ようやくあなたに私の祖国を見せることができました。
1月24日と27日、28日、東京宝塚劇場にて
宙組公演「白夜の誓い」「PHOENIX宝塚!!」を見ました。
約2週間ぶりの観劇、お芝居は毎回新鮮さがありました。
ベルジェンヌ伯邸の客人たちの様子、近臣たちの会話、国王の侍従の言葉も、
ムラの初日から何度も見ていて、私の中でこうくるだろうと思っているところを
裏切られるのです。
それが快いというか、とても自然で引き込まれました。
それぞれの役の人たちが役として舞台の上で自由に動けているのだなぁ。
世界観を壊すことなく。
そしてグスタフの愛が全方位に向かって溢れていました。
それに呼応するように、それぞれの人からのグスタフへの深い愛も感じました。
ソフィアからの愛、廷臣たちからの信愛、
リリホルンやニルスとのあいだにも
命をゆだねるほどの信頼と敬愛が生まれた瞬間が見えた気がしました。
ニルスにいたってはこのままグスタフの胸に飛び込んでしまうんじゃないかと思えるほど
グスタフにフォーリンラブな瞬間を見た気がしました。
なんだかもう、凄いことになってるぞ。
というのが率直な感想でした。
前回見たときにソフィアとリリホルンにとても心を打たれましたが、さらに深化。
大勢の人々の前でグスタフから「この結婚に納得しているのですか」と言われたソフィアは
声を出して嗤うようになり、心を傷つけられた女性の精一杯の虚勢を表現し
初対面の亀裂がより際立っていました。
グスタフの凱旋を迎えるシーンも、心細そうにテッシンを振り返り
促されてようやく歩みをすすめるのは前回もおなじでしたが、
今回はグスタフの前ではさっと硬い表情となるのが顕著に見えました。
「陛下、ご無事で」という声も強張っていて、ほんと素直になれない子なんだから・・(;_;)
と思わせておいてからの、
グスタフの感謝の言葉を受けてからの変化がすごかった!
強張りが見る見る解けて、まるで殻を剥いたゆで卵のように
無防備になるさまが見事で、その健気さに見ている私も胸がいっぱいになりました。
リリホルンもまた、自殺を止められてから
目の前でアンカーストレムとグスタフが言い争う場面、
ただ聞き流しているのではなくて、その言い争いの言葉の中に見えるグスタフの真意に
心動かされていることが感じられました。
「国王である前に軍人である前に、私は国を思う1人の人間だ」という言葉に
リスペクトしたんだろうなぁ。
セリフがなくてもこんなふうに心の動きが見えるんだと、
そして、こんなふうに集中して見てしまう空気感に驚きました。
・
ほとんどの登場人物たちが深化している中で、イザベルの気持ちももっと見えたらいいのに。
それがとても心残りでした。
前回観劇したとき、東京公演ではセリフが整理されてわかりやすくなったと思いましたが、
イザベルとの場面もセリフが変わっていて、年上の憧れの女性であることが強調されたぶん、
2人の愛が希薄になったように見えました。
なんだかイザベルの存在意義が薄れてしまったように思いました。
これでは後半のソフィアとの会話につながらないのでは?
理性も失うような激しい恋愛ではないけれども、そこには固く結ばれた絆があるのでは?
それがぼやけたままで(他がわかりやすくなったぶんよけいに)
気持ちが晴れないまま帰路についたのが前回東京公演をはじめて観劇した後でした。
イザベルが、彼女を連れて祖国へ帰りたいというグスタフの求めを固辞した一番の理由は
2人で育んだ大切な理想と夢をグスタフが実現し「進歩的な考えの国王陛下」となって
臣民1人1人が「自由な意思」のもと生きられる国を築いていくであろう彼の進む道を
自分という存在が妨げてはならないと判断したからでは。
けれど、そんな理性とはうらはらの女性としての気持ちも彼女にはあるはずでは。
私はそのあたりの、彼女の聡明さとその裏にあるせつない心情が見たかったのです。
その彼女の気持ちを察したからこそ、グスタフは滾る熱情を抑え、
単身帰国を決意したのではないのかな。
いつか必ず、2人で語り合ったあの理想のもと国王として自分が統治した国を
あなたにお見せしますと約束して。
その約束が彼女の面影とともに、グスタフの支えとなったから
幾多の苦難も乗り越えられたのでは。
クランツ一派から政を取り戻そうと決意するときも、
結婚を無理強いされ憤るときも、
ヤコブと国のあり方について言い争うときも、
幼い頃に抱いた信念とともに、イザベルとの約束が彼の背中を押していたのでは。
だからこそ、ソフィアにもイザベルのことを黙っていることができなかったのでは。
「嘘をつきたくなかった」のではなくて、理解してほしかったのではないかな。
そこが彼の基礎となるものだから。
それくらいソフィアを信頼しているのでは。
ほんとうに信頼している相手だからこそ、自分の大切なものを見せられる。
無意識の甘えでもあると思うけど。親しい女性の寛容さに包まれたい男心ってあるでしょ。
そこを受け容れ理解してくれたソフィアにだからこそ、あの場面になるんですよね。
あのやさしいハグと「ありがとう」![]()
約2週間ぶりに見たグスタフは、全方位にラブフルでしたが、
パリでの別れの場面でイザベルの気持ちを察し、いつか必ず祖国をお見せしますと
告げるときのイザベルへの眼差しも、抑えた熱情とせつなさと愛が溢れていて
そこにイザベルと過ごした日々への惜別と2人の絆が確認されたようで
見ていてとてもしあわせになれました。
ここまで思ってもらえているんだなぁと。
ここに愛を感じるからこそ、すべてがつながっていく気がしました。
ああ、よかった![]()
そしてオペラ座の舞踏会でイザベルをみつけたグスタフの眼差し。
深い感謝の言葉とともに滔々と溢れだすものを抑えた言うべきことそうでないことを
わきまえた大人の。
「ようやくあなたに私の祖国を見せることができました」
パリの別れのときに比べて、顕かに人として大きくなったことがわかるその姿。
あのベルジェンヌ伯爵邸で語らった「進歩的な考えをお持ちの国王陛下」が
こうして現実に目の前にいて、イザベルはどんな気持ちだろう?
あの自分の館の書斎で書物を読み耽っていた内向的で優しげな青年が――。
「どうか王妃様とお幸せに。スウェーデンの繁栄をお祈りいたします」と
イザベルはどんな気持ちで言っているのだろう?
そこを感じたいのです。
千秋楽まであと2週間。
イザベルの気持ちをもっともっと感じられたらいいなと思います。
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