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2020/12/02

この新しい星の世界で。

11月25日に梅田芸術劇場メインホールにて宝塚歌劇星組公演「エル・アルコン-鷹-」「Ray-星の光線-」を見てきました。

「Ray-星の光線-」は大劇場公演を見たときも、奇をてらうことのないストレートな演出で、シンプルにこれでもかの素材勝負のショーだなと思いましたが、全国ツアーバージョンはさらにその色合いが濃くなっていました。
舞台装置はいたってシンプル。笑いも取りに来ない。ひたすらにソング&ダンスという構成でありながら、一時も飽きさせることなく楽しませてくれる琴ちゃん(礼真琴さん)は最高にエンターテイナーだなぁと思いました。
中村一徳先生のショーは選曲がとても好きなのですが、もとめられているパフォーマンスは宝塚歌劇では限界があるとずっと思っていました。それゆえタカラヅカナイズされたパフォーマンスこそを愉しむものだと思っていた私の先入観を、琴ちゃんは気持ちの良いほど裏切ってくれました。

オープニングにロックな主題歌でアジテートしていくのは中村一徳先生のショーの定番で、「Ray」もたがわずそのパターンなのですが、梅芸で見た「Ray」は、オープニングからえっこれは?と思わず前のめりにさせられる衝撃的ななにかがありました。
バックビートのノリ方がちがうのでしょうか。シンプルなソング&ダンスにはちがいないのですが、琴ちゃんをはじめとするメンバーが、ロックはロックに、ジャズはジャズとして歌って聞かせてくれるので、何曲歌い継いでも単調に感じることなく愉しむことができました。さらにこのカウントでこんなに踊る???ともはやあっけにとられる身体能力とリズム感を惜しげもなく披露してくれて、あっという間の55分でした。(体感としては15分くらい)琴ちゃんについていく星組メンバーも凄いと思いました。

それから星組会(ファンクラブ)がリードする手拍子がどのナンバーにも合わせてきて、一緒に手拍子することで私自身も舞台上の人たちが奏でるパフォーマンスに参加しているような気持ちになれてとても楽しかったことも記しておきたいと思います。
ホール中を満たす興奮。感染予防対策のため歓声1つある訳でもないのに、手拍子と拍手だけで、ここまで舞台と客席は一体となれるのだなと思いました。
それも見る者の心を動かすパフォーマンスがあればこそ。
琴ちゃん率いる星組の可能性の大きさを感じ、明るい未来を確信しました。

トップ娘役の舞空瞳さん、愛らしいお人形のような姿でこのパフォーマンス!と感歎でした。娘役らしい声も魅力でした。
惚れ惚れするドレス姿やパンツスタイルもさることながら、美しいポーズのキープが凄い。素晴らしいパフォーマンスに花が咲いたような笑顔、これはたまりませんです。
そしてなんでしょうあのデュエットダンス。琴ちゃんもなこちゃん(舞空瞳さん)も凄すぎ。そんな振付で体を痛めないの~~?といらぬ心配もするほど、このコンビにしかできないようなデュエットダンスを見せてもらった気がします。

ハットにスーツの愛ちゃん(愛月ひかるさん)はまさに宝塚の男役! あの長い脚であのダンスステップ、絡まないのが驚異でした(笑)。
そして宙組の下級生の頃から見ていて、決して男役向きの声ではなかったことを知っているだけに、いまのこの歌声に彼女の努力と本気がつたわって涙が出そうになりました。
これからも愛ちゃんが追求する男役の美学を見続けたいと思います。彼女にしか魅せられないものがあると思うので。

綺城ひか理さんと天華えまさんはいつの間にかもうこのポジションなんですね。お2人ともジャズのアレンジを効かせた歌い方が良かったです。この番手の方たちが揃って安定の実力で星組さん安泰だなぁ。
綺城さんの黒燕尾のスッとした感じはやはり花組出身の香りかな。目を惹かれてしまいました。琴ちゃんを頂点に愛ちゃんと並んだ逆トライアングルが端正で素敵でした。

湊璃飛さんと天飛華音さんもダンスで目立っていました。天飛さんは「エル・アルコン」のキャプテン・ブラックのお芝居も良くて、あとで102期生と聞いて驚きました。星組さん下級生まで層が厚いな~。
娘役さんには、男役と大人っぽくからむ有沙瞳さん、エトワールで可憐な歌声を披露していた桜庭舞さん、ダンスで目を惹く水乃ゆりさんもいるし、綺麗なお姉さま方もいらっしゃる。
このほかにシラノ組もいるわけで。次の大劇場公演「ロミオとジュリエット」がいまからとても楽しみです。(どうか無事に見ることができますようにと心から願わずにいられません。チケットを手にできるのかどうかはさておき・・・)

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