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2015年2月の4件の記事

2015/02/20

大地を吹き渡る風のように。

かなめさんが宝塚を卒業されて3日4日と経つにつれて
かなめさんロスに陥っています。

千秋楽終演後そして翌日は、それまでの狂騒の数日が無事に終わった
その安堵感と充実感でほゎんとしていたんですが…。

かなめさんについて書きたいことはたくさんあるのに、
いざ書こうと思うと手が止まってしまいます。

悲しいわけじゃないんだけどなぁ…。

 

思い起こすと「白夜の誓い」「PHOENIX宝塚!!」とも東京公演は
見ながらやたらと泣いていた気がします。
もともと泣くのが得意じゃないので、舞台を見て涙を流したことってあまりないのですが。
ハンカチで涙を拭きながらの観劇はとてもできない(慣れていない)
と気づいたので東京公演中の観劇はマスクで通してしまいました。

ラインハルト、エドモン、ルドルフ、バトラー、キャパ、オスカルそしてこのグスタフと
私がファンになって見てきたかなめさんの役たちが私の心を徐々に解していってくれて。
とうとうさよなら公演ではこんなことに…。
かなめさんが見せてくれる役たちには、そんな作用が私にはあった気がします。

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2015/02/18

はるか彼方へ。

2月12日から15日の千秋楽まで
宙組東京宝塚公演「白夜の誓い」「PHOENIX宝塚!!」を見てきました。

ムラの初日の頃は脚本にかなり不満を申しておりましたが、
このグスタフ3世という役をかなめさんに当ててくださった原田先生には
ありがとうございますと申しあげたいです。

卒業するその日まで進化しつづけるかなめさんと宙組を見ることができましたし、
国を思うグスタフに組を思うかなめさんを重ねて見ることができたのは
ファンとしてとてもしあわせでした。

ムラではセリフもすくなく無個性に見えていた近臣たちが
東京ではそれぞれに人物像が見えたのもうれしかったことのひとつです。

思慮深く忠誠心厚いアルムフェルト(澄輝さやとさん)。
誇り高く正義感が先走るレーベンイェルム(愛月ひかるさん)。
人情家でいつも眼差しがやさしいバハトマイスター(蒼羽りくさん)。
穏やかな性格と情報収集力の高さがうかがえるグランフェルト(桜木みなとさん)。
後方にいてその分析力がたのもしいレクセル(和希そらさん)。

5人のお兄さん的立ち位置で「お導きください」とグスタフの目を見るアルムフェルト、
後ろ手に捕らえられた状態で、「何も話しておりません」「わかっている」というように
グスタフと目配せしあうレーベンイェルムを見るのが好きでした。

ほかの皆がクランツ達の専横に憤っているときに、農民たちの暮らしを心配し
グスタフがソフィアに「すまなかった」という場面ではもらい泣きしちゃうんじゃないかと
いうような顔をしてその様子を見守るバハトマイスターが好きでした。

「行方が、見当たりません」の言い方ひとつにもこだわりや工夫を感じたグランフェルト。
瀕死のグスタフを見つめる舞台上の全員の集中力も。
役をしっかり生き抜いている彼らが好きでした。

情感不足で私の気をもませていたイザベル(伶美うららさん)も
楽前日の2公演ではグスタフへの女心が感じられてとてもよかったです。
楽の別れの場面では、またすこし固くなってしまったかなと思いましたが
再会の場面ではやはり何かを掴めているんじゃないかなと。

イザベルはグスタフの行動に一本の道筋を通すたいせつな人物なので
それを納得させる役に見せるのは荷が重かったとは思いますが
きっとうららちゃん自身も役者さんとしてこのお役で成長されたんではないかなと。
そうだといいなと思います。

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2015/02/09

スウェーデン王国のために。

2月5日から7日まで、東京宝塚劇場で
宙組公演「白夜の誓い」「PHOENIX宝塚!!」を見てきました。

グスタフがどんどんストイックになっていくようでした。

この人は自分の死期を知っているのではないかと思うほど
物語がすすむにつれて何かを急いているようでした。

アンカーストレムを退けるときの「さがれ!」が
まるで彼自身の心の悲鳴のように聴こえました。

個人としての想いと国王としての信念。
二つの心が彼の身を引きちぎっているように。

『人は何かを手に入れれば、また何かを失う ―― 』

そしてそれからのグスタフにはもう、“スウェーデン”しか残っていないようで。
「私(わたくし)」は捨ててしまった人のように見えました。

完成したオペラ座を見上げる瞳に喜びよりも悲しみが宿っているように見えました。
大切なものを失って得たもの ―― その象徴であるオペラ座。
もうこれしか、彼には残っていない。

国王としての彼にはこれでまちがっていない、という絶対の信念がある。
オペラ座は、国王としての彼のいままでの功績の象徴でもある。

グスタフはそれを、アンカーストレムとともに喜びたかったはず。

そこに公私一体の、かれのたどり着くべき場所があったはず。
だけれど、グスタフのかたわらにアンカーストレムがいない。

「平和の殿堂がついに完成したのだ」
王としての達成感と安堵に、悲しい喪失感を帯びているように見えました。

 

『人は何かを手にした時、また何かを捨てる ―― 』

グスタフに斥けられ茫然自失でそう歌ったアンカーストレムの瞳には、
まるで主に捨てられた仔犬のような、深く傷ついた悲しみが宿っていました。

国王として「何か」を手に入れたグスタフは、私(アンカーストレム)を捨ててしまったと。

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2015/02/01

ようやくあなたに私の祖国を見せることができました。

1月24日と27日、28日、東京宝塚劇場にて
宙組公演「白夜の誓い」「PHOENIX宝塚!!」を見ました。

約2週間ぶりの観劇、お芝居は毎回新鮮さがありました。
ベルジェンヌ伯邸の客人たちの様子、近臣たちの会話、国王の侍従の言葉も、
ムラの初日から何度も見ていて、私の中でこうくるだろうと思っているところを
裏切られるのです。
それが快いというか、とても自然で引き込まれました。
それぞれの役の人たちが役として舞台の上で自由に動けているのだなぁ。
世界観を壊すことなく。

そしてグスタフの愛が全方位に向かって溢れていました。
それに呼応するように、それぞれの人からのグスタフへの深い愛も感じました。

ソフィアからの愛、廷臣たちからの信愛、
リリホルンやニルスとのあいだにも
命をゆだねるほどの信頼と敬愛が生まれた瞬間が見えた気がしました。

ニルスにいたってはこのままグスタフの胸に飛び込んでしまうんじゃないかと思えるほど
グスタフにフォーリンラブな瞬間を見た気がしました。

なんだかもう、凄いことになってるぞ。
というのが率直な感想でした。

前回見たときにソフィアとリリホルンにとても心を打たれましたが、さらに深化。

大勢の人々の前でグスタフから「この結婚に納得しているのですか」と言われたソフィアは
声を出して嗤うようになり、心を傷つけられた女性の精一杯の虚勢を表現し
初対面の亀裂がより際立っていました。

グスタフの凱旋を迎えるシーンも、心細そうにテッシンを振り返り
促されてようやく歩みをすすめるのは前回もおなじでしたが、
今回はグスタフの前ではさっと硬い表情となるのが顕著に見えました。
「陛下、ご無事で」という声も強張っていて、ほんと素直になれない子なんだから・・(;_;)
と思わせておいてからの、
グスタフの感謝の言葉を受けてからの変化がすごかった!
強張りが見る見る解けて、まるで殻を剥いたゆで卵のように
無防備になるさまが見事で、その健気さに見ている私も胸がいっぱいになりました。

リリホルンもまた、自殺を止められてから
目の前でアンカーストレムとグスタフが言い争う場面、
ただ聞き流しているのではなくて、その言い争いの言葉の中に見えるグスタフの真意に
心動かされていることが感じられました。
「国王である前に軍人である前に、私は国を思う1人の人間だ」という言葉に
リスペクトしたんだろうなぁ。

セリフがなくてもこんなふうに心の動きが見えるんだと、
そして、こんなふうに集中して見てしまう空気感に驚きました。

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