どんな世界をつくるか競争ね、わたしたち。
究極の融和、ユートピア思想、それを渇望するわけ。
ちがいが争いを、分断を、不幸を招くと考えたから。
神の恵みが当たり前の人びとと明日には命がないかもしれない憐れなみなし子。
8月4日と5日、梅田芸術劇場メインホールにて宝塚歌劇宙組公演「FLYING SAPA -フライング サパ-」を見てきました。
以来ずっと心のうちでブコビッチ(汝鳥伶さん/穂稀せりさん)と対話をしているような気がします。
彼がめざしたもの。彼がわかってほしかったことを知りたくて。
ブコビッチと対話したオバク(真風涼帆さん)は宇宙へと冒険の旅に出ることを決意。
崩壊した共同体のシステムの再構築に関心を向ける人ではなく、未知をもとめて刺激的で外的リスクの多い人生をその足で歩いていきたい人なんだな。
たしかにそういう人だったと思います。SAPAの違法ホテルに目的地へ向かうでもなくぐずぐず停留していた人たちを一蹴したり、「自己責任」を口にして人助けは不本意そうだったし。レジスタンスとして活動していたのも誰かのため社会のためではなくブコビッチへの憎しみのため、それだけだったのじゃないかな。
その彼の無謀ともいえる旅にポルンカの人口の半分(15,000人?)の人びとが同行するというのがどうにも解せないのです。
いつの間にそれほどの人びとを束ねる艦長と認められる人になったのかな。
その15,000人とはどんな人たちなんだろう。タフで健康で夢のある人たちかしら。
私だったらオバクにはついていかないなぁと思います。福祉とか医療とかに感心がなさそうなリーダーだし。
ピカピカのキレイゴトと批判されても「誰も見捨てない」と言ったノア(芹香斗亜さん)とポルンカに残りたいなぁ。
ノアを批判したイエレナ(夢白あやさん)は「サーシャ(オバク)だったら」と言いかけたけど、オバクだったら「自分の身は自分で守れ」と言ったはずと言いたかったのかな。
そんなイエレナもオバクたちとは旅立たずポルンカに残るという。子どもが生まれるからと。それは口実かもしれないけれど、それが口実になるくらいには、子連れでは困難な旅ということなのだろうな。
誰でもが行ける旅じゃない。
そんな旅に行きたい人びと、行くことができる人びと・・・夢と自信に満ちた人びとを統率するオバクとともに旅立つミレナ(星風まどかちゃん)。
微笑ましいクーデターを起こしてポルンカに残り黴臭い民主主義とやらをやりなおすと宣言するイエレナ。ノアとともに。
それぞれに苦しみ自分を苛み抜いた2人がふたたび友情をわかち抱擁する場面が大好きでした。
「どんな世界をつくるか競争ね、私たち」と。
壮絶な15年間を過ごしてきた2人。愛についてはこれからたくさん学んでいくのだろうな。
そして憐れなみなし子ブコビッチと内なる対話を登場人物のだれかひとりでもいいのでしていてほしいな。ときどきは。
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