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2019/10/26

死ぬまで一緒だ。

宝塚歌劇宙組全国ツアー公演のショー「NICE GUY!!」は、初演の頃は宝塚をあまり見ていない時期で、生で観劇したことがありませんでした。
のちにCSで放送された時に宙組&大介先生のショーだ♡と期待して見始めたのですが、どうしても受け付けない場面がさいしょのほうにあり挫折してしまった思い出があります。

全国ツアー公演の演目が発表された時には、そのまま上演して大丈夫なのかしらと心配したのですが、その場面は新場面に替わっていて、苦手だった場面がなくなってあらためて生で見ると男役のカッコよさが満載で、再演が熱望されていたのも肯けました。

『NICE GUY!!』つまりテーマはズバリ男役!!という潔いコンセプトどおり、青木先生によるキャッチーな主題歌で男役がカッコよく歌い踊り、かつ笑っちゃうほどのキザを競うように見せつけられて目が足りませんでした。ショーの最初から客席降りも織り交ぜられ畳みかけるように心を掴まれてからパレードまで、毎回あっという間だった気がします。

ショーの副題に「Sによる法則」とあるように、歌詞のサビの部分がSではじまるフレーズになっているんですよね(ということは、初演はYではじまるフレーズだったのかな)。その歌詞がけっこう笑わせにかかっているなと(笑)。あ、もしかして私がキザに直面すると笑っちゃう性質だから笑ってしまうだけで笑わせるつもりではないのかな。でも「死ぬまで一緒だ」と微笑みながら歌う真風さんを見たら笑っちゃうしか。この現実を私はどう受け止めたらいいのか。ありえないものを見ているなと。
現実じゃないものがそこに在る。
嘘も本当にしちゃう力。それこそスターたるゆえん。

たくさんの幸せな嘘で成り立っている宝塚においては、嘘だってわかっていても信じさせてしまう魔力があってこそ、トップスターなのだなと真風さんを見ていると思います。
真風さんを見るたびに、「だまされないぞ」「だまされるものか」と心で唱えている私です。気を許したら一巻の終わりだと思っています。
だまされてはそれを打ち消し、だまされては打ち消すを繰り返しているうちに終幕となり、夢のつづきをまた見たいと思ってしまうのだと思います。
真風さんには気をつけよう。危険すぎる。

トップコンビの真風涼帆さんと星風まどかちゃんの痴話げんかの場面も大好きでした。
調子に乗ってカッコつけまくる真風さんの前場とのギャップがツボ。長身さんだからコミカルなポーズがなおさら独特のハマり具合でたまりません(笑)。
そしてまどかちゃんの「涼帆のせいよ!」(笑)。トップスター様を呼び捨て?!(これを言わさんがためのあえてのこのキャラ設定とシチュエーションですか大介先生??)
現実では絶対にありえない、これも嘘の世界。(見ているほうがドキドキ)
―― 嘘の中にある真実がほのかに見える感じにドキドキしたのかもしれません。
一歩まちがえたら悪趣味になりかねないけど、まどかちゃんの一生懸命なプロ根性と真風さんの器の大きさをご当地ネタとともに楽しめる場面でした。
このバランスが魅力のコンビだなぁと。
真風さんのホールド力がいまの宙組のベースだなぁとつよく感じる場面でした。



芹香斗亜さんセンターの新場面もまた大介先生お定まりのコミカルな場。なにをもって笑いを得るのかはセンスが問われるところ。演者もより笑いを得ようと過剰になってしまうことも多々ありますし。無邪気なだけでは許されないプロの仕事が問われる場面だなと思いました。
場面のコンセプトはいまいちよくわからなかったけど(笑)、和希そら君中心のヒップホップ系のナンバーや、芹香さんセンターのロケンロールナンバーでノリノリでたのしかったです。
先生役や生徒役のその場の出演者全員に役名がありキャラクター付けされていて、おのおのキャラに合わせて舞台上でいろんなことをやっているのを見るのも面白かったです。大介先生ありがとうです。

1920年代のギャツビーの時代を思わせるジャズの場面がとってもとっても楽しかったです。
まどかちゃんが凛城きらさん星吹彩翔さんにエスコートされて(というか従えて?)歌う「チャタヌーガ・チュチュ」がはじまるとわくわくしました。
チャールストンのラインダンスもセンスのよい流れだなぁと思いました。お芝居の一場面のようでした。
そして私のいちばんの娯しみは美月悠さんと七生眞希さんのソフィスケイテッドレイディ(笑)。女装の男役さんが大好きなのです。仄見える強さがなんともたまりません。脚を広げる時の躊躇のなさとか。大胆さとかすべて。憧れが詰まりまくってます。
ことに七生さんと和希そら君のペアダンスに釘付けでした。20年代風の病んだ感じが漂っているペアで。
元気で明るい和希そらはそこにはいませんでした。ふと「TOP HAT」の時の大海亜呼さんとそら君のペアダンスを思い出して、あのとき大海さんをリードするのに必死に見えたそら君が、いま男役の七生さん(女装)を余裕でリードしていることに感慨深いものがありました。
まりなちゃん(七生さん)も、「Amour de 99!!」の時にはドレスで踊っても違和感がなかったのに、いまやすっかり男役さんだなぁと。
こんなふうに時の流れをかんじるのも宝塚の醍醐味かなぁと思います。

そしてジャズナンバーの歌い継ぎからのジャジーな中詰めで最高に盛り上がってからのワンモアタイム!!
この流れも最高でした。芹香さん良いお声。
客席降りの興奮。アップテンポ。あのジェンヌさんが目近♡ 私は生きてる。
ジャズってこんなに楽しいんだ、宝塚ってこんなに楽しかったんだと再発見。
出演メンバーの笑顔と輝きに溢れたとっても幸福な時間でした。

客席降りと言えば、セクシャル7の場面が心に残っています。
これぞ全国ツアー公演の悦び♡ ジェンヌさんに触れてしまった♡ 至近距離よりも近いを表す言葉ってなんだっけ。
詳細は書けないのですが凛城きらさんの優しさに触れて、その日はそれ以降は凜城さんばかり見てしまいました(笑)。

フィナーレの真風さんと娘役3人が踊る場面も印象的でした。たこ足付のダルマの遥羽ららちゃん、華妃まいあちゃん、天彩峰里ちゃん、アダルトで素敵でした。皆さんスタイル良くって眼福でした。
娘役さんの大人っぽい場面もいいなぁと思いました。
そして3人相手でも余裕であしらう真風さんはさすがだなと(笑)。クールだけれど冷淡ではなく根底にジェントルを感じさせる。なんというか、3人相手でもそつがないというか、平等というか(笑)。やはり危険な人だ。(初見の友人が「女性にのめりこまない感じが良い」と言っていたけれど、こういうことかとあらためて思います)

そういえば、ジャズの場面のタキシードやフィナーレの燕尾のダンスで、キキちゃん(芹香さん)はやっぱり花組育ちだなぁと思いました。なんというか、あの抜いた感じが蘭寿とむさんや朝夏まなとさんに通ずるものがあるなぁと。なんだかわからないけど好きです。
芹香さんと好対照なのがずんちゃん(桜木みなとさん)。いまは凄くガツガツいきたい時期なのかなとニヤニヤしながら見てしまいました(笑)。まだまだ青いと思っていたのに突然ドキッとさせられてしまって悔しかったです(笑)。
この2人を見ていると、いまのそれぞれの立場が現れているなぁと思いました。
いけるところまで限りある日々を精いっぱいに輝いてほしいなと彼女たちを見ていると思わずにいられません。
そしてエトワールで美声を響かせた華妃まいあちゃん。この公演の千秋楽で卒業した彼女のこれからに幸あれと祈ります。

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