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2017/01/21

兵の情は健やかなるを主とす。

1月17日宝塚バウホールにて星組公演「燃ゆる風-軍師・竹中半兵衛-」2公演を見てきました。
七海ひろきさんが主役の竹中半兵衛を演じていました。

これは時代物ではなく戦国ファンタジーなのだと思って見ました。なにもかもが半兵衛の手柄にされていて突っ込みだしたらキリがないので。
戦国BASARA同様にゲームのキャラクターだと思えばいいのかな。
このキャラにこの言葉を言わせたかったのねという感じ。そうよね、いまならあすなろ抱きさせたいよねとか。
ドラマにリアルはありません。リアルは役者の感情にありました。
で、まんまと泣かされましたcoldsweats01

バレバレのフラグを立てては回収を繰り返す脚本で、逆に言えば楽に回収できる以上のことはしていないので、もうちょっと意欲的でもいいのではという気持ちになりました。
知的な満足を求めるのではなく、気軽に見て泣いて笑って、あとで役者についてあーだこーだと話すのが楽しい作品かなと思います。

かいちゃん(七海ひろきさん)の竹中半兵衛は、竹中半兵衛の姿を借りたかいちゃんそのものでした。
主役なのに張りがないのはそのせいかな。せっかくコスチュームなのに中の人が素のままなので、大きさや華が足りないと思いました。
首から上と首から下の情報量の落差が気になりました。具足姿なのに重心所作が侍らしくなく手持無沙汰に見えました。
心はもの凄く入っているから客席も泣いちゃうけど。
でもその心はかいちゃん以上のものではなくて。かいちゃんがかいちゃんのまま具足や陣羽織を着てかいちゃんの感情のままに泣いている感じで、役としてはどうなの?と思います。
どういうスタンスで舞台に立っているのかな。最近のちょっと浮足立っている感じが私は苦手だな。
以前のようにもっとストイックに役作りをしてほしいと思うのですが。

半兵衛の妻いね(真彩希帆さん)が私は苦手かもと思いました。
彼女の周辺の設定が歪んでいるせいもあるかもしれませんが共感できないヒロインでした。
自己肯定感が強烈な女性だなぁと思いました。あの「女の私は~」というセリフは控えめな女性はぜったい言わないぞと思います。
椿のくだりもくどくて、この人はこんなふうに夫を思う言葉を口にする自分が好きなんだなと思いました。
あすなろ抱きされる場面にも必然性がなくてなんだかなぁでした。流れがおかしいでしょと思いましたがいいやどうでも。ファンの人がこれで嬉しければという気分になりました。

悠真倫さん演じる秀吉がもう1人の主役という感じでした。
信長が無茶を言い、秀吉がそれにうろたえてなんとか信長を翻意させようと言葉を尽くすけどうまくいかないところへ脇から半兵衛がすっと現れて解決するというバリエーションのいくつかで物語が展開していた感じでした。
半兵衛よりもずっとセリフが多かったし物語を転がしていたのは秀吉だなと。
この作品においては秀吉はいろいろと忙しくて大変で半兵衛はいいとこどりで独善的だと思いましたcoldsweats01
悠真さんはコスチュームでわさわさ忙しく動いても秀吉らしく所作に無駄なところがないのが凄いなぁと思いました。
ねね役の万里柚美さんとのコニカルな夫婦ぶりも愛らしかったです。

信長役の麻央侑希さんは大きな役を懸命にものにしようとしている姿に好感を持ちました。
この物語では豪気さと気難しさと冷酷さを併せ持つ人物として存在しなくてはいけない難役ですが立振舞いも信長らしくよかったです。壇上を上から下へ歩いて目線をくれるだけの場面も信長を表現してました。
自分のために殿をつとめる秀吉に懸ける言葉に労いと感謝をそれとなく滲ませる加減がよかったです。
それから秀吉が半兵衛から聞きかじった孫子を得意げに諳んじるところ。「兵の情は健やかなるを主とす」と言っていた秀吉に後できっちりと「速やかだろう」と指摘するタイミングが好きでした。
音羽みのりさんの濃姫との関係もベタベタしない中にも信頼と愛が感じられて好きでした。
音羽さんは「大海賊」のアンも好きでしたが濃姫も素敵でした。所作も綺麗で信長にはっきりとものを言う感じや凜とした中に切なさも秘めているかんじがするところも好みでした。

黒田官兵衛役の天寿光希さんも良い役者さんだなぁと思いました。感情豊かに演じているけれども着物の所作が綺麗でした。
有岡城幽閉から救出された後の官兵衛の姿がモンテ・クリスト伯っぽかったです(笑)。

柴田勝家役の人がどこをどう見ても柴田勝家にしか見えなくてなんどもなんども見直し凝視してしまいました。
あの姿で踊りながらフッとほほ笑まれたらもう♡危うくストーレンマイハートでした。
あとでお名前を確認したら輝咲玲央さんとおっしゃるらしい。覚えておこう。当たり前だけど女性なのですよね。

三郎太役の天華えまさんも儲け役ですね。亡くなってしまった後でまぼろしとして出てくる場面。袖に去り際にふとほほ笑んだ瞳が人懐っこくてキュン♡としました。
天華さんもこれから気にして見てみようと思います。

それにしても官兵衛が有岡城へ出向くくだり等々半兵衛に都合よく改変しすぎ。
いちばん釈然としないのはやはり信長が正室にできた姫を養女に出すくだりですが(正室を母にもつ姫とか政略にめちゃ使えるでしょうに)。
いろいろ想像を加えて面白くするのはいいけれど半兵衛1人が良ければみたいなのはやはり見ていて鼻白むなぁと思いました。
脚本の鈴木先生の作風っていつもこうなのかな。だとしたら期待できないなぁ。もっとチャラい題材だったらハマるのかもしれないけど。

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