祈りはやがて世界を変える力となる。
今年の宝塚歌劇宙組博多座公演『王家に捧ぐ歌』の千秋楽はもうとっくに終わってしまいましたが、もうすこしだけ思い出すままに書いてみます。
これまでの博多座宙組公演は私にとってエポックを画する出来事となっていたのですが、でもさすがに今年はそんなことはないだろうと油断していたらーーその予想は大きく裏切られてしまいました。
(油断していたからこそ楽日直前に大阪遠征を予定していたのです)
いちばんのトピックはひ孫ができたことです(笑)
誤解のないように書きますとひ孫のように愛着を感じる生徒さんができてしまいました。
これから宙組を観劇する楽しみが増えました
楽の1週間前まではずっとエジプトの戦士に注目していましたのでエジプト側から物語を見ていたのですが、楽日はやけにエチオピア寄りの視点で見てしまいました。
なんだかウバルドがかわいそうでたまりませんでした。
この子は生きる喜びも知らないまま死んでしまったんだなぁ。神の名の下に清らかなまま・・・と思うと。
つらかったよね、半身のような妹アイーダの心変わりが手に取るようにわかってしまって。
心から信仰し大事にしている神様のその御業を否定されてしまって。
「虫けら」だなんて言われて。
アイーダひどい
アムネリス様にラダメスの凱旋を告げに来る伝令さんと同い年くらいなのかなぁと思うと、ウバルドの死が私にはとても重く感じられました。
あの薔薇色の頬を恋に輝かせる若者と青春も知らず散った若者と。
生まれ育った国がちがうというだけでこんなにも・・・。
楽の伝令さんは、アムネリス様の笑顔をいただけて踵を返して去って行くお顔がとても嬉しそうに輝いていました。何か手応えを感じたのかな。お顔に出過ぎよ(笑)と思ってしまうほど。
あの場面にほのかな明日への希望を感じたばかりだったから余計にウバルドの短い一生に心が揺さぶられたのかもしれません。
こののちあの伝令さんがいちばん青春を謳歌するのかも。あのままずっとエジプトが平和だったら。
伝令さん、あなたの幸せは皆の悲しみの果てにあるのよ・・と。
そしてあの伝令さんは、これを見ている私自身にいちばん近いところにいる人なんだなぁと思いました。
自分の子どもや孫たちひ孫たちには彼のような人生であってほしいなと思います。いつまでも。
だからこそ忘れないでいてほしいし忘れないでいたい。ウバルドたちのことを・・・と思いました。
楽のずんちゃん(桜木みなとさん)のウバルドを見て、しみじみと宙の子の芝居だなぁと思いました。こんな芝居が私は大好きだとしみじみ。
もう大好きだ。エジプトもエチオピアも。
・
大楽の美人選びの場面、2人で合体してハートを作ってはっちゃけてた平和ボケし過ぎのエジプトの戦士の風馬翔さんと七生眞希さんが愛しかったです。
これが平和です。ちっとも悪いことだなんて思わないです。
自由と平和があればこそだもん。
自由とは他人を害さないすべてのことを成し得ることである。だもん。と。(楽前日見たばかりの「1789」の受け売りです。あ、もしかしたら「1789」を見たばかりだったから、この辺やウバルドに揺さぶられたのかもしれません。影響を受けやすいので・・・(^^;)
どんな気持ちなんだろうと気になっていたラストで剣を置くエジプト戦士の七生さんは穏やかな顔でした。
戦いで殺された仲間たちのことを簡単に水に流してわだかまりを捨てることなんてできるのかな。
それともこれこそがアムネリスが見た夢のワンシーンなのかな。
そんなことを思いながら私は見ていました。もちろんあのラストで納得していない顔でいられても困るのだけど(^^;)
祈ろう明日を、この地上にこそ希望をと歌う表情に私は素直な願いを感じました。
そうであってほしいと思う夢を具現化した場面なんだなぁと思いました。
きれいごとであろうとも。きれいごとがなければ、理想がなければ変わってはゆけないから。
祈りはやがて世界を変える力となる。―― そう思える世界であってほしいから。
それから楽には澄輝さやとさんの顔を見るだけで泣ける体質になっていました。終演後はケベルのとーもよー♪を思い出すだけで涙目になって帰りました。
初日はなんだか弱い印象を受けた澄輝さんのケペルでしたが、楽にはもうこの清涼な風のようなケペルが大好きになっていました。くれぐれもお体おいといくださいませと思いました。
(次のエリザベートのルドルフもさらに精神的にずーんと重い役ですよね・・・どうかご自愛くださいませ)
この博多座公演千秋楽では、95期の真みや涼子さんと96期の美桜エリナさんが卒業してゆかれました。
真みやさんはエジプトの女官として毎日アムネリス様を讃えたり、美人選びにエントリーして力強く個性を発揮していらっしゃいました。
アイーダを虐げる場面ではそれはそれは恐ーいお顔でアイーダを睨めつけているのに、伝令さんがアムネリス様の居室に入ってこられると表情が乙女になっていたのもツボでした。
伝令さんはアムネリス様に心を寄せていて、アムネリス様はラダメス将軍を愛していらして。そうか、真みやさん演じる女官のアルバアさんにとっては、アムネリス様がラダメス将軍と結ばれるかどうかは個人的にも重大な関心事だったのね(笑)。
あの辺りの淡い恋模様を想像するのも微笑ましい気分になれて好きでした。
美桜さんはエチオピア人の囚人として、あの故郷エチオピアを謳う素晴らしい曲を歌われていました。
エチオピア人の囚人の女性としてお兄さんが目をくりぬかれたり戦いで荒廃したエチオピアの大地で何のために生まれてきたのかと嘆いたり壮絶な人生をおくられていたほかに、エチオピアの戦士として男役でエジプト兵と戦ったりもされていました。
卒業するお2人にとって充実した公演であったのだったら良いなぁと思います。そしてどうかお幸せに。
楽のフィナーレのデュエットダンスでは、朝夏さんが白いお衣装で振り向いたところから、なぜだかうっと胸に来るものがありました。
朝夏さん、なにか出してました??
なんだかみりおん(実咲凜音さん)の分まで何か出してたような?そのオーラでみりおんを包み込んでいたように感じてなんともいえず思わずうるうるしてしまいました。
見ていてしあわせなデュエットダンスだったなぁ。
朝夏さん、千秋楽のご挨拶では感極まって泣いていらっしゃいましたね。
本当にこんな1か月になるなんて思ってもいませんでした。宙組さん本当にありがとうございます。
このメンバーにヴァンパイアサクセション組も加わって全員揃った大劇場公演が期待倍増になりました。
(ほんとうはもっともっといろいろ思っていたのですが、、、力不足で書き切れずまとまりもない文章になってしまい情けないです・・)
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