醒むることなく微睡みつづけていたい。
10月8日と9日に宝塚大劇場にて宙組公演「白鷺の城」と「異人たちのルネサンス」を見てきました。
「白鷺の城」は大野拓史先生作で、宙組誕生以来初の日本物のショーでした。
初見の感想は、すごく大野先生!でした。
そこはかとなく中世の匂いが漂う感じ。
転生、そして白拍子に狐さんたち。耳!!!(強調)
幽玄だけどときどき可愛いモノたちが微笑みを誘うかんじ。
ストーリー仕立てなので舞踊をがっつりというわけではありませんでしたが、とにかく目にうれしい作品でした。
ことに唐の国の吉備真備の真風さんのビジュアル♡
くるくるパニエ♡
お人形にしていつまでも眺めていたい。上から下まで完璧に最高。うっとり。(日本語崩壊)
吉備真備にはじまり、いにしえから狐にまつわる伝説のある者たちが真風涼帆さんのビジュアルで生まれ変わるストーリー。
星風まどかちゃん演じる妖狐(妲己そして玉藻前)に出逢うために。
なかには栗林義長さんのように一度もまみえないままに、戦に果ててしまうせつない人も(涙)。
(だってその前の安倍泰成さんが殺生石に封印してしまったから、玉藻ちゃん出てこれない・・・)
だからか、その後の幸徳井友景さんは、なにがなんでも玉藻前に逢う気なんだな・・・。
前世の想いを受け継いでいくこと。夢に呼ばれるままにつきすすまんとするその衝動は、合理的に現実を生きている現代の私には理解しがたくもあるけれども、だからこそ夢物語として輝くのだなぁという不思議な説得力がありました。
理屈ではなくそうせずにはいられないものが真風さんの友景の中に見えました。
考えたら、玉藻前はなにも悪いことはしていない気がします。
何千年ものあいだ封じられていた結界を解いてくれた人を慕って日本までついてきただけ。
でも慕った相手は人間で、寿命の長さが妖狐の彼女たちとはちがうから、その人がいなくなってしまっても彼女は彼女で生きつづけなくてはいけなくて。
そしてたぶん眷属を養わなくてはいけない妖狐の長として権力者に近づいて寵愛されていたのかと。
ただ野干(けもの)の本性を制御することができなくて訝しがられてたり、彼女が放つ瘴気で側にいる人が体調を崩すとか、人間からしたら禍々しいことが起きて忌み嫌われてしまうのかなと。
(玉藻前にうつつを抜かして政をおろそかにしたり私情を入れたとしたらそれは上皇さまの勝手だし)
そんな折に間の悪いことに、かつて慕った人が転生したその相手に正体を見破られてしまって。
『見忘れるものかや』という言葉を憎々し気に言ってしまうのもきっと野干だから。
野干(けもの)である彼女は、自分の執着が愛だと気づいていなかったのか。もしくは愛し方がちがったのか。
慕う相手に牙を剥いてしまう。
そこが野干(けもの)の悲しい性。
そのことを、なんどかの転生の末に、友景は悟ったのではないかなと思いました。
手負いの獣がどうしたら心を開くか・・・。
今生こそは、玉藻に手傷を負わされても放すものかと・・・。
その友景の固い決意に彼の優しさを感じて、それが私にはいちばんキュンポイントでした。
さいしょ不思議だったのは、上総介広常や三浦介義純が玉藻前を弓矢で射ようとしたら、そんなものは効きもうさんとかなんとか言って泰成は止めるんだけど、無三四の刀で斬られたら玉藻は息絶えるんですよね。
そもそも私が知っている殺生石のお話では上総介と三浦介の矢刀で玉藻は絶命するのだけども。
つまり妖狐といえど弓矢で急所を突かれたら絶命してしまうのではと。
もしかして、泰成は彼らをたばかって玉藻をかばったのかな? つまりはそれはもしかしてグランデアモーレ?
あ、なんだ~。ようするにめっちゃラブラブですやん。
そもそも唐に留学中の吉備真備が妲己を憐れに思って、何千年ものあいだ封印されていた結界を解いちゃったのがはじまりですもんね。
それで日本に連れてきちゃったんですもんね。
愛の前には理屈はいらない。愛こそがジャスティス!ってお話なのですものね。
・・・みたいな能天気な気持ちで見ていたせいか2回目以降の観劇はとってもハッピーな気持ちで愉しんでしまいました(笑)。
ラストのみえこ先生(松本悠里さん)のあのニコニコ笑顔。あのお顏が私の心を象徴しているような気がします。
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記憶が曖昧なところも多々あるのですが、お気に入りの場面をあげていくと、
まずは玉藻前に導かれて花道を幸せそうについていく鳥羽上皇さま(凜城きらさん)。
そりゃあついていくでしょう。愛らしいもの。
頬に手を触れられて。『た・ま・も・の・ま・え♡』『じょうこうさま♡』ウフフ♡キャッキャ♡ですもの。(妄想劇場)
そんなお姿もお上品な上皇さま。さすが高貴な御方。
それから龍頭船に乗り込む真風泰成さま。
2階席から見ると、朱塗りの太鼓橋の向こう側で船に乗り込む泰成さまの烏帽子が見えました。
先に船に乗っている稚児?の方々に会釈してとてもスマートに乗船されているご様子(烏帽子の動きだけで想像)。
そして目元涼しくゆったりと舟に乗ってご登場。美しきかな。誰か時をとめてと言いたくなるくらい。
この場面は殿上人や女房の皆々様方も麗しくて華やかで、和物のお化粧をしている宙組生をあれは誰、これは誰と見ているとあっという間。
ああもっと見ていたい。このままと思います。
信太妻の場面は、総髪を垂らした安倍保名役の愛ちゃん(愛月ひかるさん)の恋々の情が色っぽい。
連なる鳥居の朱色と狐ちゃんたちの白い装束が美しく映え、なになに?耳があるではないの。ぴょこんぴょこんもたまりません。
幼い晴明(花宮沙羅さん)の母を恋う声に心が揺らぐ葛の葉(松本悠里さん)がせつなかったです。
まどかちゃん(玉藻前)が封じられた殺生石をトントンする狐耳の白拍子の天彩峰里ちゃんも可愛かったです。
せーこちゃん、せとぅ、みねりちゃんのガールズトークby白拍子がたまらんかったです。
白拍子というだけでもキュンなのに耳付という。愉しすぎますです。
妲己の場面はほんとうに華やか。
殷の時代かと思ったら、ああそういうことか。
唐風のまどかちゃんのお衣装が素敵。
そしてすべてはここからはじまるのか。
女化ヶ原の義長はいくども夢で玉藻前を感じながら会えないで散ってしまう人。
封印されて身動きできない玉藻前だからこそ、夢をたどってなんども彼に呼び掛けていたのかもしれないな。
華やかな他の時代の人たちとはちがって、この世の快楽とも縁遠いようなそんな彼の一生。生まれた時代の巡り合わせか。
キリリとした宙組の男役さんたちの和化粧を見ながら、ストイックな色香に酔う場面でした。
そして時代はうつり、プロローグと同じ場所。
友景は今生こそはという決意で玉藻前に向き合っている。
せつなくなるようなグランデアモーレ。
でもそんな雅も情緒もまったく解さない無三四(桜木みなとさん)。
私からすると『おまえは誰だ?』な人ですよ。その無粋。
玉藻前よりもよっぽど理解不能(笑)。
唯一合理的な人ともいえる。
1人まったくちがう色を出さないといけない難しい役ですよね。
表でこれだけ騒々しいことが起きているのに、やっと現れたラスボス・・・いえ白鷺城の天守の富姫さま。
『―― お待ち ―― 』
長壁姫ともかつての葛の葉とも紹介される。
結ばれるまえに果てた2人を憐れと思ってか、友景の首にかつて自分が晴明に授けてやった宝珠が掛けられているのを見たからか、2人の手を繋がせてやる・・・。
『―― 皆の者、祈っておくれ ―― 』
狐の嫁入りからの賑やかなお祭り。
すれ違った男女が狐のお面を外すと・・・ハッピーエンド♡
芸者姿のみえこ先生がニッコニコで真風さんとまどかちゃんの手を重ねてあげる場面はニヤニヤするしかない。もう大好き(笑)。
宙組男役さんたちの青天も大好き♡
なんだかすべてがあっという間で、幕が下りるとなぜか、あはははってなってたショーでした(笑)。
(たぶんみえこ先生のおかげ♡)
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