古い小さな傷痛むように懐かしさが込みあげてくる。
12月1日と2日に福岡市民会館にて宝塚歌劇花組全国ツアー公演「メランコリック・ジゴロ」と「EXCITER!! 2018」を見てきました。
主演の花組2番手スターの柚香光さん、そして助演の水美舞斗さん、ヒロイン格の華優希さんと舞空瞳さんを中心とした若さスパークリングな熱く楽しい公演でした。
貸切公演を含めて4公演見ることができましたが、飽きることなく楽しめました。(それどころかもっと見たいと思うほど・・・)
お芝居だけでなくショーでもうるうるとしてしまったんですが、これってなんなんでしょうね。
命の輝きをいっぱい見せていただいたような・・・そんな気持ちです。
「メランコリック・ジゴロ」は柚香さんと水美さんの同期コンビにとても合っていて掛け合いがとても面白かったです。ナンバー中のさりげないじゃれ合いも。
柚香ダニエルがふと見せる物憂げな表情に惹かれました。
ジゴロを気取って計算づくな生き方をしているようでも薄い皮膚の一枚下には繊細なものが流れていそう。
見る者の想像をかきたてる天性の魅力がある人だなぁと思いました。
オトナになりきれない余裕のなさ、その弱さを魅力にしてしまう人だなぁと。
ノスタルジックな主題歌を歌うときの純朴さと、身にまとったスマートな物憂さがミックスされてとても魅力的に感じられました。
歌詞を聴きながら、彼の過去を様々に想像していました。
計算高く生きようとしているけれどどうしてもお人好しなところが出てしまうダニエル。
ドライに割り切れるスタン。(たぶんそうでないとならない人生を生きてきたのだろうな)
田舎育ちのダニエルと都会育ちのスタンの対比がはっきり見えて面白かったです。
スタンはちゃっかりしてて一見薄情なことを言っているようだけど彼の言うことは一理あって、2人揃って捕まってしまうよりは、どちらか片方つまりスタンだけでも逃げて別動で問題解決にあたったほうが得策ですよね。
過剰な情けは掛けないのは信頼関係があってこそ。
ダニエルをわかっているからこそ任せるところは任せて自分のすべきことを冷静に見極めている。頭の回転が速い人なんだなと思います。
(とはいえ、まぁあれだけど・・笑)
水美スタンの軽妙さが面白くて好きでした。わかってて言っているのか無意識なのか?の絶妙なライン(笑)。
ちょっと危ない話やエキサイトメントな情報を持ち込んでくる陽気な友人の魅力。
柚香ダニエルと並ぶとお互いに魅力倍増でした。
「おまえ居直るとキツイな」というスタンの言葉が好き。
都会育ちな彼は世間慣れに関しては自分にアドバンテージを感じているんだろうな。
初心なところのあるダニエルに「世間ってもの」を教えてやるのは自分だと思っていそう。
でも、ダニエルのそのスレていない純なところを彼はけっこう好きなのではないかな。
おたがい自分にないものを持つ相手に魅かれあっているかんじ。
相手を認めつつも負けん気も発揮しあう同士。
2人の関係を探りながら見るのもたのしい作品でした。
マサツカ作品はややもするとマンスプレイングが鼻につくことがあって、この作品もまた相変わらず女は馬鹿だと思ってるよねーとは思うけれども、登場する男たちもまた主人公を含めてそれぞれが愚かな人間の1人として描かれているのが、人間への愛おしみと感じることができたような気がします。
答えを自分の中の常識の内に落とし込んでしまわない、問いかけは問いかけのままなのがいいのかなと思います。
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2人のヒロインたち。
ティーナ役の華優希ちゃんはうざいと可愛いの中間を振り子のように揺れ動いて面白く見せてくれてたと思います。
「はやく帰ってきてね!」と泣き叫ぶところは、なんだかんだと言っても愛し愛されているスタンとの関係が表現されているとは思うけれど、この描き方もなんかギリギリだなぁと思いました。
媚が見えてしまうと嫌なかんじになってしまうし。
微笑ましいと思うか鬱陶しいと感じるか、紙一重で難しいなと。
華優希ちゃん自身のもともとの可愛らしさで辛うじてもっている感じもします。
フェリシア役の舞空瞳ちゃんはやっぱり上手な子だなぁと思いました。新公ヒロインでも思ったけれどもいやはやこれは逸材ですよねぇ。
(で、劇団は彼女をどうするつもり?と思いますよねぇ。誰と組むかで諸刃の剣にもなりそうで・・)
フェリシアもまた難しい役だなぁ。
ダニエルの「ほうっておけない」もなかなか曲者で、モラハラやマンスプレイングの餌食になりやすい彼女を心配せずにはいられない、そんな気持ちで見てしまうのです。
ダニエルにしろスタンにしろ危うさは感じますが、うーん。これ以上は作品を愉しむのとはかけ離れてしまうからやめておこう。
2人を信じることにします。
「あかねさす」の天比古でも感じたのだけど、柚香さんは身の丈に引き寄せて芝居をするのだなと。
感情がリアルに伝わってきて凄く引き込まれます。
柚香光という依り代を得て役のイメージがどんどん膨らみます。
そして、どんな役を演じても品があるというかスペシャル感満載で素敵だなぁと思いました。
アネットにぶたれる柚香ダニエルの身体の反りが良かったなぁ。。。。
物憂げな「ん?」も大好きでした。もう一度見れたらなぁ。。(無理ですが)
ああ、やばいやばい。気づいたら柚香ダニエルのことばかり考えてる(笑)。
ショーの「EXCITER!!」は、去年の充実期を迎えたみりおちゃん(明日海りおさん)主演版がとてもよかったので、どんなものかと思っていたのですが、若い人が競うように頑張ってキザっている姿も良いわぁ♡♡♡となりました(笑)。
花男にタキシードは鬼に金棒!! 「きゃあ♡花組だわぁ♡」という興奮。なんかもう自分でもよくわからないけどそういうの(笑)。
2回目に主題歌がはじまったときには客席の熱気が1回目の時の何倍も何十倍も目に見えるほど上がっているのを感じました。
柚香さんと水美さんの客席降りの場面は、どれだけたくさんのお客を落とせるか?というミッションなんですかね(笑)。悲鳴が凄かったです。
落とし方も個性があって面白かったです。
スマートでスカしててロマンチストなレイ。
アグレッシブで実際的でおちゃめなマイト。
・・って印象でした。まさに好敵手。
どっちがお好み?(笑) もう愉しすぎる(笑)
ジゴロっぽくしていても下品じゃないのはさすがでした。
青木先生の曲で最高潮に興奮した後の手島先生の曲の場面も心に沁みました。
柚香さんが着ているお衣装を見て「あぁお昼に食べた河太郎のイカみたいだなぁ」なんて思ったりもするのに、未来に向かって今まさに命を輝かせている人たちに心が揺さぶられ、彼らの命がもっともっと輝きますようにと手拍子を打たずにいられなくて・・・。
心の中に心地よいカタルシスの涙を流させてもらったように思います。
お芝居もショーも心浮きたち、若いお2人のやんちゃを愉しめたことでオールオッケーな公演だったなと思います。
眩しいほどの命の輝きをふりかけられて、見ている私も幸せホルモンがいっぱい出ました(笑)。
宝塚というところは、多様なDNAを内包することで世紀を跨いで生き残ってこれたのだなとあらためて思いました。
(本拠地では海外ミュージカルが大盛況だったり、舞浜ではコンサートが、そして東宝では和物といかにも宝塚なお芝居と・・・)
まさにエモーショナルな時間でした。
ああそれにしても。。。
いまはどっぷり柚香ダニエルロスに陥っています。
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