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2015/07/30

思えば果敢ねぇ身の上だなァ。

Kichiza7月20日、仕事帰りに中洲大洋にてシネマ歌舞伎「三人吉三」を見ました。

黙阿弥ってすごい、、ってやっぱり思っちゃいますねぇ。
三人吉三は10年ほど前に博多座で、お嬢玉三郎、お坊段治郎(月乃助)、和尚獅堂で通し狂言を見て、やっぱり黙阿弥さんすごいって思ったんですよね~。

あのときは、玉三郎さんのお嬢がいちばんの見物でもあり、とにかく素晴らしく、そして様式美を堪能しましたが、シネマ歌舞伎のこの三人吉三は、コクーン歌舞伎の演出ゆえか、はたまた演じる勘九郎さん、七之助さん、尾上松也さんの若さゆえか、とてもリアルな三人吉三を堪能しました。

面構えが若造なんですよね。
美しさよりも荒削り。
このあたりは映像ゆえになおさら感じられた気がします。

彼ら3人が大川端庚申塚の前で、義兄弟の契りを交わして、
「思えば果敢ない身の上だなァ」と見栄を切ったときの表情のアップを見た瞬間、うわっと切ないものがこみ上げてきました。
この若さ。
こんなに悪ぶっているのに。
捨て犬が心細げにふるえて寄り添っているのを見たときのような胸の痛みが・・・。

5歳でかどわかされて旅芸人に売られて育ったお嬢、
母を早くに亡くして極道者の父親のもとで捻くれて育った和尚、
武家に生まれながら幼い頃にお家断絶、仇討ちを言い聞かされて育つも果たせぬままに虚しく浪人のお坊、
いわば社会の孤児である3人。
だれかのかけがえのない存在になりたかった魂が3つ。

どうせいつかは惨めに果敢なくなる身の上。
ならばその命を義兄弟のためにと。
その見かけや言動とはうらはらの純粋さに胸が痛くなりました。

勘九郎さん、七之助さん、松也さん、お若い3人だからこそ。いまのお3人だからこその激しさ、迫力、疾走感、純粋さを見ることができた気がします。
できることなら生で見たかった!という口惜しさ。
けれども映像だからこそ、時間を置いてまた見れる。
そのとき私はどんな感想を抱くのかを楽しみたいなぁと思いました。

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