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2019/05/27

風が吹けば当てるかもしれない。

5月23日に宝塚大劇場にて、宙組公演「オーシャンズ11」を見てきました。
繰り返してしまいますが感動作ではないけど見て損はない楽しい作品だなぁと思いました。
かっこいい男役さんたちを見られるというのがなんといっても美味しいなぁと。

真風さんはお化粧が綺麗だなぁ。それに表情が大人っぽくてかっこいいなぁ。と思いました。
ほんと、求められている自分をわかっている人だよねぇ。自己プロデュース力が凄い。
ラスティががんがん行っている時はスッと引いたり。場を読むよねぇ。
テスが一生懸命に訴えている時は口を挟まず言い終わるまで待つ。・・みたいなところ好きです。
(私の頭の中で真風さんとダニー・オーシャンが区別できなくなっていました・・笑)
なんというか、真風ダニーは女性を鼻で笑ったりしないところが素敵だよねぇと思います。
抑制が効いているところが大人っぽくて色気があるなぁと。紳士だよねぇ。
・・・いやいやちょっと待って。紳士的でも詐欺師だった。気をつけなくちゃ。

人間的な魅力は半端ないけれど、冷静に考えたら前途ある若者たちを詐欺仲間に引きずり込もうとしたり、まだ人生経験の浅いピュアな女性に自分の価値観を押し付け判断力を揺るがせてコントロールしようとするろくでもない人じゃないの。
本能に従えと言うのも勝算があるからですよね。自分の雄の魅力に自信あり。相手に対する効力が自分にはあると確信あり。
そんな自信を持ち続けていられるのも、自分の力量を発揮する場数をいくども踏んできた経験があるからだろうなぁ。
でもほんとうにそうなのか。ダニーにだって結果はわかりはしないから常に一か八かの賭けであることには間違いはないのか。
確実性と不確実性の狭間でどんな顔でいられるか。そんなとき内心はどうあれ揺るぎなく存在して見せるところがダニーの魅力なんだなぁ。
いやだけど、その賭けに出る前に打てる手(心理戦)は打っているところはやっぱり駆け引き上手の勝負師なんだなぁ。
「風が吹けば当てるかもしれない」――― 風吹かせちゃうでしょ、自分で。
まだ若くて己の判断力に揺らぎのあるテスが勝てる相手ではないのよ。
なのに自分で選ばせた結果にしちゃうところが詐欺師の本領。ほんと用心しなくちゃ。
その人詐欺師のままけっきょくなにも変わっていないのよと誰かテスに教えてあげてほしい。
・・て余計なお世話か。彼女が場数を踏んでなんとかするしかないのかも。



ラスティ(芹香斗亜さん)はサイテー!
「JUNP!」のときは、いいこと言うなぁと感心するんですが、いやいやいやいや。よくないです。
ポーラは何も知らないでつきあっているんですよね。若い娘騙して!悪党!って思います。
ノリばっかり、ジョークばっかり。本心はどこにあるの?
・・・という役を芹香さんは好演されていました。真風ダニーとのバディ感もよかったです。
芹香ラスティは本心を見せない、どこまでも口先とノリで行くやつでした。実はいちばん闇を抱えている人だったりして。
逆に他人には絶対に見せたくないすんごい深淵がありそうでした。ダニーのことだけは特別っぽい。

そんな2人とは正反対にコツコツと計画的に生きているのはベネディクト(桜木みなとさん)だよねと思いました。
ドアボーイからはじめて、貯めたお金で店を買ってそれを転売して得た資金で新たな投資をして確実に利益のあがる経営で着々と事業を大きくしてきた人。
才覚もあるし努力家だし。パワハラさえしなければいちばんまともな人ではないかと。
初日あけてすぐの頃は、ずんちゃん(桜木みなとさん)苦戦しているなぁという印象でしたが、1か月後に見るとその印象はなくなっていました。
声が変わったのと体の重心が変わったかな? パワハラでネオリベの野心的経営者に見えました。(部下たちのリアクションがいいせいもあるかな)
万能感に囚われていて自分を否定されると激昂する男。
部下も美しい金髪の恋人も肥大した自分の一部と捉えている男。ゆえに彼らの考えが自分の考えとおなじでないと許さない。自分を讃えその自己肯定感を満たすことを求めている。
自分(の世界観)にふさわしいスペックの女性としてテスを愛しているのであって、それは自分の『夢』を愛しているに過ぎない。
だから彼女に拒絶されるとキレてしまうのだなぁと思いました。一転して自分の夢を壊す者として憎みさえする。とてもやっかいな人だ。
彼の野望とは、彼の支配がおよぶ『箱庭』をどんどん大きく広げていくことなんだなと思いました。
その『箱庭』に備わっているものも彼の思う最高級のものでなくてならない。機材も最高にこだわる。そこを揶揄されるとムキになるのだなぁと思いました。
そんな危うい世界観に生きるやっかいな男だけど、もっとやっかいなことに彼もまた「あきらめない男」なんだなぁ。
(それゆえダニーたちの罪もいくらか軽く見えるわけですが・・・)

テス(星風まどかさん)もドレスが変わったの?と思ったくらい見違えました。
お衣装変わっていないから所作とか姿勢かなぁ。フィッティングをやり直したとか? ヘアスタイルも関係あるかな?
あのグリーンレタスみたいなお衣装さえ綺麗に見えました(笑)。
ターコイズのツーピースみたいな衣装だけはやっぱりまどかちゃんに合っていない気がします。襟の形とウエスト位置のバランスが合っていないのかなぁ。それ以外は眼福。
まどかテスの小娘感も好きです。こんな若い女の子に落ちたダニーの青天の霹靂感が好き。
キャンキャン吠える子犬感とそれを優しく見据える真風ダニーも好き。(テスの立場だとそこがイラつくかもしれませんが)(要はまかまど好きってことですかね)

お掃除のおばちゃんとも仲良くなるフランク(澄輝さやとさん)のコミュ力。というかイケメン力。私もパラディッソのお掃除に行きたい(笑)。なんでもペラペラ話すぞ。
ディールも天才的だけど芝居力も並外れた才能。無資格摘発の場面の迫真の演技とか堂々としたもんです。
ライナスの危なっかしさも彼のおかげで救われています。
あと私服が意外に素朴(笑)。なのにカッコイイ。

バシャ―(蒼羽りくさん)はエルチョクロでのライナスのくだりで心配そうな表情をしたり安心したふうにほほ笑んだり表情のリアクションがいちいち良い人そうで好きでした。
それからジョルジュに変装している時の仕草は目で追ってしまいます。あれで納得させてしまう存在感(笑)。ハロルド(春瀬央季さん)があんなだからというのも大きいかな?
写真撮影(する方)のポーズの美しさも思わず目がとまってしまいます。脚長~!

ライナス役の和希そらさんは、これまでが明るい印象が強いので今回は鬱屈とした役が新鮮でした。
ポジティブな連中が揃っている中で唯一ネガティブシンキングなキャラ。所作の1つ1つにそれを出していくのも本来のキャラからすると大変だろうなと思いました。鬱屈としていてもスターの華は必要な役だから。
和希ライナスは甘ったれでもチキンハートでもないライナスだと思いました。スリもすでにかなりの腕前のようでした。だからこそ父親の名前が重いのかな。
それにしても彼のような若者がスリをするしかないのかな? アメリカってそういう国??

フランクやバシャ―のように道を弾かれて裏街道を歩いている人たちならまだしも、イエン(秋音光さん)やリヴィングストン(瑠風輝さん)やモロイ兄弟(優希しおんさん、鷹翔千空さん)のような才能のある若者たちが容易くダニーの口車にのって犯罪に手を染めてしまうのも謎だなぁ。揃いも揃ってモラル低すぎない??
ダニーもこれだけの才能を揃えてやるのが金庫破りってどうなんだろう。もっと合法的な手段でベネディクトを出し抜くこともできたんじゃないのかなぁ。ルーベン(凜城きらさん)もいるんだし。
ほんと皆どうかしてる(^^;

もうほんと低モラルの男たちしかおらんのかい!と思っていたら、いるじゃないですか。まともな人が。エル・チョクロに。
バーテンダーとして一生懸命働いて、店に来た債権取り立ての暴漢と酒瓶でやりあって女の子たちを庇って。カジノに遊びに行ったオーナーのリカルド(松風輝さん)をなんなら血のつながった娘や孫娘よりも心配して一緒に探し回るジョー(七生眞希さん)が。親切じゃん。
あんまりファミリーだから婿なのかと思ったけれどそうでもなさそう。リカルドの娘テレサ(花音舞さん)よりだいぶ年下そうだし、孫娘のポーラ(遥羽ららさん)よりもだいぶ年上ぽい。
どういう立ち位置なんだろう。気になる~~~。
テレサともポーラともどちらとも色っぽい関係にはなりそうにもない。だけどちょっとイイよねってかんじでドキッとしてしまった。でもやっぱり錯覚かな?とも思う。
ムラ最後の観劇でめちゃめちゃ気になる存在になってしまいました。
東京であと1回だけ見ることができるのでちょっとしっかり見てみたいと思います。
でも他にもいい男がいっぱいだから目が足りないだろうなぁ。

愉しまなくちゃ損!な公演だけど5月は忙しかったしチケット難だしあまりリピートできなかったのが残念でした。
あと1回、万全の体制で観劇しなくちゃ。

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