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2017/03/30

うっとりします。

3月25日、福岡市民会館にて宝塚歌劇花組公演「仮面のロマネスク」とショー「Exciter!! 2017」を見てきました。

みりおちゃん(明日海りおさん)、頼もしいトップさんになったなぁと思いました。
すごく充実している感じが伝わってきました。

新トップ娘役の仙名彩世さんは明日海さんと並ぶと『絵柄』がちがう印象でした。
(仙名さんは花郁悠紀子さんが描く女性っぽいなぁと思いました)
ヒロイン芝居を封印してきた弊害なのかもしれないけれど、芝居が固い印象でした。
作品のヒロインとして心が閃く一瞬が見えるように、見せる芝居を期待したいです。

「仮面のロマネスク」はあらためて復古王政時代の描き方に惚れ惚れしました。
貴族たち、ブルジョワたち、庶民たち。自然に語られるそれぞれの立場からのセリフが時代を表現してて。
貴族階級の中にも異なる立ち位置がさりげなく描かれていて。
それが物語の主題ではないのだけど、確実に登場人物たちの心に影を落としているから物語が運ばれていくのだなぁとわかる。凄いなぁと思います。

そして、やはり柴田先生の作品は娘役を選ぶなぁと思いました。
なぜだかはわかりませんが、メルトゥイユは人間不信なところがありますよね。
だから人を試してしまう。
ヴァルモンの態度に本当は傷ついているし嫉妬もしているけれど、世間や男性を見下して自分はさも打算で生きているように見せかけることで自分の弱いところ、自分の本心を押し隠そうとする彼女独特の矜持がある。
そんな強がりが魅力的で愛しくて、宝塚にはまりたての頃にCS放送で見た初演のメルトゥイユに私は心を掴まれました。
そのちょっとした可愛らしさが今回のメルトゥイユには感じられなかったな。

ヴァルモンが感じているはずの彼女の仮面に隠された魅力を私も感じたかったなぁと思いました。
そこが感じられないとヴァルモンがただの美貌だけの浮気おとこに見えてしまうから。
ヴァルモンの動機になりうるメルトゥイユかどうかが大事だと思います。

また今回はどういうわけか零落した子爵家を持ち直したヴァルモンの影の苦労や仮面に隠したメルトゥイユへの愛が印象づかなくて、結果的に女誑しぶりだけが強調されてしまったような気がします。
メルトゥイユにもヴァルモンにも仮面に押し隠している真の部分がある。
それが仄見えた一瞬にはっとさせられるから、その仮面を今生の別れとなるかもしれないギリギリのところで外すラストシーンが感動的なのになぁ。
2人の「あなたがいたから」という繊細で久しい想いが優美なロマネスクになった瞬間のなんともいわれぬ感動を味わいたかったな。

と思ってしまうのも、“初演信者”ゆえかもしれません。(しかも映像の)
ハードルが高くなってしまってる自覚が大いにあります。
いろいろ言いながらも見たいんですよね
見たくもない作品や出演者ならはなから見ないですもん(笑)

人を信じることができないゆえに人を試してしまうメルトゥイユと似た者同士のヴァルモン。
負の証明をし続けなくてはいられない哀しい2人のさが。
その対比として、人を信じ、未来を信じるダンスニーと彼の愛に支えられ支えあい生きていけそうなセシルが配置されているのが、上手いなぁとつくづく思います。

ヴァルモンに愛しいセシルと何をしているのかと訊かれて「歌を歌います」。
それでと重ねて訊かれて「うっとりします」というダンスニーがとっても愛おしかったです。
こんな柚香光さんもいいなぁと思いました。
初演の放送を見た時からのダンスニー好きなのでとても楽しみにしていたのですが、やはりよかったです
これを見られただけでも満足なのでした。

ショー「Exciter!! 2017」もとてもよかったです。
大介先生作品の青木先生の主題歌はテンションが上がって大好きです。ワクワクします。

みりおちゃんがみりおちゃんが挑みかかるような眼をしている。
追い詰められているのでも拗らせているのでもないみりおちゃんの余裕でガチに押し迫ってくる熱視線に昂りました(笑)。
こんなみりおちゃんもいいなぁと新鮮で。
それにやっぱり美形はいいなぁと。

かと思うとビン底めがねでぬいぐるみリュック姿がとてつもなく可愛くてキュンキュンで。
チェンジボックスに入らなくてもいいのに~~と思ったのもホントです。
いろんな顔で勝負できる明日海さん。さすがでした。

そして花男のタキシードは絶品だなぁと。燕尾よりも好きです。
タキシードを着た柚香さんと水美舞斗さんが舞台袖ちかくで閑談している姿に釘付けにされてしまいました。
カッコよすぎてうっとりします。
やっぱり美しくてカッコいいのが宝塚だって心の底から思いました。
そしてやっぱりショーはいいなぁ。宝塚の真骨頂だなぁと心満たされて帰路につきました。

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