君が信じた僕をもう二度と見失いはしない。
8月10日昼夜2公演、梅田芸術劇場メインホールにて宝塚歌劇雪組公演「ローマの休日」を見てきました。
3週間以上経ってしまったので記憶があいまいですが書けるかぎりで感想を。
有名すぎるほど有名な映画の舞台化でどうなるのかな?と思っていたのですが、これが予想を超えてよかったです。
誰がやってもハードルが高いだろうと思いましたが、わけても長身のグレゴリー・ペックとあのオードリー・ヘブバーンを“ちぎみゆ”(=早霧せいなさんと咲妃みゆさんの雪組トップコンビ)でやるのは、持ち味的に遠い気がしていたのです。が、そこはさすがの“ちぎみゆ”。芝居で魅せてくれました。
1幕はけっこうドタバタ。
ジョー(早霧さん)に振り回されて気の毒な相棒アーヴィング(彩凪翔さん)とアン(咲妃さん)に一目惚れのイタリア人美容師のマリオ(月城かなとさん)が良い味を出してて目立っていました。
ときどきテンポが滞る気がしたのと、え?こんな生徒さんまでもがモブなの?ともったい気がしたりしましたが、わ~これ楽しい♪で一幕が終わりました。
2幕はうっかり涙ぽろぽろでした。
祈りの壁の場面からの主人公2人の心の近づき方が田渕先生ロマンチストだなぁと思いました。
現状に不満たらたらでなんとか世間を出し抜いてよい目をみてやろうという気持ちで生きていたジョーがアンに心を寄せていく過程で、自分の利益よりも誰かのためにという気持ちが芽生えているところが自然でした。
たぶんこの優しいジョーが本来の彼なんだろうな。幼い頃の彼はきっと心優しい子だったのだろうなと思いました。
そんな自分を取り戻せてよかったねと見ていて素直に思えました。
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大使館に戻ってきたアン王女に対して反省した側近たちがこれからは王女の気持ちを考えると言うのに、アンがその必要はないときっぱりと言う場面で不覚にも涙してしまいました。
どんな心のうちなんだろうな。
彼女もまた日々に追われて自分がなんのためにそうしているのかわからなくなっていたのだろうな。でもこの1日の経験で自分がやるべきことを受け入れる覚悟が生まれている。
この1日で芽生えたジョーへの思いを固く心に封印して。彼女はそれを1人心に秘めて大事に大事に守っていくつもりなのかな。
このワンシーン、この1つのセリフだけでそれを表現できる咲妃さんはすごいなぁと思いました。(彼女の声は役者さんとしてこの上ない強みだなぁ)
アーヴィングが撮ったアン王女のスクープ写真を2人で見ながら茶化したりお道化たりするジョー。そうやって瞬間瞬間を思い出しているらしいジョーの姿にも落涙をおさえきれず・・・
この場面の早霧さんもまた素晴らしくて。ほんとうに“ちぎみゆ”貴い。。。
最高のスクープねたを反古にするジョーの気持ちを思いやるアーヴィングが本当にいいやつで。
彼が歌う歌にも涙でした。―― ハートのエース差し出して人はほんとうの愛を知る・・・。
フランチェスカがいる彼は恋心という点でジョーよりも先輩なんだなぁ。ジョーをあたたかく見守る優しさが素敵。
いやもう最高にいいやつ。
そしてあの有名な記者会見の場面。
どうなるかはわかっているのだけど、アン王女の「ローマです!」でまたしても涙腺が決壊。
彼女が自分の立場を超えて発した言葉。
この言葉にどれだけの気持ちが込められているか。。。
友情以上の思いを友情に込めて。でもこの友情をなによりも尊いものとして生きていくだろう2人を思うと。
手柄はふいにしてしまったけれど、「君が信じた僕をもう二度と見失いはしない」と歌うジョー。
それはきっとアンも同じ。
別れゆく2人を見るのはせつないけれど幸せな気持ちになれる公演でした。
ロマンチストの田渕先生ばんさい(笑)。
そして“ちぎみゆ”に乾杯。
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