« 2019年5月 | トップページ | 2019年7月 »

2019年6月の2件の記事

2019/06/11

どこなの?

さいきん夢を見ました。それは2月に福岡市民会館で見たお芝居「暗くなるまで待って」の夢でした。
なんで3か月も前に見たお芝居の夢をいまごろ見たのかなぁと思ったのですが、もしかしてさいきん見た舞台「アルジェの男」や「笑う男」に盲目の女性が出てきたことと3か月前の記憶が無意識でつながったのかな?

観劇後に自分がどんな感想を書いているのかなと過去ログを見たら・・・感想かいてない・・・😨
そうでした。あの日、「暗くなるまで待って」の福岡での唯一の公演日であり大千秋楽でもあった2月23日は、宙組博多座公演「黒い瞳」の千秋楽前々日の土曜日で大いに盛り上がっていた頃だったのでした。
「暗くなるまで待って」の会場である福岡市民会館から早足で博多座まで向かい、ニコライとプガチョフの橇の場面ギリギリ前に客席に滑り込んだのだったなぁ。(狙ったように1階特B最後列通路側が手元にあった・・・)
それから怒涛のように千秋楽まで突っ走り、頭は「黒い瞳」のことでいっぱいだった・・・。そんなわけで「暗くなるまで待って」の感想を書くどころじゃなかったのだったなぁ。

それなのに夢を見るんだ―――ちょっと不思議。記憶の幾重も奥の方にたしかに刻み込まれているんだなぁ。1回きりの観劇だったのに。
なんというか、五感で体感したみたいに。
研ぎ済まされた時間を過ごしたのだなぁと思いました。
スージー(凰稀かなめさん)の体験をあの空間で一緒にしたんだなぁ。一瞬一瞬を感じ吟味しその意味するところを考える体験を。
そして、やっぱり私はこのひと(凰稀さん)の芝居が好きだなぁと思ったのでした。
さらにサイコパス気味の役になりきる加藤和樹さんに震えあがり、そのタンクトップの鍛え上げられた肉体にびっくりしたのでした。・・・着痩せするタイプなのね加藤君・・・😨

ミュージカルのように短期間に繰り返し繰り返しリピートしたくなる作品ではないけど、無意識下に残る作品でした。
東京だとこんな作品を上演する劇場がいろいろあると思うけど、福岡で公演されたのは本当に稀有で幸運だったのだなぁと思います。

| | | コメント (0)

2019/06/06

この世界 残酷だ。

5月26日に北九州ソレイユホールにて、ミュージカル「笑う男」を見てきました。大千秋楽の公演でした。

ストーリーも良いしキャストもすごくハマっていると思いましたが、なにかカチッと来なくて消化不良かなぁというのが見終わった感想でした。
ウルシュス(山口祐一郎さん)の歌をはじめ、どのナンバーも歌詞が示唆するものを深く考えたくなるのにそれを活かせていないかんじがしました。
主人公のグウィンプレン(浦井健治さん)が何に迷い何に惑わされ何に憤り何に目覚め何を求めたのか・・・わからない訳ではないのだけど、見ていてああなるほどとなる前にハイ次!って進んでいく感じで、展開に「間」がほしいなぁと思いました。
ナンバーも1人で歌うものが続いて、圧倒されるようなパフォーマンスを愉しむという感じでもなくて。それならやっぱり登場人物の内面をさぐらせてほしいなぁと思いました。
とくに私はウルシュスの気持ちを追いながら物語に浸りたいなぁと。そこには私の心に響くたくさんの金脈がありそうでした。

好きだったのはウルシュス一座のパフォーマーたちのやりとり。とても人間的で。かなしくもありやさしくもありたくましくもあって。イキイキとした場面だったなぁと思います。
なかでもデア(夢咲ねねさん)を励まそうと一座の女性たちが歌う場面は心に溢れてくるものがありました。彼女たち自身も見世物一座に身をおくそれぞれに訳のある人たちだろうに・・・。ああだからこそデアの心の痛みにこんなに寄り添えるのだなと思いました。
こんな心と心のやりとりがもっと見たかったなと思いました。
グウィンプレンもウルシュスもジョシアナ(朝夏まなとさん)も自己完結しちゃっているんだよなぁ。
作品の主題にあるものは好きなので再演されたらまた見たいなぁと思うのですが、そのときはすっと心に入ってくるといいなぁと思います。

朝夏さんの女優姿を見るのは宝塚退団後初だったと思うんですが、まったく違和感がありませんでした。考えたら傲慢でキュートなスカーレットを現役時代にたくさん見てるのでした(笑)。(緑の帽子のシーン可愛かったなぁ)
傲慢でひねくれもので素直なジョシアナ公爵役は彼女にとても合っていると思うのに、心情もたくさん歌っているはずなのに、はじまりから終わりに至るジョシアナの変化が不鮮明に思えたのはなぜかなぁ。彼女がいちばんグウィンプレンに影響され変わっているはずだよねぇ。
私はやっぱり貴族院の場面がすべてに向かってうまく作用していない気がするなぁ。それがジョシアナの見え方にも影響しているように思います。

宇月颯さんがウルシュス一座の女性パフォーマーとして参加されているのを発見してうれしかったです。ジャンプも高くてさすがだなぁと思いました。これからもまた舞台で宇月さんを見られたらうれしいな。
一座の場面はすごく好きだったし、デア役のねねちゃんとのお芝居もよかったです。「涙は流して」の場面をまた見たいなぁと思います。

デア役の夢咲ねねちゃん、浮世離れした雰囲気で世界観を作り出してしまうのがさすがだなぁと思いました。まるで夢を見るような心地で私はねねちゃんのデアのことを見ていました。
ウルシュスはこの世は残酷だと主張しながら、このデアを儚く脆いものとして過剰に保護しようとするんですよね。そこにウルシュスが心の奥に閉じ込めた真の希望がある気がするのだけど。
彼の言う『残酷なこの世界』では生きていけないはずのデアを大切に守り育てたウルシュスの心の奥にあるものを知りたいなぁと思いました。
その心があるから人間は滅びずに存在していられている気がするのです。
その心が危機を迎えている気がするいまだから、この作品が投げかけている主題が響いてくるのではないかなと思います。

| | | コメント (0)

« 2019年5月 | トップページ | 2019年7月 »