のことを、世界観を
そして作者の魂を感じることができる。
そんな体験を、なさっているのだと理解しました。

そしてその『体読』は、それをする人の人間的な深みによってさらに、
いかようにも深まって行くのだろうなぁと。

かなめさんも、いままさにこの『体読』をなさっているのだなぁと思いました。
その繊細な感受性と聡明さと探究心が、その『体読』を深めているのだろうなぁと。

しかも好き勝手に『読む』ばかりではなく、演出家の先生と意見を交し合って
これだという『像』を見出し、何千という観客の前でその役を生き抜いて見せる。
繰りかえし繰りかえし。

そうすることによって、ただ読むだけの私よりも何倍も、オスカルという人の気持ちを
「ベルサイユのばら」の世界を、その身で理解されているのだなぁと思いました。

その1回1回をけっしておざなりに流さす、毎回心を動かし生き抜くところが、
かなめさんの尊いところだなぁと思います。

だから私は、彼女に心を射抜かれたのだ ―― と、あらためて思い知りました。
見るたびごとに何度も何度も、心を射抜かれるのだと。

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2014/08/02

愛、それは甘く。

宙組東京宝塚劇場公演「ベルサイユのばら-オスカル編-」の千秋楽が終わりました。

なんだかかんだか実生活にもチケット探しにも遠征にも追われ目まぐるしい日々でした。
感想を書くこともできないくらい。

なんとかお茶会合わせと楽合わせで2遠征することができ、合わせて10公演見れました。

でもしかし、楽合わせで行けることになってからのチケット探しは本当にどうなることかと。
(当初夫の帰省と重なる予定であきらめていたので会チケットは申し込んでいなくて)
(お断りすら発生する状況下で追加もあろうはずがなく・・・)
(不本意ながらDS2回分を1公演に注ぎ込みました)
(もうこんなことはしたくないーーー

でも素晴らしい公演を見れてすべて吹き飛びました。

宙組の明日にさらに希望を感じることができましたし、
凰稀かなめさんの役者魂に震え、そのタカラジェンヌとしての大きさに見惚れました。

宝塚に贔屓がいて、こんな作品に出会えたことのなんという悦び。
愛づらしきはかなめさんと宙組なり♡
ほんとうに、宙組の皆さん、かなめさんありがとうございます!と思います。

さてもう、どこから語りましょうか。
なんですけど、いまはどれだけ書く時間があるかわからないので、いちばん語りたいことを。

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