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2018/08/10

腐ったはらわた抉り出す。

「1789 -バスティーユの恋人たち- 」博多座公演。
私の心にいろんなものを残していった公演でした。
書き始めると長くなってしまう感想を書き綴っていますが、そのつづきです。

上原理生さんの【ジョルジュ・ダントン】は初演よりも磊落さが増している印象を受けました。
初演ではイケメン革命家3人組といった大雑把な印象だったのですが、再演ではそれぞれの個性がはっきり見えて面白かったです。

初演から大好きだった「パレ・ロワイヤル」のナンバーですが、再演でますます好きになりました。
パレロワイヤルに集う娼婦や宿無しの人たちと分け隔てなく陽気に盃を酌み交わし、デムーランの小難しい演説の意味をわかりやすく楽しく語るダントンに、皆がポジティブな気持ちになっていく感じとか。

『人間であることに変わりない』。
それがダントンの一番の主張、そして理想なんだなぁと思いました。
ソレーヌが娼婦だろうと本気で好きになる。
『氏素性なんて関係ない。どんな育ちだろうと』

「自由と平等」でロナンが革命家3人の胸に突き立てた言葉にダントンもまた心を抉られている。
生まれや育ちが違う者同士が理解しあうというのは、なかなか難しい。同じ人間であっても。

『人は同じと信じていたいが現実も知っている』。
そう歌うダントンの表情や声にお腹の底に抑えているものを口にする辛さが滲み出ていると思いました。
理想と現実の狭間でいつも葛藤しているダントンの本当の姿が見えたような気がしました。
階層の違う人たちとも隔てなく付き合う優しい人だからこそ見てきた現実があるのだなぁ。

ソレーヌを傷つけずに一緒にいられるのも彼だからだろうなと思いました。
サイラモナムールでもダントンはいつもソレーヌを見守り庇おうとしているのが好きでした。
自分のことを顧みず飛び出して行きそうなソレーヌを。(無鉄砲は兄に似てるよね)

王宮から暇をもらいロナンのもとに駆けつけたオランプを、銃砲身の手入れをしながら見ているソレーヌとダントンの様子も好きでした。
初めて見る兄の恋人になんとなく面白くなさそうなソレーヌ(笑)。
ダントンがソレーヌに何と言っているのかはわからないのですが、だんだん口喧嘩っぽくなっている日があって・・・。
今日はいつにも増してソレーヌちゃん御機嫌斜めだなぁと面白かったです。
ダントンには本音を言えてあんなふうに甘えられるんだなぁと。
ダントンの包容力にじわりときました。
2人を見るのが好きで、でも2人でいる場面はほかにも見たい人たちがいる場面でもあって、ほんとうに目が足りなかったなぁ。

そして三浦涼介さんの【マクシミリアン・ロベスピエール】。

初日の観劇では、初演からの凄まじい進化を遂げたデムーランとダントンの対比の鮮やかさに目を奪われていたため、正直ロベスピエールには目がいっていなかったと思います。
はじめのうちは掴みどころのなさを感じていたのですが、何度か見るうちにロベスピエールにどんどん引き込まれていきました。

「誰の為に踊らされているのか」のシャウト感がクセになり、革命に命を懸けている疾走感に心を奪われていきました。
凄く躍動感があるのに綺麗に弧を描くコートのテールが謎でした。
計り知れない魅力にどんどん引き込まれていつの間にか夢中で見ていました。

初演で突っ込まれていた突然出現するサイラモナムールの恋人が、再演では場を追うごとに恋人になる過程がわかるのも面白かったです。
彼女を助け起こすシーンなんかもあったりして。

サイラモナムールではもう恋人同士になっているっぽいのだけど、恋人が傍らにいるのに銃に夢中なロベスピエールから銃を取り上げてしまう恋人ちゃん。
それを怒りもせずに銃の扱い方を教えてあげるロベスピエール。

怒らないんだ、優しいなと思ったのだけど、もしかしたらこれは未来の贖罪なのかなぁと思えてうるうるしてしまいました。
彼は、いつか恋よりも理念に身を捧げる自分を知っているようで。
恋人もまたそれを薄々わかっているのかもと。
『永遠に誓おう。死ぬまでお前を愛し抜くと』という歌詞が、彼にとってはイデアであって現実的ではないことがわかっているようで。
だからこそこの刹那に掛ける思いのようなものが感じられ、見るたびに情熱的になっていくキスに涙が出ました。

ロナンの死に慟哭するロベスピエールを見ながら、この現実が彼に残したものはなんなのだろうと。
やがて国王夫妻をギロチンにかけ、友人であったデムーランとダントンまでも処刑する人になるのだと思うとなんだか胸が塞がれる思いがしてつらくなりました。

描いた理想を現実にするために、腐ったはらわたはどうしても抉り出さなくてはいられない性なのかなぁ。
自分のはらわたであっても・・・。

どんなに激しくダンスをしても優雅で華がある三浦さんのロベスピエール。
恋人との関係もその後の史実もせつなさを抱かずにはいられないロベスピエールでした。

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