そんなお前が妙にいじらしかったもんだ。
5月の博多座、雪組公演の感想をまだ書いております。
この人について書きたいと思う人が多すぎて書いていない人がまだいます。
今回の公演、ちぎみゆコンビをはじめとする雪組さんの芝居がほんとうに好きでした。
どの役にも見どころがある脚本だったというのも大きいと思いますが
その脚本にしっかりと応じた的確なお芝居と内面を見せてくれた雪組さんの力量も
すばらしかったなぁと思います。
そのうえであらためて、それぞれの役の性格付け、役割、必然性、見せ場が明確な
脚本演出っていいものだなぁとしみじみと思いました。
そして雪組さんとお芝居をした専科の花形ひかるさんもすてきでした。
ダンダラ模様の羽織を脱ぐ所作、袴を脱ぐ所作、着流し姿、座布団を返す所作。
いやんもう男前~~~
照葉さんの膝枕でくつろぐ姿や目線。
絵になるわ~~~と。
そんなビジュアルからうけるときめきもものすごかったですし、
この「星影の人」という作品における土方としての居方もまた
なんともいえずときめきました。
お芝居の最初のほうにあるセリフで、総司にむかって
その明るさで寂しさを紛らせていたのだろうと、
そんなお前が妙にいじらしかったもんだと言うセリフが、私の落涙ポイントの一つで
そのときの土方みつるさんのチギ田総司を見る目に愛しさがこもって温かくて
うるうるしながら見ていました。
その前の場面で、新参隊士たちに「局中法度」を読み上げていたときの
鬼の土方の厳しさを見せてからのこの場面なもので、なおさらに。
・
ちなみに、厳しい原則を言い放つ土方と、その土方の言葉のあとで、
その原則の意味を語り、理解してくれと隊士に告げる近藤さんは
いいコンビだなぁと思いました。
こんな2人だからこそ、総司は病身を呈しても、彼らについて行こうとするのではないかと
納得もできるんですよね。
そして近藤勇役のにわにわ(奏乃はるとさん)とみつる君が同期であることも
なんだかこの2人の信頼関係に良い影をあたえている気がしました。
総司が病身を押しても池田屋について行くと言い張り、それを承知した隊士たちが
総司をひとり残して木戸を出て行く際も、いちばんさいごまで総司を見ているのが土方さん。
総司がよろけながらも必死で前に進む姿をしっかりと見て、けっして余計な手出しはしない。
そういう見守り方をする人なんだなぁ・・・涙。
総司の成長をずっと見守ってきた人なんだなぁ。
そんな土方さんが、私は大好きでした。
みつる君の土方さんに惚れました。
そんな土方さんの眼差しは、
ショーでみゆさんと踊る時、真ん中のちぎちゃんに掛け声をかける時のみつる君の
見つめる対象への愛しさがつたわってくる眼差しとも重なりました。
みつる君いいなぁ
彩風咲奈さんの桂小五郎は、この作品では新撰組と敵対する薩長の志士たちのうちで
唯一名前のある役。
舞台ではほかに仲間は出てこなくて、幾松さんと総司だけが彼を知っている役。
そんななかで、彼の存在の意味と役割と心情を演じた咲奈ちゃん。
足に怪我をして虚無僧姿での逃走中に総司と数年ぶりの再会をする場面、
池田屋騒動の最中変装しての逃走中に出会った玉勇さんに総司の病状を告げる場面、
とうとう総司と相見え刃を交わすも咳き込む総司を見て借りは返したと立ち去る場面、
自分に万一の場合の幾松さんへの心配りなど
義理堅く情に篤い桂の人となりが見えて、この人がのちの日本を支える人なんだなぁ
と感慨深く思いました。
のちの木戸孝之という大きな存在でありながら、、
この作品では新撰組に相対する立場で、いつも彼らに追われている役。
主役の総司を、新撰組の隊士たちとは別の角度から見せるこの桂という役、
居方が難しいだろうなぁと思うこの役を、咲奈ちゃんが若いながらも全力で演じている姿に
なんだか見ている私の中に涼やかな心地よさが生じていました。
思わず応援したくなるような。
咲奈ちゃんももう研9?でしたっけ。いつの間にやら上級生なんだなぁ。
ショーのほうでも輝いていて、歌もすてきだなぁと思いました。
これからが楽しみです。
大ちゃん(鳳翔大さん)の井上源三郎はこの作品では
総司を可愛がる同僚の筆頭って役どころでしょうか。
長身でメンが得意? 新参隊士をしごく時もメンを連発。
そして松ヶ枝で志士たちを相手に斬りあうときも「メン!」でしたね~
山南さん切腹の場面での背中の演技に胸が痛かったです。
楽では涙声になっていた気がします。
振り返った頬には涙が。
ショーの大ちゃんの黒燕尾姿は、ああ宙組出身だなぁと。
なんでしょうね、スタイリッシュな着こなしでしょうか。
スタイルはもちろんのこと、醸し出すものがスマートですよね。
(星組に組替えしたまさこちゃんにも感じました)
(みーちゃん、かちゃ、まさこちゃん、大ちゃんのショーでの在り方になにか共通点が)
懐かしいようななんともいえない気持ちでじーんとしました。
新入隊の佐藤君を演じた煌羽レオさんもよかったです。
彼の存在があるから、観客もこの「星影の人」の世界がよくわかるなぁ。
外からの目線を入れる役割だなぁ。
舞台を見ながらこの作品世界の人びとに愛着を感じ愛おしくなって
すっかり心を取り込まれた辺りで、彼佐藤君の隊士としての出動が許されるんですよね。
この厳しい新撰組の一員にとうとう彼もなったんだなぁと
なんだか喜ばしいような辛いような・・・。
煌羽さんはみつる君と対のタンゴの場面など、ショーで目立つポジションにいましたね。
つい目がいってしまいました。
医者の良玄先生、にわにわやみつる君以外に上級生誰がいたっけ??と
初日を観劇したあとプログラムを見たら透真かずきさんで驚きました。
雪組こわい・・・。
下手前方席に座ったとき、ショーで黒ジャケットの群舞の中に大人っぽくてすてきだなぁ
と思った人がいたのですが、あとでプログラムを見ても誰だかわからないまま。
その後別の席になってその場面を見ても、特定できませんでした。
あのときだけの幸せなまぼろしを見たのだと自分に言い聞かせました。
雪組こわい・・・。
こうして私にときめきをたくさんくれた博多座雪組公演は終わってしまいました…。
この感想を書いていたら、次の大劇場公演「星逢一夜」で退団する生徒さんが発表に。
土方さんを兄の敵と狙っていた安紀さん役の此花いの莉さん、卒業されるんですね。
ショーでもきれいな歌声を聞かせてもらいました。
ほかの退団者の方も、卒業のその日まで、どうぞ幸せな宝塚生活をおくられますように。
(この卒業こそが、宝塚を宝塚たらしめているシステムなんだなぁと・・・しみじみ・・・)
| 固定リンク | 0
コメント