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2014/09/14

染む紫の雲の上まで。

9月11日(木)福岡サンパレスにてGACKTさん原作脚本音楽演出主演の
「MOON SAGA-義経秘伝-第二章」平教経編を見ました。

面白かったです。
プロジェクションマッピング等とてもお金がかかっているなぁと思いました。
こういう興行を打てるなんてすごいなぁ。
資金についてもスタッフについても。すごいなぁ。
これは1つの舞台芸術のジャンルとしてずっと続けてほしいなぁと思いました。
たとえばこのシリーズが完結した後も。

興行なので、利益がでるように企画されるのは当然のことですが
余力でもって、未来のために「耕す」ということもまた大切だなぁと。
そんなことも思いました。

これだけの公演なので、ホールの大半のS席のチケットが高額になるのは
仕方がないのかなと思っていますが、安価なチケットのランクがあるのがよかったです。
たとえ2階3階からでも見ることができてよかったなと。

そしてなにより、1日といえど、福岡で上演してもらえたことに感謝。
見れてよかった。


さて、ストーリーについては、史実とか日本語とか、細かいことにこだわらずに
これはパラレルワールドだと思って見るのが正解なんだなと。

やっぱりGACKTさんは少年のマインドを持った人だなぁと思いました^^

(以下ねたばれになると思います)

第一章のときは、義経よりも義仲のほうがかっこよくて、さいしょは
なぜGACKTさんは義仲じゃなくて義経なのかなぁと思ったものでした。

第一章は、義経の覚悟が決まるまでのお話なので、しょうがないですが
ラストちかくまで義経はかっこよくない(笑) 
むしろ、お人よしで優柔不断な義経のせいで、悲劇が起きてしまうから
彼に対してイラッともさせられる。

ただみんな仲良く幸せに現状維持で生きていきたい彼の内的世界の
透明でもろく美しいさまを表現したエアリアル・シルクの森の場面や
目には見えない「陰」(早乙女太一さん)との内的対話の耽美な場面。
そして仲間とただただ無邪気に馴れ合う場面。

からの、悲劇。

内向的な少年を襲った壮絶な経験は、彼自身をどう変えているのか。


それを踏まえての第二章の冒頭の義経。
彼の面にうかぶ憂鬱や虚無感。第一章を思い返すとわかりすぎるくらいわかる。
今回は、彼にイラッとはさせられないみたい。

彼に対する弁慶の悪態も、ほんとうは義経に向けられたものではなくて、
やり場のなさゆえの苛立ちだと痛いほどわかる。

仲間たちのたがいを思いやる軽口や笑い。みんな相変わらずいいやつなの。
仲間との絆は変わらぬままだけど、
でも差し迫った現実の重みが彼らに暗くのしかかっているみたい。

義経の願いは? 弁慶たち仲間の願いは?

そんなところにばったりと、敵方の平教経たちに出会って…物語が展開する。


ストーリーの深みでいうと、第一章のほうが義経の葛藤、世界観の謎解き、
仲間との絆とその崩壊などがあり、心を千々に動かしながら見た気がして
深かった気はします。

第二章の義経は、彼自身が大人になった分だけ、教経への哀れみが深く
見ていた私も義経に同調していたので、心が忙しいということはなかったかな。

第二章はまた、本当の敵役である政子や景時が積極的に敵役として動いたので
教経自身が心の闇に墜ちていくのも、複雑ではなくて「何故?」がなくて
突きつめて考えながら見る必要もなかったなと。
そこが物足りないといえば物足りなかったかな。

どちらかというと、胸が痛くて遣る瀬無かったのは菊王丸と銀狼丸でした。
少々漫画的すぎるきらいはありましたけども。
(漫画的なのはこの作品世界全体にいえることですが)


ストーリーは第一章よりも軽くなった気がしましたが、
演じる人たちの気迫は第一章と変わらず、とくに殺陣やアクションに命張っている様には
思わず、息を呑みました。

いやほんとに。
男の子たちのホンキを見た!と思いました。

第一章では舞台に木製の階段が組まれていてそこで戦ったりしていましたが、
第二章では階段ではなくて急なスロープを皆が上り下り。
嗣信さんの絶命シーンでは、後向きに頭からスロープに墜ちていくとか。
殺陣のスピードもそこまでやるかというくらい。
パフォーマンスとしてのレベルの高さを見るだけでも感動でした。

そのなかでお目当てのともちん(悠美ひろさん)は
GACKTさんと相対しても引けをとらない存在感を醸していました。

殺陣も、広いスタンスとリーチを思い切り良く伸ばした
美しさも忘れない見せるパフォーマンスで惚れ惚れ♡
カコイイ
アクションできる舞台女優さんでイケるのでは?

声は直近で記憶にあるものよりも軽くて高めで、ちょっと照れ。(/ω\)
しかも一人称が「ボク」
役の立ち位置も頭痛持ちの悩める青少年新鮮♡
でもしや、
あのエンディングの義経への懐き方は、、、BL的な萌えをしていいのだろうか、、、^^;
と多少の戸惑いも感じつつ、、、

(さいごまで私には教経が女性だったのかわからんままだったのですよ)
(教能さんから「俺の嫁か?」と何度も言われるし膝枕シーンあるしで、、)
(線の細い男性ってことだよね???)

いずれにしろ色恋はまったくなく、仲間を思いやる気持ちをいちばん大切にしたいという
そういうマインドの作品でしたけど。
そこがとても少年マンガ的だなぁ。と思いました。


第一章はGACKTさんのエゴイストが漂ってくるくらいの前方席で見ていたせいか
映像で気持ち悪くなったりもしましたし、映像そのものもあまり趣味が良いとは
思えなかったのですが(それより役者の力で見せてほしいと思いました)
今回2階センター席で見た映像はとても素晴らしかったです。
趣味もいい。

クライマックスの義経と教経のバトルシーンの効果も、後方センターのほうが
楽しめるような気がしました。

出演者のファンであれば前方席のほうがもちろんうれしいと思いますが、
舞台芸術として愉しむのであれば、全体がよく見える後方センターが
ぜったいオススメだなぁと思います。

というか、出演者のファンじゃなくても、見ておく価値はある舞台だと思います。


物語は、どうやら第三章につづきそうな気配。
嗣信さんも陽和ちゃんも死んでしまったけど、このあと彼らはどうなるんでしょう。
第三章もまた福岡公演やってほしいなぁ。と思います。


―― 後の世もまた後の世もめぐりあへ染む紫の雲の上まで (義経)


めも。

義経が机で書き物をしている場面、義経をはじめ舞台に登場する仲間全員が
「にわかせんぺい」のお面を被って演じてました(笑)

いろいろつっこまれてさいごは、「ごめ~~ん」でウケてた。(福岡県民ならわかる^^)

この場面で、弁慶さんがGACKTさんの曲のフレーズを歌ったのをうけて
GACKTさんがワンフレーズ歌われました。
GACKTさんさすがの美声。


オープニングの映像に、巴御前の静止画が何枚か。
劇中でも巴御前の「とのーーーーー!!!」が聴けました。

で、じつはあのとき巴御前を射抜いたのが、教経さんだったのだ!

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