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2015/02/18

はるか彼方へ。

2月12日から15日の千秋楽まで
宙組東京宝塚公演「白夜の誓い」「PHOENIX宝塚!!」を見てきました。

ムラの初日の頃は脚本にかなり不満を申しておりましたが、
このグスタフ3世という役をかなめさんに当ててくださった原田先生には
ありがとうございますと申しあげたいです。

卒業するその日まで進化しつづけるかなめさんと宙組を見ることができましたし、
国を思うグスタフに組を思うかなめさんを重ねて見ることができたのは
ファンとしてとてもしあわせでした。

ムラではセリフもすくなく無個性に見えていた近臣たちが
東京ではそれぞれに人物像が見えたのもうれしかったことのひとつです。

思慮深く忠誠心厚いアルムフェルト(澄輝さやとさん)。
誇り高く正義感が先走るレーベンイェルム(愛月ひかるさん)。
人情家でいつも眼差しがやさしいバハトマイスター(蒼羽りくさん)。
穏やかな性格と情報収集力の高さがうかがえるグランフェルト(桜木みなとさん)。
後方にいてその分析力がたのもしいレクセル(和希そらさん)。

5人のお兄さん的立ち位置で「お導きください」とグスタフの目を見るアルムフェルト、
後ろ手に捕らえられた状態で、「何も話しておりません」「わかっている」というように
グスタフと目配せしあうレーベンイェルムを見るのが好きでした。

ほかの皆がクランツ達の専横に憤っているときに、農民たちの暮らしを心配し
グスタフがソフィアに「すまなかった」という場面ではもらい泣きしちゃうんじゃないかと
いうような顔をしてその様子を見守るバハトマイスターが好きでした。

「行方が、見当たりません」の言い方ひとつにもこだわりや工夫を感じたグランフェルト。
瀕死のグスタフを見つめる舞台上の全員の集中力も。
役をしっかり生き抜いている彼らが好きでした。

情感不足で私の気をもませていたイザベル(伶美うららさん)も
楽前日の2公演ではグスタフへの女心が感じられてとてもよかったです。
楽の別れの場面では、またすこし固くなってしまったかなと思いましたが
再会の場面ではやはり何かを掴めているんじゃないかなと。

イザベルはグスタフの行動に一本の道筋を通すたいせつな人物なので
それを納得させる役に見せるのは荷が重かったとは思いますが
きっとうららちゃん自身も役者さんとしてこのお役で成長されたんではないかなと。
そうだといいなと思います。

ムラの初日の頃、この作品を見て不満に思っていたことは
登場人物たちの動機が見えないということでした。
なぜそういう行動をとるのか納得ができないことでした。
そしていちばんの不満は、グスタフの成長が見えないことでした。

「この剣でみんなを守ってみせる」
という幼い誓いをそのまま疑うことなく持ち続けて行動するグスタフ。
そこに私は何を見出せばいいのか。

そこからはじまったこの「白夜の誓い」が――

内向的で理想主義の青年皇太子が、人びとの信頼と敬愛を得、
国王として1人の人間として自信と誇りを持ち、「国民を守る」という信念を、
命がけの訴えや、妻となった人の愛と気遣いや幼い頃から見守ってくれた人の
慈しみに気づいていきながら、確固たるものにしていった
その彼の成長の道のりを見せる作品へと。
同時にその信念の達成とうらはらにすれ違っていく親友との思いを
せつなく描き出して見せる作品へと変貌していきました。

それは宙組の芝居の力、表現の力によるものだと思います。
皆が主演のかなめさんが目指す芝居の方向性を感じ、おなじ方向を向いて
力を合わせてつくりあげていった結果だと思います。

ムラの初日が開いた頃は、おそらく演じている方たちも納得がいっていなかったのではないかと思います。
そこから、宙組の皆さんがもがき葛藤しつくりあげたこの作品をとても愛おしく思います。
こういうことも宝塚ならでは・・・かな。
この「白夜の誓い」というお芝居を私はこの先もずっとずっと忘れないと思います。

この作品から得たものを、どうか糧に、さらに素晴らしい組になってくださいと思います。
宙組へ――愛をこめて。

そしてかなめさんが、ここからさらに飛翔されますことを。
心から願っています。

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コメント

こんばんは。
いつもTheoさんの言葉には泣かされてしまいます。
わたしも2月にはいってからはよりいっそう通勤するように劇場にかよい自分の感じ方が日々ふかくなっていき・・・
正直まだまだぬけだせておりません(u_u。)

でもかなめさんが愛おしく大好きな宙組私もずっと応援してまいります。

この先どんなかなめさんに再会できるのか(o^-^o)その時を楽しみに頑張ります。

投稿: かずママ | 2015/02/19 23:02

◇かずママさん、
私もいま、かなめさんロスの只中にいます。
いまは無理に起き上がらずに心のままにしていようかな。
きっとまた出会えると、
かなめさん約束してくれましたもんね(^^)/

投稿: theo | 2015/02/20 18:32

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