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2020/02/25

方々、さらばでござる。

2月12日と16日、東京宝塚劇場にて宙組公演「El Japón(エル ハポン) -イスパニアのサムライ-」と「アクアヴィーテ!!~生命の水~ 」を見てきました。
2月16日は千秋楽でした。東京宝塚劇場で千秋楽を観劇するのは、凰稀かなめさんの退団公演以来です。(近年はありがいたいことに映画館のライブビューイングで見させてもらっていますが・・時代は移り変わりゆきますです)

同公演は、宝塚大劇場で12月上旬に観劇して以来2か月ぶりの観劇でした。
待ち遠しくて、1月の終わりに観劇まであと何日かなぁと考えて、まだ半月以上も先なことに愕然としたりもしていました。
この公演は上演期間が1か月半と通常より長かったのでした(涙)。(「白夜の誓い」の時も1か月半だったので、東京の2月公演はそういう傾向なのでしょうか)

ということで待ちに待っての観劇の感想です。

「エルハポン」はストーリーの流れがすごくよくなっていると感じました。出演者全員の目指すところが1つになっていると。
そのうえで、それぞれの役の奥行きも感じられてとても面白く観劇しました。

いちばん変わった印象をうけたのは、星風まどかちゃん演じるカタリナかな。心の動きがすごく伝わってきました。
酒場でのシーン。いつもより声のトーンがちがうカタリナ。無理に明るくふるまおうとしているよう。
治道の帰国が近いことを知り1人ですべてを背負う覚悟でいるのかなぁ。でも寂しさは隠せないでいる。昔の幸せな頃を思い出したり。明るく自分に言い聞かせてみたり。揺れ動いている気持ちがすごく伝わってきました。

いつもは気丈なカタリナの弱さに触れた治道の戸惑い、心に湧き出す愛しさ、その思いゆえに彼女が笑みをとりもどすように柄でもないダンスを自らいざない(でもいつのまにかあっさり会得していた・・さすが剣士)、というそんなエモーショナルな流れが手に取るように見えて。
いつのまにか言葉はなくとも交わす目線とダンスとで心を通わすようになっていた治道とカタリナに涙しました。
そこから治道と訣しあらためて覚悟を決めたカタリナが歌うアリアのなんとも心に沁みること・・。2人の芝居がここまで来たのだなぁ。
真風さんは心を打つ芝居を自然にする人だなぁ。そして千秋楽にはずれなしの人だなぁと思います。
みちすじがちゃんと見えている人なんだろうなぁと思います。

主演の2人の芝居の深まり。そして2人とはちがうところで繰り広げられる人物たちの生き様、咆哮もさらに面白くなっていました。

エリアス(桜木みなとさん)がまたさらに面白いやつになっていました(笑)。
桜木さんはその役の生立ちとかバックボーンをいろいろ考察したくなるような芝居づくりをする人だなぁと思いました。
剣にすがらざるを得なかったエリアスの過去をついあれこれ想像しました。
父親はあれで、母の影が見えないのだなぁ。
彼がもとめていたものは指針となる人生の先達だったのだろうなぁ、父親のことはとうに早くに精神的に訣別しているのだろうなと思います。
愛情を知らず、人を信じることもできずに育った彼が唯一信じたものは、自分の剣の腕だけ。だから自分よりも腕の立つ治道に出遭ってアイデンティティクライシスに陥り、追い掛け回さずにいられなくなったのだろうなぁと思います。(治道にはいい迷惑ですが・・)
桜木さんのエリアスを見ているとそういうことがどんどんと想像できて面白かったです。
本来は純粋でクレバーな子供だったのだろうなぁとも思いました。

おなじく藤九郎(和希そらさん)も、師とも兄とも慕っていた治道を待ち続けて期待を打ち砕かれ、境遇も変わり自分を見失い、治道に執着することだけで生きてきたのだろうなぁ。
和賀家の忘れ形見ということであれば、本来なら治道の主筋にあたるはずで、落城はしたとはいえあんなにふらふらしてていいのかな。伊達政宗に狼藉を働いた時点で手打ちにされるのは仕方ないかもしれないのでスペインにやられるのはしょうがない気はするけれども。
もともとなんか自由だよねぇと思います。姉の藤乃ともども嫡出じゃないとかなのかな。姉への思慕や治道への執着を見ると彼もまた肉親とのかかわりが薄い少年だったのかもしれないなと思います。

生い立ちはそれぞれだけど、どこか似た者同士のエリアスと藤九郎。勝負して勝つか負けるかしないと前にすすめない(大人になれない)、そういうロジックのもとに生きているところも似ているなぁと思います。
血の気の多い2人。ぶつかり合いながらもともに成長できるのではないかなぁと。治道とアレハンドロの助けがあれば。そんな希望を抱きながら見ていました。

そしてアレハンドロさん(芹香斗亜さん)。彼は自分に足りないピースをいつも探している人なんだなぁと。
大貴族の父や兄に愛されていないわけではなさそうだけど、宮廷での生き方に嫌気がさして別の道を探した。
やっと巡り合ったバルトロメを失い、いま治道の中に自分に足りないピースを見つけたのだなぁと思いました。でも本人も言うように謙虚というか自分からセンターを避けて脇へ行ってしまう人みたい。足りないピースを自分のなかに見出す日は来るのかなぁなんてちょっと心配もしちゃいました。

ムラでの初見では???だったんですけど、物語のロジックに気づいて観劇すると面白く登場人物それぞれの情動もよくわかり、下級生にも個性を出せる役があり宝塚的に良作だったなぁと思います。少年漫画的であり、たしかにマカロニウエスタンの御流儀(笑)。
ラストはなんだか幸せな気持ちになれて、大好きな作品となりました。

ショー「アクアヴィーテ!! 」もますますたのしくなっていました。
真風さんはどの表情も潤潤と色っぽいなぁ。まさに紫の滴がしたたるいい男(笑)。
まどかちゃんは愛嬌たっぷりで、2人がコミカルに絡むシーンは頬が緩みっぱなしになりました。
デュエットダンスも情感に溢れてて互いを信頼しあっているトップコンビだなぁと温かい気持ちになりました。
ラストは一枚の絵画のように美しくてため息。

そういえば、12日は明日海りおさんが観劇されていて、真風さんが紫の鎖の台詞を囁く場面で、指で双眼鏡のように目元を囲むようにして真風さんを見てらっしゃいました(笑)。
真風さんは一句一句置いていくように?丁寧に明日海さんにむけて言葉を掛けられていて吹き出しそうになりました。

千穐楽は、胸にコサージュを挿しニコニコほほ笑む星吹彩翔さんとグラスを合わせてアクアヴィーテ!することができてうれしかったです。
ウィスキーボンボンではずっと手拍子がつづき、ジャパニーズウィスキーの退団者ピックアップでも一場面ずっと手拍子が止まず、客席が一体となった温かさを感じました。
ビーストの場面の実羚淳さんのI字バランスでも拍手が起きましたが、芹香さんも一緒に拍手を送っていたのが可笑しかったです。愛を感じました。

星吹さん、桜音れいさん、愛咲まりあさん、実羚さん4人の退団挨拶はそれぞれに宝塚に対する愛と感謝に溢れていて、聞いている私もうるうるとしてしまいました。

トップスターとして立派に挨拶を述べられた真風さん、カーテンコールではゆるい真風さんになられていて優しい先生かお母さんみたいで、クールで色っぽい男役とのギャップが可笑しかったです(笑)。
温かい千秋楽に立ち会うことができてとても幸せな気持ちで劇場を後にしました。
退団者の皆さんの今後に幸あれかしと願っています。

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