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2017年1月の3件の記事

2017/01/28

旨酒を飲もう。

1月16日に宝塚大劇場にて月組公演「グランドホテル」とショー「カルーセル輪舞曲」を、1月17日に「グランドホテル」の新人公演を見てきました。
月組新トップ珠城りょうさんの本拠地お披露目公演でした。


フェリックス・アマデウス・ベンヴェヌート・フォン・ガイゲルン男爵役の珠城さんは異例の研9でのトップ就任で学年のわりに地に足の着いた落ち着いた雰囲気を持つ男役さんでした。
大きな欠点もなく安心して見られるタイプだなぁと思いました。
いかにも貴族で上流風だけど、ちょっといわくありげな男爵といったかんじが良く出ているなぁと思いました。

エリザヴェッタ・グルーシンスカヤ役の愛希れいかさんはさすが!でした。
どこか現実とは乖離した感覚の女性。名高いバレリーナとして若い頃はロマノフ王家とも親交があり沢山の贈り物と栄誉を授かっていた人が革命と重ねた年月によって残酷にも多くのものを失ってしまって。
唯一残った彼女にとっての人生そのものであったはずの踊ることにさえも喜びを失いかけていた時に若い男爵と恋に落ちて生きる喜びを取り戻す。
そのもう若くはない女性のキャリアや人生を感じさせる役づくりで、心の動きの見せ方も素晴らしかったです。
珠城さんとのボレロの場面は最高でした。珠城さんの肩から降りるときの脚の流れの素晴らしいこと。
もう娘役の域を超えてしまってるかなぁとも思えました。女優さんだなと。
彼女見たさに劇場に行きたくなるジェンヌさんです。
実咲凜音さんが「双頭の鷲」に出演したみたいにさらにハイレベルな作品に出演する機会があるといいのになぁと思います。

オットー・クリンゲライン役の美弥るりかさんはしょぼしょぼの役でも華があるのが宝塚らしくていいなぁと思いました。宝塚スターが演じるオットーという感じでした。
「We'll Take A Glass Together」での男爵との掛け合い、とても愛嬌があって魅力的でした。あの場面とてもいいですねぇ♡

役替わりのフラムシェン(フリーダ・フラム)は海乃美月さんが演じていました。
歌、芝居、ダンスともにお上手で娘役として出来上がってる方だなぁと思いました。
上昇志向でチャンスのために自分自身の女性性を駆け引きに使ってしまうという宝塚の娘役さんが演じるには珍しいタイプの役ですがちゃんとそんな女の子に見えましたし、こういう女の子たちがいたのが1928年のベルリンなのだろうなと思えました。
その上で上品さも残っている娘役さんらしさが海乃さんの持ち味なのかなと思いました。
彼女に対してプライジングがとても酷い男に見えました(笑)。

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2017/01/21

兵の情は健やかなるを主とす。

1月17日宝塚バウホールにて星組公演「燃ゆる風-軍師・竹中半兵衛-」2公演を見てきました。
七海ひろきさんが主役の竹中半兵衛を演じていました。

これは時代物ではなく戦国ファンタジーなのだと思って見ました。なにもかもが半兵衛の手柄にされていて突っ込みだしたらキリがないので。
戦国BASARA同様にゲームのキャラクターだと思えばいいのかな。
このキャラにこの言葉を言わせたかったのねという感じ。そうよね、いまならあすなろ抱きさせたいよねとか。
ドラマにリアルはありません。リアルは役者の感情にありました。
で、まんまと泣かされましたcoldsweats01

バレバレのフラグを立てては回収を繰り返す脚本で、逆に言えば楽に回収できる以上のことはしていないので、もうちょっと意欲的でもいいのではという気持ちになりました。
知的な満足を求めるのではなく、気軽に見て泣いて笑って、あとで役者についてあーだこーだと話すのが楽しい作品かなと思います。

かいちゃん(七海ひろきさん)の竹中半兵衛は、竹中半兵衛の姿を借りたかいちゃんそのものでした。
主役なのに張りがないのはそのせいかな。せっかくコスチュームなのに中の人が素のままなので、大きさや華が足りないと思いました。
首から上と首から下の情報量の落差が気になりました。具足姿なのに重心所作が侍らしくなく手持無沙汰に見えました。
心はもの凄く入っているから客席も泣いちゃうけど。
でもその心はかいちゃん以上のものではなくて。かいちゃんがかいちゃんのまま具足や陣羽織を着てかいちゃんの感情のままに泣いている感じで、役としてはどうなの?と思います。
どういうスタンスで舞台に立っているのかな。最近のちょっと浮足立っている感じが私は苦手だな。
以前のようにもっとストイックに役作りをしてほしいと思うのですが。

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2017/01/05

ひとごろし。

12月9日キャナルシティ劇場にてミュージカル「貴婦人の訪問」を見てきました。
(感想を書きかけたまま時間がなくて年を越してしまい・・・新年早々こっそりアップですsweat01

2015年秋に見て今回は2回目の観劇でしたが、前回は山口さんのアルフレッドが全体から浮いていて違和感だったのですが、今回はいい具合の浮き方に感じました。
前回は若いクレアに同情してマチルデのことも可哀想に思って見ていた気がします。アルフレッドをどう描こうとされているのかクレアの真意はどこにあるのかを探るように見ていました。
今回は2015年に見たときよりもアルフレッドとクレアのあいだに愛が見えた気がしました。
それがほんとうに愛なのかを考えながら見ていました。贖罪なのか執着なのかそこにほんとうに愛はあるのか。
いまの2人それぞの互いに対する思いとはいかほどのものなのか。

2人みつめあえばいまも愛し合っていた頃の熱くせつない気持ちが甦るのか。でもそれは昔の気持ちが地層を超えていまに湧きあがるのであって、いまのお互いを愛しているのとはちがうのではないかとか。
それをいまの気持ちと錯覚してしまうアルフレッドの甘さと、シビアなクレアの別の気持ちが見えたような・・・。
いまに至るまでの2人の現実の過酷さの差が見えたような気がしました。

さらに今回はギュレルの人たちの怖さがつよく印象に残りました。
アルフレッドが殺された時にクレアが市民に向かって「人殺し!」と叫びますが、それはアルフレッドを殺したことを言っているのではなくて、「こんなふうにあなたたちは人殺しなのだ」と言っているのだと思いました。
アルフレッドがギュレル市民から糾弾をうける図は、数十年前のクレアがされたこととおなじ。
正義の名のもとに不公正に裁かれ、若い娘にとっては殺される以上の冷酷な扱いをうけた。
数十年前もそうだし、いまも正義を隠れ蓑にした利己主義によってあなたたちは平気で人殺しをする者たちなのだと言っている気がして、クレアの目的はこれだったのかもとも思いました。

アルフレッドを私刑にしたあとの彼らがとても怖かったです。正義の名のもとに己を欺瞞にかけ殺人を犯したことをまったく恥じていない彼らがうすら寒くかんじました。
私もいつアルフレッドや若いクレアにされるかわからない。いつギュレル市民になるかわからない。そんな怖さを感じました。

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